10月1日(火)、加西市にある兵庫県立農林水産技術総合センター畜産技術センターを訪問してきました。
今回の訪問は、京都府立大学の大島教授の依頼で、但馬牛改良の現状と課題について教えていただくことが目的でした。坂瀬部長、大崎課長が、お忙しい中丁寧に説明してくださいました。坂瀬部長、大島課長には、先日の黒田庄和牛畜産共進会の審査でお世話になりました。
畜産技術センター・家畜部は、但馬牛の肥育の研究と但馬牛の改良(精液配布・産肉検定)の事業を行っています。世界に誇るブランドである但馬牛と神戸ビーフには、厳格な規定があります。但馬牛は、兵庫県有種雄牛のみを歴代に亘わたり交配した但馬牛を素牛とし、繁殖から肉牛として出荷するまで神戸流通推進協議会の登録会員(生産者)が県内で飼育管理し、県内の食肉センターに出荷した生後28ヵ月令以上から60ヵ月令以下の雌牛・去勢牛のことを言います。神戸ビーフとは、但馬牛のうち、脂肪交雑のBMS値No.6以上で、枝肉重量が雌-270kg~499.9kg、去勢-300kg~499.9kgのものを指します。但馬牛は、他県の種牛を導入しない育種手法(閉鎖育種)がとられており、但馬牛の純粋性、産肉能力の斉一性が売りになっており、神戸ビーフの素牛として大きな価値を有するようになりました。但馬牛を守るために、兵庫県肉用牛有識者会議が平成12年に設けられ、毎年1回開催されているそうです。
近親交配対策として、基幹種雄牛(12頭)と待機雄牛(28頭)の種雄牛(40頭)と繁殖雌牛14000頭をジーンドロッピング法と呼ばれる系統分類により防いでいるとのことでした。
畜産技術センター・家畜部の改良努力により、神戸ビーフ率(H25・59.8%⇒R4・93.3%)、枝肉単価(H25・2,531円⇒R6・4,548円)、輸出国(H25・5か国⇒R4・25か国)、子牛価格(H25・54万円⇒R6・94万円)と上昇しています。
最後に、畜産技術センター・家畜部の課題として、環境負荷低減に関して①メタンガスの削減と②低たんぱく質の飼料の導入、美味しい牛肉生産に関して③赤身肉の成分(グリコーゲン)と④香りの成分、枝肉の解析にあたって⑤画像撮影装置・枝肉解析ソフトでの解析の5点を挙げられました。
大島教授から、生産者目線に立った質問・消費者目線に立った質問など様々な質問が出されました。坂瀬部長・大崎課長の丁寧な回答を聞き、大変勉強になったと喜んでいます。
兵庫県立農林水産技術総合センター畜産技術センターは、広大な敷地の中にあります。近くには県立農業大学や加西農業普及センターがあります。農業を研究し実習するには最適の環境だと思いました。
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