鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

山水図鐔 Tsuba

2011-08-31 | 鍔の歴史
山水図鐔 (鐔の歴史)


山水図鐔 正阿弥一光作

 先に紹介した会津正阿弥と同じ流派の一光の鐔。明らかに金家を手本とし、これに独創を加味している。遠く霞む山間に堂塔が見える。その様子を微妙に抑揚のある高彫で表わし、わずかに金を加えているところ、地に鎚目を残し、さらに焼手を加えて遠望の空気感を演出しているところは同じ趣。特徴がみられるのは近景。波間に揺れる小舟とその釣り人、岸辺には芦が茂り松樹が枝をたれている。その微妙な彫り様は金家とは違って面白みがあり、金布目象嵌を配して線描写を多用しているところに個性がある。一光の得意とする空間演出である。75ミリ。