鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

寿老人図鐔 後藤光美 Mitsuyoshi-Goto Tsuba

2012-08-28 | 鍔の歴史
寿老人図鐔 (鍔の歴史)


寿老人図鐔 銘 後藤光美(花押)

 表を朧銀地、裏を赤銅地とした、昼夜の意匠になる鐔。陰陽の意識は、古典においては思想的な面が強かったが、江戸時代も降ると、美観を強く求めた昼夜に表情を違えるという創造性、即ち表現としての陰陽対比を活かした作品が製作されるようになった。
 時代の降った光美といえども鐔の作例は少ない。これまで後藤の作品を通覧しているが、在銘の鐔はほとんどない。貴重な遺例の一つである。描法は毛彫と片切彫。寿老人は七福神の一人で、図柄としては好まれていたとみえ、後藤以外の町彫り金工にも多い。64.7ミリ。