分からない言葉は、身振り手振りを交え僕らは会話をした。
僕の住む街には「あなたのような靴やサンダルを直す職業のような人がいない」ということや「娘を日本に行かせたい」とか「ビアホイは美味しい」とか・・・
そんな話をしているとまた一人女性客が、彼に片方のサンダルを「これ、返すわよ」とでもいうような仕草でつっけんどに渡した。
彼はそれを受け取ると黒いタコ糸のような糸の通った針を手にして、剥がれている場所にボンドを塗り、重ね合わせると器用に縫い始めた。
作業はものの、3分ぐらいで終わってしまった。
一杯目のビアホイが飲み終わってしまうと今度は彼が僕にビアホイを買ってきてくれた。
僕は彼から頂いた一杯のビアホイを飲みながら、一人旅ではあるけれど話が出来る人がいるということは幸せなことのような感じがしていた。