稲村亭日乗

京都の渓流を中心にルアーでトラウトを釣り歩いています

学問のすすめ それぞれの時代

2014年03月05日 | 日々
 串本小学校に通っていたころのこと。
 教室に大きな文字で書かれていた。
「天は人の上に人をつくらず人の下に人をつくらず」と。

 よく目についたからか、今でもおぼえている。

 そんなこともあってか、いつか福沢諭吉の『学問のすすめ』を読んでみたいと思っていた。

 そしてやっと読む機会を得た。

     

冒頭の「天は・・・」。
 ぼくはてっきり、いわゆる天賦人権説を述べていたのかと思いきや、違っていた。
 福沢は「されど」と続ける。

 実際には「かしこき人、おろかなる人・・・貴人、下人、」と多様なることをあげ、「その有様雲と泥との相違あるに似たるはなんぞや」と問いかける。
 福沢はそれを分けるものを学問の力の有無に求めている。

 これだけならば、だから「学問のすすめ」となる。

 が、福沢は言う。
「この心得ありて後に、・・・身も独立し、家も独立し、天下国家も独立すべきなり。」と。
 それに続けて、中国が外国に隷属するに至ったのもそこにあると例示する。

 福沢の学問奨励が日本の国の自立を強く意識していたことが読み取れる。

 おそらく、咸臨丸による渡米をはじめとする何度かの洋行、外書の閲覧などがその背景にあったのだろう。
 これは福沢流の危機意識だったのかもしれない。

      

 昔々、ぼくが大学に入った年。
 受験勉強から解放され、読みたい本を片っ端から読んだときがあった。

 そのときの一冊に「新・学問のすすめ」というのがあった。
 誰が何を書いていたかはもう思い出せない。

 けれども類似の啓蒙書がたくさんあるなか、福沢のそれは時代をよく映している。
 不安定ながら、世界に立ちむかっていこうという、当時の気分が伝わってくる。

 実におもしろい。
 おすすめ。


  * なお、福沢=「天は人の上に・・・」という一般に知られる結びつけ。
    これは福沢を的確に象徴するとはいいがたい。
    そう感じるがどうか?。

 本日 串本港 夜のアジング
    アジ 9匹(19~23cm)
    強い北風に悩まされつつも、楽しい!

      
コメント
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