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風の記憶

≪記憶の葉っぱをそよがせる、風の言葉を見つけたい……小さな試みのブログです≫

あおぞら

2010年04月26日 | 詩集「雨の子ども」
Aozora


ひさしぶりの晴れた朝に
せんたく物を干すあなたが好きだ
空に向かって2本の細い腕がのびる
ぴっとひろげられた白いハンカチ
青い空に旗のように並ぶ


あなたの空と僕の空はつながっている
青い空の向こう岸にあなたがいて
こちらの岸に僕がいる


あなたの白い四肢が躍動する
さまざまな色彩と模様が空をうめてゆく
大きなシャツに小さなシャツ
長いくつした短いくつした
どらえもんやキティちゃんやアンパンマン
あなたの家族が勢ぞろいする
みんな両手をいっぱいにひろげて
なんという賑わいだろう
なんという祝祭だろう


空がだんだん小さくなる


空がだんだん小さくなって
もう朝を満たすものはないのか
いつのまにか
あなたはいない
あとに残されたちっぽけな空と
僕はひとり


ひらひらとハンカチがいちまい
青空の外へ飛んでゆく


(2004)


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