山形弦楽四重奏団 ブログ

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山形Q 練習日誌60-vol.2(中島記)

2016-05-10 21:37:09 | 練習日誌
 5月29日の洗心庵での演奏会は、ベートーヴェンがメインですが、前半の邦人作品にも注目していただきたい。

 今日の練習でも、もっとも時間をかけたのがその邦人作品。佐藤敏直の「弦楽四重奏曲第1番」。ご存知、山形県鶴岡市出身の作曲家の曲で、もちろん有名ではない。

 しかし、山形の作曲家の弦楽四重奏曲を、山形弦楽四重奏曲団が演奏しないわけにはいきません。ベートーヴェンもハイドンもとても大切ですが、それはみんな、しかももっと上手い人たちがたくさん弾いてます。

 私たちでないとできないもの、私たちがやらなければいけないもの、そうしなければ無くなってしまうものにこそ力をかけるべきです。


 ということで佐藤敏直。山形Qとしては3回目の演奏ですが、じつに奥が深い。

 沈鬱な第1楽章、日本民謡調の第2楽章、そして突然ロックになってしまう第3楽章のフィナーレ。

 このフィナーレは本当に斬新だと思います。エレキギターを模したようなビートが本当にカッコいい。邦人の四重奏曲として衝撃的な作品です。これこそ、本当の意味での「現代曲」。


 「現代曲」という言葉も少し考えてみたい。不協和音と変拍子主体の、聞いてわかりにくいものが現代曲の主流です。「いままでにないもの」という部分にだけ着目すれば、どうしてもそうなってしまうのでしょうが、それが「現代」らしいかというと、そんなことはない。

 ロマンティックなのが「ロマン派」だとすれば、現代の世相・風俗を反映したものが「現代曲」のはずです。本来、現代人にわかりにくいはずがない。

 そういう意味で、現代人がワクワクできる「本当の現代曲」、佐藤敏直作品をぜひ、多くの人に聴いてもらいたいと思います。
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