A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

本当にやりたいことを、自分の曲で、やりたいメンバーと一緒に・・・・

2007-05-15 | CONCORD
BARNEY plays KESSEL

何事であっても、本当にやりたいことを自分の好きなようにできることというのは、そうそう人生で数多く機会があるものではない。たとえ、それを実現するにしても、一人ではできないし。大抵の場合は仲間の協力、そして何らかの場の設定が必要だ。

プロのミュージシャンが「自分のやりたいこと」を演ってアルバムにしたいと思っても、プロデューサーの意見を無視できないし、メジャーレーベルだと、そもそもそれが売れるものかどうかが問題になる。
結局はやりたいことより、売れるものが優先されてしてしまうのが世の常である。

そこに、インディーズレーベルやマイナーレーベルの存在意義がでてくる。
Concordレーベルも、このアルバムでまだ9枚目。
その当時は、まだまだマイナーレーベルだった。
そこで、ある決断をする。
ミュージシャンの意向をより色濃く出したアルバム作りにチャレンジをした。

その主役は、Barney Kessel。
「何とか、自己表現をしてみたい。」
アルバムタイトルやジャケットの写真も、ケッセルのそんな気持ちがよく現れている。

すでに、Kesselは、Concord Jazz Festivalに“GREAT GUITARS”で登場していた。企画としては面白いグループだし、フェスティバルでも大喝采を浴びてはいたのだが。

チャーリーパーカーとの共演など、JAZZの歴史とともにプレーをしていたバーニーケッセルも、50年代の後半までは第一線で活躍をしていた。コンテンポラリーレーベルにPoll Winnersなど、有名なアルバムを何枚も残している。
60年代に入ると、スタジオミュージシャンとしての生活が中心になり、ジャズプレーヤーとしての活動は表には出なくなった。この頃は、誰でもそうであったのかもしれないが。

そのケッセルが、再びJAZZをやり始めたのは60年代の後半。ヨーロッパに滞在し、ツアーを始めたのもこの頃だ。
そして、彼はConcordの活動に大きく影響される。フェスティバルにも常連として参加し、
Ellis と一緒に”GREAT GUITARS”を結成し、本格化にプレーを行っていた。

しかし、「本当に自分の好きなものを好きなようにやってみる」という意味では、まだ実現はしていなかった。

今回のアルバム作りでは、曲はすべてケッセルのオリジナル。
共演するプレーヤーも、すべてケッセルが選んだ。
それぞれに、プレーをした仲ではあったらしいが、このメンバーが一同に介して演奏するのは今回が始めてであったそうだ。

特に、サックスとフルートのハービースチュワード。Woody Hermanのメンバーで有名だったが、その後はもっぱらスタジオの仕事が中心。
Jazzアルバムの録音への参加は久々のことであったらしい。

さて肝心な演奏だが、一曲目をかけると全体の雰囲気が伝わってくる。
これまでの、Concordのアルバムとは少し趣が異なる。どらかというと、モダンスイングというか、中間派という感じの演奏が多かったが、これは完全に“今”風の音作り。
エレキベースやエレキピアノを多用し、8ビートやボサノバ風のラテンリズムも。
ケッセルも、スタジオワークをやっていた時は、POPのアルバム(ビーチボーイズやモンキーズのアルバムにも参加していたとか)や、テレビや映画の主題歌やサントラにも参加していたので、4ビートではなくても何の違和感もないが。

やはり、このアルバムで一番特徴的なのは、ハービースチュワードのソプラノとフルート。
「ナベサダ」が、ボサノバの後取り組んだサウンドの延長だ。昔の演奏とは大分違う。
フュージョンが進化していた時期ではあるが、あまりヘビーにはならず、軽く、明るく、美しいJAZZ。今風に言うと”SMOOTH JAZZ”の奔りのような演奏だ。

「ケッセルは、この頃こんなことをやってみたかったのか」ということを改めて認識した次第。

1. Sea Miner
2. For My Love
3. I’m On My Way
4. Here's That Sunny Day
5. Holiday Ii RIO
6. Down In The Swanp
7. Love Of My Life
8. Goi'g Through She Changes
9. Brazilian Beat

 Berney Kessel (g)
 Herbie Steward (reeds,fl)
 Vic Feldman (vib)
 Jimmy Rowles (p)
 Chck Domanico (b)
 Milt Holland (per)
 Jake Hanna (ds)

Produced by Carl Jefferson
Recorded early 1975

Originally Released on Concord CJ-9
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