稲村亭日乗

京都の渓流を中心にルアーでトラウトを釣り歩いています

駆除のために「天敵」を放つことの危うさ

2024年09月04日 | 日々
 9月3日、環境省が奄美大島でのマングース根絶を宣言した。

 果たしてできるのか?と案じていたぼくには驚きつつもうれしい話だ。

 元々は猛毒のハブ、それに農作物を食い荒らす
野ネズミ対策として1979年、30匹ほどが放たれたそうだ。

 しかし効果は上がらず、逆に絶滅危惧種の
アマミノクロウサギが減るなどで、駆除に乗り出したようだ。

 いや、ぼくもずいぶん以前に
テレビで毒蛇とマングースの対決映像を見たことがある。

 マングースが毒蛇を仕留めるところをみて、
「これはすごい、これならハブ退治もできる!」と確信したものだった。

 が、後で聞いたところでは、マングースも命がけであり、
わざわざ危険をおかして毒蛇狩りなどはせず、もっと捕食しやすい生き物に向かうはずだと。

 さらに、ハブは夜行性であるのに対し、
マングースは昼間に活動するということで、元々無理があったようだ。

 そんな基本的な知識や熟慮もないまま放ってしまったとは・・・。

     

 しかしマングースの移入は1870年頃から
世界各地で行われており、今になってみんな困っているそうだ。 

 根絶は簡単ではなく、今回のケースはとても珍しいとか。

 奄美大島で根絶できたのは、
国や島民の一丸となったねばり強い取り組みがあってのことだろう。

 比較的小さな島であったことも幸いしたかもしれないが、
20年余りに及ぶと聞く気の遠くなるような努力には頭が下がる。

 アマミノクロウサギの個体数が順調に増えているのがうれしい。

 ある種の生物を駆除するために、
安易にその「天敵」なるものを放つという考えがいかに危ういことか。

 この教訓は大きい。
 
 
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