自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

戦中・戦後~平成・「平成とは何だったのか(日本記者クラブ)!」 そして未来へ。

2019-05-01 21:57:37 | 自然と人為

 民間報道番組「NEWS23」は、『冤罪事件から10年。村木厚子さん「新たな挑戦」』を2019年4月4日放送した。平成から令和へと新しい時代となったが、2009年6月14日 大阪地検特捜部により逮捕されて10年経過した冤罪事件(障害者郵便制度悪用事件(2))を、平成時代に国民の記憶に残しておこうという深い配慮だったと思う。記憶に残る番組に感謝したい。

 2019年4月30日は、天皇の「退位礼正殿の儀(動画)」の日であった。天皇は多感な若いころ戦争体験をし、天皇の戦争責任を痛切に感じられたのだと思う。災害の見舞いだけでなく、長崎広島沖縄サイパンパラオ・ペリリュー島等の慰霊の旅をされ、「象徴天皇」としての道(動画)を誠心誠意創りながら歩み続けられた。老齢化していくと平和と国民の幸福を誠心誠意祈る行動が困難になるとの天皇自身の御自覚から、強い譲位の意志によって退位された。
 参考:特攻隊員が妹に送った手紙(動画)
     象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば(ビデオ)(平成28年8月8日)
     退位礼正殿の儀 2019.4.30 (動画)
     天皇陛下 最後のおことば(動画)


 平成は1989年1月8日に始まるが、戦中・戦後、ことに天皇とともに戦争への懺悔を切り離しては語れない。ここでは、たまたま目についた3点の資料を紹介しておく。一つは「特攻隊員が妹に送った手紙」。もう一つは、戦後日本を代表する国際的な知識人であり、たえず全体的視野で深く人を愛し、戦争を拒否し、平和を愛した加藤周一氏(1919―2008)の作品である映画「しかしそれだけではない。加藤周一 幽霊と語る」(予告編)(DVD)(解説)。そして、もう一点は、2018/11/03【大竹まこと×姜尚中×室井佑月】の「終わりつつある戦後! 崩れ行く価値観」である。元厚生省の事務次官であった村木厚子氏の冤罪事件と3点の資料については、このブログでは資料の紹介に意義があると思っている。私もこれから勉強したい。
  
 平成が終わるのを受けて「日本記者クラブ」は、この30年を多角的に振り返り、現在の立ち位置を確認し、未来への視座を得ようと言う狙いの「平成とは何だったのか」シリーズを企画し、政治、経済、エネルギー、文化と各界の一級の識者21名が、平成という時代を総括している。各自の見解を自由に語っていただいてるはずだが、2名の録画が欠けている。報道の自由を仕事としている「日本記者クラブ」で何故?
(1) ノンフィクション作家・保阪正康氏 2018.5.16会見レポート
(2) 佐々木毅・元東京大学学長 2018.5.18会見レポート
(3) 吉川洋・立正大学教授 2018.5.31 会見レポート
(4) 宗像紀夫・元東京地検特捜部長(会見レポート)2018.6.14
 参考:検察の役割と政治をめぐって 2009/4/20
     宗像紀夫弁護士の見解に対する反論
     甘利問題、今なお消極見解を述べる宗像紀夫弁護士・内閣官房参与

(5) 佐佐木幸綱・歌人・「心の花」主宰 2018.6.27会見レポート
(6) 五味廣文・元金融庁長官 2018.7.2会見レポート
(7) 田中均・日本総合研究所国際戦略研究所理事長 2018.7.3会見レポート
(8) 吉川弘之・元東京大学学長・元日本学術会議会長 2018.7.24会見レポート
(9) 山崎史郎・元厚生労働省社会・援護局長 2018.8.22会見レポート
(10) 室﨑益輝・神戸大学名誉教授 2018.9.10会見レポート
(11) 経済学者 野口悠紀雄氏 2018.9.27会見レポート
(12) 俵万智・歌人 2018.11.2会見レポート
(13) 渥美公秀・大阪大学教授 2018.11.26会見レポート
(14) 斉藤惇・元日本取引所グループCEO 2018.12.04会見レポート
(15) 平成政治、そして国会改革 2018.12.14会見レポート
(16) 王貞治・福岡ソフトバンクホークス会長 2019.1.18(会見レポート)
 参考:ソフトB王会長「平成」語り尽くす 日本記者クラブで会見
(17) 原武史・放送大学教授 2019.3.29(会見レポート)
(18) 樋口恵子・評論家 2019.4.02会見レポート
(19) 井上亮・日本経済新聞編集委員(皇室、近現代史担当)2019.4.5会見レポート
(20) 東郷重興・元日本債券信用銀行頭取 2019.4.10会見レポート
(21) 番匠幸一郎・元陸上自衛隊西部方面総監 2019.4.12 会見レポート

