鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

十六代揃小柄 Goto Kozuka

2012-08-31 | 鍔の歴史
十六代揃小柄

 こうして初代から十六代までの作品を並べてみると壮観である。江戸時代後期にはこの例のように十数代の作品を集めることが流行したのである。これまでに説明してきたように後藤の作品には銘の刻されたものが少ないが故に、この流行期の後藤の当主は、祖先の作品の極めという作業にも費やさねばならなかった。小柄の補修、笄から小柄への転用など、それに伴う極め銘、折紙の発行があり、思いのほか業務は多かったとみられる。
 多様な図柄、多様な表現方法ではあるが、一本の筋が通っているように、図柄に風格があることが感じられよう。これこそ後藤家の独風に他ならない。散逸してしまった揃い物が多いなかで、このように揃っていることは貴重。いずれも揃いの極め札が遺されている。□