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気がつけばふるさと離れて34年

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2003年版 ベスト・エッセイ集 『うらやましい人』

2023-05-30 17:39:00 | 読書
牧野富太郎さんの著作を読むのは『植物一日一題』が初めてですが、
16-17年前に牧野先生についてのエッセイを読んだことがあります。
日本エッセイスト・クラブ編の2003年版ベスト・エッセイ集に収められていたエッセイです。



執筆者は当時高知県知事だった橋本大二郎氏です。



橋本知事は高知市内にある牧野記念館を新しく建て直す話が持ち上がった時、
初めはそれほど乗り気ではなかったそうです。
でも牧野さんの資料を読み進めるうちに牧野富太郎という人物の生き方に感銘を受けたということです。

ただ牧野先生は「らんまん」の槙野万太郎君のように生涯自由奔放に暮らして、
植物学の重鎮にも傍若無人に振る舞うこともあったのでしょう。
そのため学界からは疎んじられてその業績を無視され続けたということです。
でも世界の植物学者からは牧野先生の業績は高く評価されていたようで、
アメリカからコルター博士という著名な植物学者が来日した折、
日本の一流と言われる学界の先生が紹介される中、
唯一肩書きのない牧野さんが「ミスター牧野」とだけ紹介されると、
それまで座って挨拶していたコルター博士がすっくと立ち上がって
「オオ、グレートマキノ」と大きな声を上げながら牧野さんの手を握りしめたのだそうです。

とても良いエピソードなのでドラマでもこの場面があるのを期待しています。

今度、独力で身につけた牧野先生の素晴らしい植物の写生画がふんだんに掲載された
『もっと知りたい牧野富太郎』(東京美術)が出版されるそうでとても興味があります。

ところで万太郎君役の神木隆之介君の植物のイラスト画が先日の放送後に登場しましたが、
とてもお上手でしたね。


この間森で見かけたヒメフウロ(別名シオヤキソウ)もこんな風にデッサン出来たらなと思います。
名前はもちろんGoogleレンズ先生にお聞きしました。私はかなりの植物オンチなのです(^O^)。






牧野富太郎著 『植物一日一題』

2023-05-29 08:09:00 | 読書
今年4月の一時帰国中目にした牧野富太郎関連の書籍が山積みされた丸の内丸善の「牧野富太郎コーナー」に驚きました。
絶大な「らんまん」効果です。
昨年9月Ginza Sixの蔦屋書店で見かけた牧野富太郎関連の本はこの文庫本だけでした。



これまで積読状態でしたが一時帰国後なかなか時差調整できなくて早朝目覚めた時間を利用して読み始めました。

この本は牧野先生が1946年8月17日から毎日一題ずつ100題を書き留めた随筆集です。
その時牧野先生は84歳でした。
でも初版本の発行は先生が名誉都民となった1953年で執筆後7年経ってからでした。
(植物学者大場秀章さんの解説より抜粋)

内容は主に日本の植物に用いられてきた漢字表記が誤りであることの指摘です。
ですから「馬鈴薯とジャガイモ」「楓とモミジ」「紫陽花とアジサイ」など興味深いタイトルがありますが、
難解なラテン語表記などが出てきて植物学の知識が全く無い私にはちんぷんかんな内容です。
それでも毎日本を開いているのはこれまで誤った表記を使い続けてきた日本の植物学者への批判がユーモアに飛んで痛快だからです。
以下に例を列挙します。

− 科学的な頭を持っている人なら、こんな間違ったことはしたくてもできない。
– これはちょうど馬をさして鹿だといい人を指して猿だと言っているようなもの。

今後も「一日一題」を「一日一読」して行きたいと思っています。
まだ記したいことはありますが長くなりましたので今日はこれで終了します。
続きはまた後日記します。


篠田桃紅著 『その日の墨』再読

2023-05-04 17:43:00 | 読書
この随筆集を最初に手にしたのはもう20年以上前です。



再読したくなり文庫本を探したのですが、見当たらなくて電子書籍を購入しました。
もう一度目を通したくなったのは、一時帰国中篠田さんの作品を見る機会があったからです。
ザ・キャピタルホテル東急に飾られていた二点です。
まず旧ホテルのスイートに飾られていた「無題」という作品