 2019年5月1日からは令和の時代となり、剣璽等承継の儀(動画)即位後朝見の儀(動画)、そして皇族方から祝賀(動画)が行われた。即位礼正殿の儀は2019年10月22日に行われるようだ。
 「象徴天皇」として、明仁(あきひと)上皇が創られた「平和と国民を守る道」を今上天皇が誠心誠意歩まれるには、「象徴天皇」の地位と名誉にかけて、戦争は絶対阻止することが使命となろう。それは政治に天皇が口を出すことでは絶対にない。そのことこそ、憲法に示されている今上天皇の「象徴天皇」としての義務である。「国体の維持」とは、誰かのイメージを守ることではなく、具体的に「憲法を守る」ことである。

 日本国憲法は是非読んでいただきたい。ことに、第1章天皇第1条【天皇の地位・国民主権】および第2章戦争の放棄第9条【戦争放棄、軍備及び交戦権の否認】は記憶するほど読んでいただきたい。
 憲法の前文では、「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」に始まり、「われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。」そして、「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」とある。
 そして「第一章 天皇」では、第一条【天皇の地位・国民主権】で、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」とあり、第二条【皇位の継承】、第三条【天皇の国事行為と内閣の責任】、第四条【天皇の権能の限界、天皇の国事行為の委任】、第五条【摂政】、第六条【天皇の任命権】、第七条【天皇の国事行為】、第八条【皇室の財産授受の制限】と続いている。
 さらに、今日論議されている「第ニ章・戦争放棄」の第九条【戦争放棄、軍備及び交戦権の否認】に次の2項が明記されている。
 1  日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
 2  前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 参考:『映画 日本国憲法』予告編(動画)
     ビデオニュース 2013.5.3世界は日本国憲法をどう見ているのか(動画)


 平成天皇・皇后(現上皇ご夫妻)が、「恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚」され、「象徴天皇」を誠心誠意、具現化されながら歩まれた道は偉大だと思う。国民や他者を尊重することから、自立した個人が生まれるが、世界の国々には、他者に勝つことに快感を覚える人々がまだまだ多い。他者を尊重し、自我に克つことこそ、世界に誇れる日本人だと思っている。それを象徴しているのが「象徴天皇」だと確信している。令和天皇の最初のお仕事が、「自国第一主義と武力を誇りとするアメリカ大統領を国賓として迎えること」とは、日米首脳は皮肉な政治道徳を恥ともしないのであろうか?

 私の未来への夢は、他者を尊重して自立する人々が多いのが世界常識となることだ。そして、国は税金を何に使うかではなく、何のためにお金を発行するかを考えねばならない。そのことで政治の方向と責任をさらに明確なものにすることができる。大西つねき氏の「「個人の心の自由」(動画)と、「『お金の発行』方法(動画)で世界をリードして行く」という意識と誇りを多くの国民が持つことも夢となった。
 参考:「MMT(現代貨幣理論)について」大西つねきの週刊動画コラムvol.76
     「MMT(現代貨幣理論)の論理構造と実践的意義」
      京都大学レジリエンス実践ユニット・MMT勉強会【講師:青木泰樹】
     「現代貨幣理論(MMT)が大論争」週刊西田一問一答
     水野和夫氏基調講演「資本主義の終焉 未来をつくる脱成長モデル」

     CGS新番組「ケミストリー」
     「経済学を三人が斬る!」【 第1回 武田邦彦 松田学 大西つねき】  第2回
     第3回  第4回  第5回  第6回


初稿 2019.5.1 更新 2019.5.3(憲法記念日) 更新2 2019.5.8

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