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伊集院静著「文字に美はありや」& 図録「王羲之と日本の書」

2018-10-28 17:12:16 | 読書
「文字に美はありや」は「文藝春秋」2014年1月号から2017年4月号まで連載されたものをまとめた本です。

「文藝春秋」に連載されていた頃、何度か目にしたことがあり本になったら購入したいと思っていました。

今年の一時帰国前に友人に事前購入をお願いしていました。



この随筆集は著者によると「文字に美しい、美しくないということがあるのかという疑問から歴代の名筆、名蹟をたどっていく」ということで、

40の文字の美にまつわる記述があります。

第一話は文字の原型といわれる中国大陸で発見された紀元前1400年頃の甲骨文についての記述で、最終話では書道ロボット「筆雄」が描いた文字が紹介されています。

書聖といわれた王羲之や、空海の書についてはもちろんのこと、織田信長、坂本竜馬、西郷隆盛の書についての記述もあります。

今後とも何度か再読したいと思う「購入して良かった」といえる本ですが、以下の展示会の図録があまりにも素晴らしく、この図録を眺めることの方が多くなっています。



これは今年の2月10日から4月8日まで福岡県の九州国立博物館で開かれていた特別展「王羲之と日本の書」の解説付き図録です。

一時帰国の日程と合わなかったため残念ながら特別展を訪れることはできませんでしたが、友人に図録だけ購入していただきました。

この特別展では1700年前の中国の一人の役人の書が日本の書の源として、日本の毛筆にいかに大きな影響を及ぼしたか、王羲之の書法がもたらされた奈良時代からの日本の書の流れが紹介されています。

特に九州国立博物館長の島谷弘幸氏の記述「書の楽しみとその魅力」がとても良かったです。

「書の魅力」が線、連綿、造形、余白、空間構成、墨色、料紙といったテーマ毎にわかりやすく説明されています。

印象的なのは書の説明を時折スポーツと比較されていることです。

例えば「連綿の美」では筆の気脈の連続をバレーボールのパスやトスからアタックまでの球の動きと比較しています。

この図録の表紙には王羲之の書が使われています。



最後に西郷隆盛の書をご紹介します。

この書は「文字に美はありや」でも紹介されている額字「敬天愛人」です。





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