1966年に来日したビートルズもこの作品に感銘を受けたということです。
次はホテル建て替えに伴い作成された作品「豊」です。当時篠田さんは97歳でした。




それから今回も見ることは出来なかったコンラッドホテルのロビーに飾られている作品です。
(ホテルのHPの画像をお借りしました)。



篠田さんの画は水墨抽象画🟰墨象と呼ばれます。
初めは書道の先生だった篠田さんが文字を表現する限定的な「書」に飽き足らず前衛書道家として、
単身ニューヨークに渡り世界的に有名な芸術家となるまでの経緯と心の変遷などが綴られているのがこの随筆集です。

特に興味深いのは1956年のニューヨークでの体験談です。
ニューヨークの有名画廊は2年先まで展示が決まっていてヴィザの制限もあり、当初無名の日本の書道家の作品を展示してくれる所は見つかりませんでした。
幸運にも展示してくれる有名な画廊が見つかったのはヴィザが切れる4日前だったということです。


旅先での読書

2023-02-19 15:16:00 | 読書
グレナダ島から戻って早くも2週間経ちました。
忘備録として旅先で読んだ本について記します。
本は朝食前に部屋のバルコニーか日中はビーチパラソルの下で読みました。
一度バルコニーで本を読んでいた時、スコールを避けて鳥(小鳩?)がかなり長いこと雨やどりをして読書には集中できないことがありました。






最初に読んだのはグレアム・グリーンの『ハバナの男』です。



カリブ海関連の本を我が家の書棚で探して見つけた本です。
キューバ革命直前のハバナで掃除機販売店を営むイギリス人が諜報機関のスパイとして雇われることから起こるハプニングが描かれています。
昔訪れたキューバを思い出しながら読みました。

この本以外、ドイツから持って行った本はあと2冊ありいずれも須賀敦子さんのご著書です。



ベニスのユダヤ人ゲット−がテーマです。



須賀さんの書評をまとめたものです。
日本の川端康成や谷崎潤一郎を初め、ダンテの「神曲」などの古典、アッシジの写真集やクワジーモドの詩集など多種多様な書籍が扱われています。

これらの3冊にひととおり目を通したあとはホテルのライブラリーで本を探しました。
ホテルの宿泊客の多くは英国からのツーリストだったので本もほとんどが英語版でした。





滞独40年以上にもなると英語よりもドイツ語の語彙数が多くなっているらしく、
ドイツ語の本の方がスムーズに読めるような気がします。
それで探したドイツ語の本ですが、これも英語版からドイツ語に訳された本です。
エドムンド・デ・ワール『白い道』



デ・ワールはイギリス出身の作家、陶芸家で陶磁器にまつわる体験談や工房、美術館を訪れた時のことが記載されています。
日本の陶磁器については何故か記載がなく中国各地の工房の記載が多かったように思います。
もちろんマイセンの白磁器誕生のエピソードの記載もあります。










サンタクロースの日

2022-12-06 17:30:00 | 読書
今日12月6日はサンタクロースの日です。
サンタクロースのモデルは西暦4世紀に小アジアのミラに住んでいた司教ニコラウスだと言われています。
貧しい人々にお金を与えたりした慈悲深いニコラウスはのちに聖人となります。
12月6日は聖ニコラウスの命日です。
ドイツの子どもたちは12月6日には靴下や長靴の中にチョコレートなどのお菓子、
そしてクリスマスイブにはクリスマスツリーの下に子どもたちが望むプレゼントを見つけます。

我が家のミニツリーにも色々なサンタさんがぶら下がっています。









ところでサンタさんは笑う時HoHoHo(ふぉっ、ほっ、ほっ)と独特な笑い声を発するという説があります。
我が家にある絵本『12月の王様』もこんな笑い声を出します。


25 年以上前に出版された絵本ですが、毎年12月になると眺めたくなる本です。
邦訳もあります。
日本語の方は訳者に頂きました。





12月の王様の国では生まれた時が一番大きくて夢も一番多く持っています。
年齢と共に縮んでいき、周りのみんなから見えなくなるくらい小さくなってしまった時、この世から消えてしまいます。
本に登場する王様も小さくて、コーヒーカップに背が届かない位ですが、萎縮などせず、威風堂々としてとても威張っています。
こんな風に年を重ねたいと本を開くたびにいつも思います。