人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

小林研一郎+東京フィルでベートーヴェン「運命」、リスト「ピアノ協奏曲第1番」を聴く

2014年05月11日 07時51分41秒 | 日記

11日(日)。昨日の在京各紙に元ビートルズ・メンバー、ポール・マッカートニーの来日コンサートの全面広告が載りました 1966年以来48年ぶりに来日して、5月21日に思い出の日本武道館でコンサートを開くという内容です

驚くのは入場料金です。S席80,000円、A席60,000円、B席40,000円、アリーナ席100,000円で、25歳以下限定のC席1,500円もあります、という料金設定です 1,500円は1966年のビートルズ来日公演のC席と同じ料金との売り口上ですが、果たして何枚用意しているのか

 

          

 

私が行ったコンサートやオペラの中で、これまで最も高額だったのは2011年6月の米メトロポリタン歌劇場の来日公演のS席64,000円でした。この時は「ラ・ボエーム」、「ドン・カルロ」、「ルチア」の3公演を観たので192,000円かかりました

今回のポールの公演は、もちろんバンドやスタッフを引き連れて来日するのでしょうが、オペラが複数の有名歌手と豪華な舞台装置とともに公演するのに比べれば、それほど大がかりな規模ではないのではないかと推測します その割にはあまりにも高額な料金設定です。それでも行く人は行くのでしょう。私がどうしても観て聴きたいオペラに行くように

 

  閑話休題  

 

昨日、文京シビックホールで、東京フィル「響きの森クラシックシリーズ」演奏会を聴きました プログラムは①メンデルスゾーン「フィンガルの洞窟:序曲」、②リスト「ピアノ協奏曲第1番」、③ベートーヴェン「交響曲第5番ハ短調”運命”」です。②のピアノ独奏は清水和音、指揮は”炎のコバケン”こと小林研一郎です

 

          

 

オケがスタンバイし、コンマスの荒井英治の指示でチューニングが始まります 東京フィルは150人もの楽員を抱える大オーケストラなので、オケを見渡しても弦楽器の首席奏者くらいしか分かりません。150人の中から各コンサートの出演者をどのように決めるのでしょうか?この日は第2ヴァイオリンの首席・戸上眞里、ヴィオラの首席・須田祥子の姿がありませんでした もっともこれだけの人数がいれば同時刻に演奏すべきコンサートがダブっていても半分ずつに分かれて演奏することが可能です

指揮者・コバケンが使い古した指揮棒を持ってニコニコ顔で登場します 1曲目のメンデルスゾーン「フィンガルの洞窟」序曲は、作曲者が20歳の時にスコットランドのへブリディス諸島に出かけた際、当地のフィンガルの洞窟などの印象を”序曲”という名前で作曲したものです。したがって、序曲に次いで本編のオペラがある訳ではありません

この曲は、よくブラスバンドで演奏される機会が多いのですが、実際に聴いてみると、やはりフル・オーケストラで聴いた方が”音の風景”がより良く頭に浮かびます

次いで、ピアノがステージ右サイドからセンターに移動し、リスト「ピアノ協奏曲第1番」の演奏に入ります ソリストの清水和音がコバケンとともに登場します。舞台上のそこかしこに集音マイクが立てられています。どこぞの放送局が放送するのでしょうか。その答えは後で判明します

コバケンの指揮で、勇ましいテーマが奏でられ、すぐに力強いピアノが入ってきます この曲は4楽章から成りますが、切れ目なく演奏されます。したがって、全体が単一楽章のような印象を受けます

この曲はリストが自分のピアノの腕前を聴衆に見せつけるために書いたような超絶技巧の曲なので、相当難しいパッセージがハデハデに現われますが、清水和音は「向かって来るものに怖いものなし」の状態で、何の苦も無くリストの難曲を弾きこなします 名前こそ和音(かずね)で女性のような感じですが、演奏は男性的で力強いものです。弱音がキラキラと煌めいているのもこの人の特徴です 第4楽章における最低音部のずっしりと響く音の塊はこの人の最大の魅力です

数年前に1日でラフマニノフのピアノ協奏曲全曲を暗譜で弾いたように、非常にタフなピアニストです 拍手とブラボーを受け、何度もステージに呼び戻されていました 声援の中に、ブラボーのブラがない「ボー」が聴こえました。「ノー・ブラの某氏」のようです あなた、こんなところまで来ているんですか。ここはおいらの縄張りだからね。巣鴨はすぐ近くだぜ

 

          

 

休憩中にコーヒーを飲もうとロビーのカフェに行ってみたのですが、張り紙があり「店舗入れ替えのため休業中」とありました 前のカフェの経営者は採算が取れず撤退したのでしょうか。コーヒー・ブレークのつもりが、お店がブレークしちゃいましたね

休憩後は本日の「メーン・イベント」ベートーヴェンの「交響曲第5番ハ短調”運命”」です 指揮者の登場です。前半の登場時と違い、コバケンに笑顔はなく真剣な眼差しで足早に指揮台に向かいます。聴く方だって、これから”運命”をやるのにニコニコしながら指揮台に向かう指揮者は見たくもありません

第1楽章冒頭、休止符に続き”運命”のテーマが会場に鳴り渡ります この曲の冒頭に休止符がなく、最初からジャジャジャ・ジャーンと鳴ったら、多分気が抜けた音楽になるでしょうね 人間が覚悟して何かをやろうとする時は、息を止めるものです。私は中学高校と陸上競技の短距離をやっていましたが、スタートで”位置について”、”よーい”で息を止めます。そして「ドン」で一気に息を吐き出します。それと同じです ベートーヴェンが何故優れているかと言えば、曲の途中ではなく、冒頭に休止符を置いたところです 

