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新田次郎 / 藤原正彦 著 「孤愁 サウダーデ」

2017-01-19 18:20:03 | 読書
タイ旅行中に本を何冊か読みましたが、完読まで一番時間を要した本です。
何しろ1800ページもあるのです。



この本は新田次郎の生誕100年にあたる2012年に発行されました。
もともと1979年8月から新田次郎が毎日新聞に連載を始めたのですが、連載中に急逝したため、残りを息子の藤原正彦が書き足し、父の死後30年してようやく発行に漕ぎ着けたということです。

前半6割程が新田次郎著で後半4割が息子の藤原正彦が父の残した資料を元にして書き足し完成させました。

内容は「もう一人の小泉八雲」といわれる海外への日本紹介者、ポルトガル人のモラエスの生涯です。

モラエスは日本、特に日本女性を絶賛しています。

明治の頃、神戸のポルトガル領事だったモラエスは当時、やはり神戸在住だった英国人やドイツ人から
日本人と欧州人を比較して特にどんな所に惹かれているかと問われた時に以下の点を挙げています。
1) 清潔 (入浴の習慣 )
2) 勤勉
3) 宗教への寛容さ

結局モラエスは四国の鳴門で晩年を迎え、早逝した愛妻およねの故郷で彼女の墓守をするように亡くなります。

表題のサウダーデとはポルトガル語でノスタルジー、メランコリー、喜びの中に含まれた哀しみなど色々な意味があり、ポルトガル人に聞いてもそれぞれ違う答えが返ってくる言葉なのだそうです。

モラエスには故郷へ帰るに充分過ぎる程の財産があったにもかかわらず、ポルトガルに戻ろうとはしませんでした。

「モラエスは故郷へのいとおしさ、懐かしさを込めて日本を愛していたようだ。故郷へ帰らないことによって、サウダーデを強調したかのようにも思える」と生前、新田次郎は述べていたということです。

私自身はドイツをそれ程愛することはないし、一時帰国を毎年楽しみにしています。
ただ昔の楽しかった頃の日本の良さが失われつつあるように感じるのは仕方ないのでしょうが、残念に思います。

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