A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

QUINCY JONESが「サンタアナの風」に乗って

2007-04-11 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
Go West Man! / Quincy Jones

英文のライナーノーツの冒頭に、「サンタアナ」の風の事が。
南カリフォルニアで冬に東の山から海の方に時に吹く季節風。
涼しい気候に、突如暑い風が吹く砂漠性のフェーン現状だそうだ。
時々、カリフォルニアの山火事がニュースになる。きっとそんな時の出来事なのだろう。

涼しげに「Cool Jazz」演奏をしていた西海岸に、Quincyが突然「サンタアナの風」に乗って登場する。そんな雰囲気のアルバムだ。
ちょうど東からの風。遠くNEW YORKではハードバップが真っ盛り。
RUDY VAN GELDERのスタジオでは、連日のように「BLUE NOTE」のSESSION
が繰り広げられていた頃だ。
この風は、当然西海岸にも届いていたと思う。

時は1957年2月、ABCと契約をして自己の初リーダーアルバム「私の考えるJAZZ」を56年に吹き込んだQuincyは、パリに留学する前にもう一枚のアルバムを吹き込んだ。
それが、このアルバムだ。

西海岸に単身乗り込んで、地元のメンバーを3つのセッションに分けて集めた。
それぞれトランペット、アルトサックス、テナー&バリトンサックスを4人ずつ、それにリズムセクションを集めてのセッションだ。
それも、どの一人をとってみても一流どころを厳選して。
最高のネタを仕入れて最高の料理を。ここは、板前の腕の見せ所である。

このように同じ楽器を何人も集めてアンサンブルを売りにするセッションは、BIG BAND好きの自分としては「お気に入りの部類」だ。どんな音が聴けるだろうかワクワクさせる。

何か企画を立て、全体を旨く纏め上げ、そしてそれらの相乗効果で最高の結果を出す。
何の仕事でも「プロデューサー」と呼ばれる人種にとっては共通の目標だろう。
企画力や実施力だけでなく統率力が求められる。それは、必ずといっていいほどある種の尊敬の念を持って他人に受け入れられる人間的にも魅力がある人間であることが多い。

一トランペットプレーヤーからスタートし、作編曲の仕事を数多く行うようになっていた。そして、ガレスピーのオーケストラのマネジメントを経験したQUINCY。
ここでは、プレーはもちろん、作編曲も提供していない。若くして、今回が早くも「プロデューサー」としての初仕事だ。

プレーヤー選定、3つのセッションの選択、そして曲はメドレー以外、皆オリジナル曲。その仕上げには3人のアレンジャーの起用。
どれをとっても「プロデューサー」QUINCYのこだわりと贅沢さが感じられる。
これは、後のQUINCYに共通するところだ。
美味しい鮨を食べるには、素材と、職人と、そして雰囲気のよい店が必要なのと同じように。

このアルバムから聞こえるサウンドは、もちろんWEST COASTの極上のサウンドだ。
しかし、その味付けは、流行の東海岸風ではなく、あくまでもQUINCY風に。
サンタアナの風は、「QUINCY」そのものであった。

1 Dancin' Pants Giuffre 3:47
2 Blues Day Giuffre 4:40
3 Bright Moon Giuffre 5:17
4 No Bones at All Mandel 3:55
5 Oom Is Blues Mariano 5:06
6 Be My Guest Niehaus 4:27
7 Medley: 6:17
What's New
We'll Be Together Again
Time on My Hands
You Go to My Head
Laura
8 London Derriere Mandel 4:03
9 Kings Road Blues Niehaus 5:02

SESSION A
Benny Carter/Art Pepper/Herb Geller/Charlie Mariano alto sax
Lou Levy piano
Red Mitchell bass
Shelly Manne drums

SESSION B
Harry Edison/Conte Candoli/Pete Candoli/Jack Sheldon trumpet,
Carl Perkins piano
Leroy Vinnegar bass
Mel Lewis drums.

SESSION C
Buddy Collette/Bill Perkins/Walter Benton tenor sax, Pepper Adams baritone sax
Carl Perkins piano
Leroy Vinnegar bass
Shelly Manne drums.

Recorded, February 1957
コメント
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