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編集者について

2016-05-06 15:58:05 | 日記
毎週火曜日のドラマ「重版出来」を楽しく視聴しています。

黒木華さん演じる主人公は出版社に入社後コミック誌の編集部に配属された新人編集者です。

(実際とは違うのかもしれませんが)編集者の仕事とはどういうものかが描かれています。

編集者が作品の出版に大きな影響を与えるということがわかります。

今年の春、出版され話題となったドイツの作家ジークフリート・レンツの小説「Der Überläufer」(敵方に寝返った者)が執筆後65年経った後に出版されたのは当時の編集者と意見があわなかったことが理由だそうですから、やはりこれなど編集者の大きな影響力を示すものといえるでしょう。


ジークフリート・レンツの小説は何冊か邦訳されていますから読まれた方もいらっしゃるかもしれません。

私は「国語の時間」しか読んでいませんが良い作品でした。


「Der Überläufer」の原稿をレンツは1951年に出版社に提出します。その時の編集者は当時の政治状況から原稿で直すべき点を色々と指示したのですが、レンツはそれに従うことなく「あと2-3年したらまた新しい作品を執筆します」と言ったまま、原稿は引出の奥に仕舞われていました。

レンツは亡くなる2年前にマールバッハにある「ドイツ文学記念館」に書簡類などを提供するのですが、そこにこの未発表の原稿も含まれていたのです。

そして死後2年後の今年、出版されベストセラーになったのです。

レンツが35歳の時に書かれたものですが、素晴らしい作品でノーベル文学賞受賞作家のギュンター・グラスやハインリッヒ・ベルに匹敵するとの高い評価を受けています。

「国語の時間」の出版後、レンツは「ドイツ人が背負った巨大な罪を清算する手助けをするのが作家の仕事」と述べていますが、

今回の作品でもそのような作家の意識が盛り込まれているようです(まだあらすじしか知らないのですが)。

長い年月の後にようやく日の目を見たこの小説のことをフランクフルター・アルゲマイネ新聞は

「ともあれこの小説の出版は読書好きにとっては大きな幸運といえるだろう」と記載しています。

間もなく一時帰国するので帰独後、読むのを楽しみにしています。

「国語の時間」も再読したいと思います。
コメント
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