A Daily Life Diary

日常や思い出を綴ったblog

カーペンターがつぶやいた ―THE BARGE INN story―

2006-03-21 | THE BARGE INN story
BARGE INNで無音のCNNを観ていた。
Uの字のカウンターの天井奥にTVがあり、カウンターに座ると、リカーボトルに隠れてTVが観えない場所もあるが、僕の座った席はTVを観ることが出来た。カウンターのそばにスクリーンもありプロジェクターをつかってテレビを大きなスクリーンに映しだしているのでTVが隠れて見えない席でも、振り向くとスクリーンに映しだされたTVを観ることが出来た。

僕のとなりにいたキャップをかぶった青い目の男性が完璧に近い日本語で、こうつぶやいた。「今、タイの女優なのかな?カンボジアのアンコールワットがどうとかって言ったみたいで暴動が起きたみたいだね」

僕はCNNを観ていても英語が読めず、燃え上がる炎ぐらいしかわからなかった。
なんのことなのかわからない僕は「ああ、そうなんですか?」とつぶやくことしか出来なかった。

彼は前の話が無かったかのように「今、こっちに仕事に来ていて大工の仕事に来ているんだけど明日やっと終わりそうなんだよ」と話をした。

「へえ、大工さんなんですか?」と訊くと
「昨日もここで、しこたま飲んでね」と答えた。

僕はあまりに日本語が上手なので「ずいぶん日本語がうまいですね」と彼に言った。
「奥さんが日本人だから・・・都内にいてね。2歳になる娘もいるんだよ。子供はかわいいね」そういうと、こぼれそうな笑顔をみせた。
「今は不景気でなかなかいい仕事がなくてね。これじゃ故郷にも戻れやしない」と今度は少し暗い顔になった。
「どこなんですか?」と僕が尋ねると「サンディエゴなんだけど、ここ3年ぐらい戻ってないんだよ」と彼は答えた。
「本当にどこも不景気だよね」と僕も相づちを打った。

彼もかなりのストレスが溜まっているようだった。
今、仕事をしていれば誰だってかなりのストレスを抱えているだろう。
それぞれにそれぞれの悩みを抱えているものだと感じた。

その後、彼と仕事のことや家庭のことなどを話していると夜は刻々と更けていった。


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Nice to meet you too ―THE BARGE INN story―

2005-10-16 | THE BARGE INN story
僕がギネスを飲んでいるとき、となりのお客と視線が合ったので笑顔を返すと、その人に声を掛けられ話をすることになった。

「私の名前はボブ。君の名前は?」
「僕の名前はuchi」
「Nice to meet you」
「Nice to meet you too」

僕らは握手をした。

「君の名前はリアルネームかい?」と彼は僕にちょっと変わった質問をした。
「いや、リアルネームはもう少し長いです。2文字ぐらいの方が覚えてもらいやすいでしょう。特に外国人には・・・だからuchi」
「確かにそうだね」と彼は相づちを打った。
「君の名前はuchiっていうのか。うち?English nameは“ハウス”だな」とつぶやいた。
「そうだね。そのとおり」今度は僕が相づちを打つ番だった。
“面白いことをいう人だ”とは思いながらも、僕はこの人に好感を持っていた。
「となりにいるのは息子なんだよ」と紹介してくれた。
彼はカンタス航空のクルーで日本を第二の故郷と言ってくれた。
「君もクルーかい?」と僕は思ってもいない質問を受けた。
「いいえ。航空関係の仕事もしていなければ、空港で仕事をしている訳でもありません。ファクトリーワーカーなんです」そう答えると僕らは笑顔で他愛もない話をした。

しばらくすると、BARGE INN 内でクイズが行われた。
「uchi!今の質問の答え何なんだい?沖縄が・・・とか言っているけど」
「ごめんなさい。僕も英語がよく分からないので、その答えは分からない・・・」

クイズも終わり、答え合わせをすると彼と彼の息子さんは残念がっていた。
こんな風に見知らぬ人と会話が出来るのは楽しい。自分の知らない世界の話を聞けることもある。僕は「もっと、英語が話せたら・・・」とギネスを飲みながら悔しがっていた。



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キルケニーとBlue eyesの男性 ―THE BARGE INN story―

2005-09-19 | THE BARGE INN story
BARGE INNのカウンターでキルケニーが飲みたくなった。
「キルケニーを・・・」とぼくは注文した。
店員が1パイントの空グラスにキルケニーを注ぐ・・・。

