
数週間前にケルンの日本文化会館で借りました。明日返却します。
以前ブログで「美学」について興味を抱き、次の本を日本で購入してきて読んだけれど期待外れだったと記しました。

今回の高階先生の本は難しい美学に関する内容ではなく、先生の講演やサントリー文化財団が発行する「アステイオン」という雑誌に掲載された記事をまとめたもので、日頃疑問に思っている事柄に言及されていてとても興味深く読みました。
以下の3つの章から構成されています。
(一) 言葉とイメージ - 日本人の美意識
(二) 日本の美と西洋の美
(三) 日本人の美意識はどこから来るか
特に興味深かったのは第三章で、その中でも「絵と文字」「余白の美学」「受け入れられなかった雅楽」などはまさに「目からウロコ」でした。
「絵と文字」の項では西洋では文字と絵の世界はまったく別の物として扱われていたのに対し、日本では昔からつながっていた。
例えばヘノヘノモヘジで顔を描くなどの「文字絵遊び」があったことなどを読むと、現在の「絵文字」が日本で生まれたこともうなずけます。
ただ本のタイトルが示すように「日本人にとっての美しさ」ということが主眼で、第二章では日本の美と西洋の美の違いが語られています。
高階先生の美術芸術への造詣の深さに感銘しました。
こういう方に日本画や西洋の絵を解説していただいたらさぞかし絵画鑑賞もとても素晴らしい経験になるだろうと思ったことでした。
現在読んでいる以下の本にも日本人の美意識に言及している部分があり、この本に巡りあったことを感謝しています。

私は一時帰国する度に日本の自然は本当に美しいと思うのですが、加藤周一先生によれば、これは日本人が特に季節に対して敏感であり、その季節感があらわれる日本の自然への愛の告白であるということです。
これも含蓄のあるお言葉です。
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