とりがら時事放談『コラム新喜劇』

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台湾新幹線の乗車体験記(9)

2007年02月03日 21時39分58秒 | 旅(海外・国内)

やがて私が乗車することになるであろう新幹線の行き先案内板には、
「暫停服務」
という文字がLED表示で記されていた。

暫停
というのはなんとなく暫定なのではないか。
字、間違っているのじゃないかと思ったのであったが、そういう言葉もあるようなので、それはそれで私の勉強不足ということにしておくことにしよう。
それにしても「暫停服務」ちゅうのもなんとなく重々しい感じがするので、これもまた日本語表記で「回送」または「準備中」くらいに留めておいていただきたいと思ったが、同時にそれは私のワガママかな?とも思ったのであった。

発車時刻まで暫くあるので、ドアが開くのはまだまだだなと列車の方を向いてぼんやりしていると、背後になにやらオーラのようなものを感じた。
振り返ると、今列車が止まっているのとは反対側のプラットホームを小さなトラベルバックを引きずりながら「ノッソ、ノッソ」と歩いている外人を見つけた。

外人と言ってもこの場合、白人という意味である。
厳密に言えば、私も日本人なので、ここ台湾では私も外国人ということになり、白人だからと言って外国人たる私が彼を外国人呼ばわりするのも、正直おかしい
しかし私はタイやミャンマーでも白人を見かけると「外人やな」と思ってしまう性分であるため、日本と街の景色や国民の雰囲気が寸分も変わらないここ台湾で白人を見かけると「外人や」と思うのも無理はないのであった。

で、その外人から何故オーラを感じたのかというと、その外人のオッサンは凄くデカかったのだ。
私の身長は178センチメールあり、どちらかというと日本人では高い方だ。
その178センチメートルの私が見上げるのだから、ものごっついデカイということができるだろう。
しかもその白人のオッサンは台湾高鉄の制服を纏っていたのだ。

「台湾新幹線の運転手はフランス人」

という新聞記事を思い出した私は瞬時にその超デカイオッサンがこれから出発する私の乗る列車の運転手であることに気がついた。
あの似合わん高鉄の制服を着ている白人のオッサンは運転手なのだ。
そう。
このオッサンをカメラに納めずしてなんとする。

カメラを構えた私は大急ぎでオッサンの後ろを追いかけた。
そして数枚の写真を撮影した。
他の乗客の皆さんも運転手に向けてカメラを向けている。
外人運転手のオッサンも少しぐらいはポーズぐらいとってくれても良さそうだが、御雇外国人としてのプライドが許さないのであろう。
カメラを一切無視して出発の準備作業に励んでいる。

まずは鍵を取り出し、運転席に一番近い先頭の扉を開けようとしている。
デカイだけに鍵を開けるためにかがむのが辛そうだ。
日本人(=台湾人)向けサイズに製造された700T系新幹線両なので仕方がない。
なんとか扉を開けたオッサンは天井の高さを気にしながら、オッサンは乗り込んでいったのであった。

それにしても、どうしてフランス人なのか。
私は理解できない。
新幹線はほとんど全自動なので運転手はどうでも良い。
いっそのことタイワンザルでも良いのだが、サルに乗客の命を預けることもできないので、基本的に漢字の読めないフランス人に任しているのかも分らない。

確かに新幹線は建設に際して紆余曲折が有り、一旦ヨーロッパ連合の企業が受注したものを李登輝先生の鶴の一声で日本製に180度変わってしまったという経緯があるのは誰もが知っている。
しかしバランスを取るために運転手をフランス人にするのはいかがなものであろう。

日本人の遺伝子が脈々と受継がれている台湾の人々だからこそ、文明開化の明治維新の時に御雇外国人を国鉄に採用したも、すぐさま独自の力で鉄道設備の製造から運営までこなしはじめた私たちの祖先のスピリットを少しでも早く思い出していただきたいと思うのであった。

つづく


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4 コメント

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台湾高鉄も今反省中ですか? (投稿2回目です)
2007-02-04 08:52:35
 日本のJRの提案をもっと取り入れていたら最小のコスト(フランス人運転手の給与高そうですね!)とより小さなトラブルで済んだのにとこの点が残念です。座席予約システム、改札機設備なども選ぶならやはり日本でしょう。運転手さんの問題もあとをひきそうですね。先頭車両で運転手の人がドア開閉の操作?をしている様子がよくわかりました。初めて拝見しました。貴重なスナップに"多謝”しています。("つづき"を期待しています)
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ドアの鍵 (じぇいむず@とりがら管理人)
2007-02-04 16:29:31
こんにちは、楽しんで頂いているようで幸いです。
実はこの運転手を発見したあと、その後ろを追跡しつつシャッターを切って、撮った写真の一枚がこれです。
新幹線の扉の錠はどこについているのか、私も初めて知りました。
色んな国にシステムを発注し、結果的にトラブってるんでしょうが、台湾という特殊事情の国では、それが国際的に生きるための術なのだと感じました。
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暫停服務 (文彦)
2007-02-08 15:46:42
こんにちは はじめまして
台湾留学中の文彦です。
今日、台湾新幹線に関する記事を探しているとき偶然
じぇいむずさんのブログを見つけました。
「暫停服務」とは、漢文式に返り点をつけると
暫停2服務1となり、暫(しばらく)服務(サービス)を
停(とめる)と読める如く、「しばらくサービス停止」という意味です。でも台湾ではつぶれた店のシャッターの上に必ず「暫停営業」という張り紙が貼ってあるように再開する気がなくてもとりあえずやめるときは
「暫停」をつかうようです。

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勉強になります (じぇいむず@とりがら管理人)
2007-02-08 20:43:36
初めまして、文彦さん。
当ブログにお越し下さりありがとうございます。

いや~、勉強になります。
たった2日間(実際は3泊4日)の台湾旅行でしたが、漢字の勉強になりました。
ついつい井上ひさし著「東京セブンローズ」を思いだし、漢字はかくあるべし、と思った次第です。
でも潰れたお店の表示も「暫停営業」ちゅうのは、縁起悪いですね。

初めての海外輸出新幹線が順調に利用され、台湾の人々の役に立つことを期待しています。
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