キルケニーを飲むといつも思い出すことがある。それは初めてキルケニーを飲んだ日のことをだった。
バンコクのスクンビットロード・ソイ33/1にあるブルズヘッドでカールスバーグを飲んでいたとき、隣の席でBlue eyesの男性が変わったビールを注文していた。そのときは、なんというビールだったのか聞き取れなかった。ギネスに似ているようだがギネスではない。ちょうど黒ビールとラガービールのハーフ&ハーフのようなビールを初めて見たとき、ぼくはその人に声をかけていた。

「なんていうビールなんですか?」と尋ねると彼は気持ちよく
「キルケニーってビールだよ。知らないのかい?」と答えてくれた。
このときもキルケニーという単語が聞き取れず、日本に戻ってからこのビールの名前を知った。

「君はどこから・・・」
「日本です」とぼくが答えると
「新宿でもこのビールを飲ませてくれるところがあるよ」と彼は言った。
「あんまり新宿とか行かないからよく分かんないんですよ。田舎に住んでいるので・・・」
「そうか・・・日本で約1年くらい仕事をしていたことがあったからね・・・」
彼が日本で仕事をしていたということでつい嬉しくなり
「日本語は出来ますか?」と質問をしていた。
「アリガト、コンニチハ、サヨナラくらいで忘れてしまった。あ、そうキレイデスネも覚えてる」
ぼくは笑ってしまった。

「大島には行ったことがあるかい?」
「いえ、まだ一度も・・・」
「君は日本人だろ?大島に行ったことがないのかい?」
「なかなか行くチャンスがなくて・・・それに海外のほうが好きなんです」
ぼくは彼のこんな質問にこう答えるしかなかった。
「大島はいいよ。ホテルの温泉に入って。目の前は海で最高だったね」
彼の嬉しそうな日本の話を聞いているのが楽しかった。
彼がブルズヘッドをあとにしてから、ぼくも「これと同じビールを・・・」と店員に注文した。
このときに飲んだキルケニーの味を今も忘れない。

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She is so beautiful ―THE BARGE INN story―

2005-08-24 | THE BARGE INN story
ブロンズヘアーの女性が、ぼくの向こう正面のカウンターで友人と話をしていた。
少しウエーヴのかかったロングヘアーはとても彼女に似合っていた。

ぼくが2杯目のサッポロを注文して仕事のことや今後の生活やblogの事などをしばらく考えてから、ふっと彼女を見たとき、彼女のロングヘアーがバレッタとヘアクリップで束ねたスタイルに変わっていた。

ぼくは「She is so beautiful」と心の中でつぶやいていた。

彼女は空になったビールジョッキをチョンと一瞬、頭の上にのせ「もう一杯、同じビールをお願いネ」と店員に無言でアピールをした。店員が無言でジョッキにビールをつぐ・・・。

とてもオシャレな光景だと思った。もし男のぼくが同じようなことをしたら、ただの間抜けな日本人になってしまうだろう。

男がするとサマになる仕草と女がするとサマになる仕草は違うものだと改めて感じた。

ぼくは、こんな素敵な仕草に偶然出会えたことに幸せを感じていた。

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ラブラドール・レトリーバーがいない ―THE BARGE INN story―

2005-07-26 | THE BARGE INN story
昔、ここのPUBがなかったころは、ビールやカクテルが飲める別のBARによく通っていた。

そのころは、スピリットやカクテルに凝っていた。
よく飲んだスピリットはズブロッカというウオツカ。
カクテルはアイリッシュコーヒーや、ブラディーマリー、ミントジュレップだった。
ビールもよく飲んだ。

今はもうない、そのお店のオーナーはユーミンの歌う詞にも出てくるドルフィンのオーナーだと、知り合いの人から聞いたことがあり「マスターは以前ドルフィンのオーナーだったんですか?」と尋ねたことがあった。
「昔な、売っちまったんだよ」と話してくれた。

以前、彼はサンフランシスコで仕事をして、ハワイのパールハーバーが見わたせる丘に家を買い、奥さんと暮らしていた。
ところがその後、奥さんと別れてしまい家をあげてしまったらしい。彼は英語が堪能だったためBARGE INNがなかったころはよく他国の人が彼のお店に飲みに来ていた。

今そのお店はオーナーも代わりインドカレーのお店になってしまっている。彼が風の噂で韓国で焼き肉店をしていると2年くらい前、聞いた記憶がある。

そのお店に比べるとここBARGE INNはかなり広い。でもここには黒くて愛くるしいラブラドール・レトリーバーがいない。

とてもおとなしい彼の親友は今、韓国の焼き肉店でお客さんがくるのを静かに待っているのだろうか?と、ふと、ここBARGE INNでそんなことを回想していた。

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