鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

武具図三所物 後藤光晃 Mitsuakira-Goto Mitokoromono

2012-08-29 | 鍔の歴史
武具図三所物 (鍔の歴史)


武具図三所物 後藤光晃(花押)

 弓具であろう、伝統的な武具を題材に物尽しの意識で表現した三所物。奇麗な魚子地を背景に主題を高彫にし、金銀の色絵表現。古後藤時代の武具図とは趣を異にして精密さが感じられ、事物の配置による画面構成という空間創出意識も強いようだ。小柄や笄の中央にドンと武具を置くという構成ではない。
 後藤光晃は光美の嫡子。天保六年に家督を相続。安政三年四十一歳の若さで没している。町彫り金工に押されているとはいえ、伝統の技術を絶やすことなく受け継いだ名工の一人。これまでにいくつかの光晃極めを紹介したことがあるように、祖先の作品の補修と極めという仕事も重要な位置付けであった。