コバケンは軽快なテンポで音楽を進めます。オケの音に負けない大きさのコバケンのうなり声が聞こえてきます この人の特徴です。第4楽章終盤で、オーボエのソロがありますが、これほど息の長いソロを聴いたことはありません。コバケンの指示によるものです

フィナーレでオケが最高潮に達して演奏が終わると、ブラボーと拍手 の嵐がステージ上に押し寄せました。コバケンはコンマスとハグ(荒井は一瞬引く)、弦の首席ひとりひとりと握手、管楽器、弦楽器の順にセクションごとに立たせて賞賛します。いつも通りに

そして、ここからがコバケンの独壇場となります。拍手を制して地声で「皆さま、今日はありがとうございました。皆さまのオーラを受けて、オケが素晴らしい演奏をすることが出来ました 今日の演奏はNHKで、番組の名前は忘れましたが、放送されるそうです それではアンコールにブラームスのハンガリー舞曲の第4番を演奏します」として、演奏に入りました

分厚い弦の音が流れてきたとき、心底驚きました ついさっきまでベートーヴェンの音だったオケが、その瞬間からブラームスの音に変貌しています 中間域を中心とする分厚い音の大波が観客席に押し寄せてきます。第1回ブタペスト国際指揮者コンクール優勝者で、ハンガリー国立交響楽団音楽総監督を務めた小林研一郎のこだわりの音に違いありません 東京フィルはこういう音も出せるのか と驚いた瞬間でした

終演後いつもの通り、コンサート・フレンドのお二人とホール近くのコーヒーショップでコーヒーを飲みながら、この日のコンサートや6日にあった震度5弱の地震の話などに花を咲かせました お二人とも80歳を超えながらもコンサート通いをされている元気なシニア・レディで、私の目標でもあります 次の7月の「響きの森」で再会することを約してお別れしました

今日は午後から1泊出張のため静岡に向かいます したがって月曜のブログは出張から帰ってきてからアップすることになります

 

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「METライブビューイング~「ラ・ボエーム」「コジ・ファン・トゥッテ」「ラ・チェネントラ」

2014年05月10日 07時00分28秒 | 日記

10日(土)。昨日は朝から夕方まで4つの会議をこなしたので頭がおかしくなりそうでした(今でも十分おかしいだろう、の声あり)。お疲れさん会ということで、X部長、T君と3人で当ビル地下のRで久しぶりに飲みました X部長の悪い癖で、外を通る人を見張っていて店にひっぱり込もうとします。その結果、S建設の3人が網にかかり引き入れられました ビール、日本酒、ワインをさんざん飲んで、私だけ帰ろうとすると、「地下1階の2つの飲食テナントの片方だけで飲んで帰るのは不公平だ」というX部長一流の相対性理論(要するに、もっと飲みたい口実)を展開され、止む無くOにも寄って日本酒を飲みまくりました という訳で、今日は朝から絶不調です。今日は午後、コンサートがあるので何とか体調を回復しておかなきゃ

 

  閑話休題  

 

「METライブビューイング2013-14」の3枚綴りチケットを購入しました 今年に入ってからは、ドヴォルザーク「ルサルカ」、マスネ「ウェルテル」を観ましたが、ボロディン「イーゴリ公」は観損ねました

 

          

 

これから観るのは、プッチーニ「ラ・ボエーム」(5月10日~16日)、モーツアルト「コジ・ファン・トゥッテ」(5月24日~30日)、ロッシーニ「ラ・チェネントラ」(5月31日~6月6日)の3本です

「ラ・ボエーム」はフランコ・ゼフィレッリの超豪華な演出 「コジ・ファン・トゥッテ」はジェイムズ・レヴァインがタクトをとります 「ラ・チェネントラ」はジョイス・ディドナートとファン・ディエゴ・フローレスの歌が聴きものです     

チケットは通常1枚3,500円ですが、3枚綴り券は9,000円と割安になっています 都心での上映は新宿ピカデリー(10:00から)、東銀座・東劇(13:30から、18:30から、ラ・ボエームのみ11:00から、15:00から、19:00から)です

 

          

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東京シティフィルのマーラー、国立音大のベルリオーズのチケットを買う

2014年05月09日 07時00分40秒 | 日記

9日(金)。昨日の日経朝刊・東京首都圏経済欄に「GW大型イベント堅調~首都圏の人出」という記事が載りました 記事によると、5月3~5日に東京国際フォーラムを中心に開かれた「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2014」には延べ約61万2,000人(昨年比約10万人増)が来場したとのことです 今年は公演数が拡充されましたが、担当者は「グッズや飲食の売り上げも好調で、消費増税の影響は感じられなかった」と話しているそうです

「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭」も今年で10年目ということで、かなり認知度が高くなってきたのでしょう 実際に19公演を聴いてみて昨年までと違うと思ったのは、多くのコンサートがほぼ45分に限定されており、その多くが時間どおりに終了したということです お陰さまで次の会場まで走らなければならないのは1公演のみに止まりました

 

          

 

  閑話休題  

 

昨日、会社帰りに、当ビルの道路を挟んで向かい側にある日比谷図書文化館(旧・日比谷図書館)に寄って『日比谷に咲いたタカラヅカの華』(東京宝塚劇場開場80周年記念特別展)を観ました 今年は宝塚歌劇団創設100周年であると同時に東京宝塚劇場開場80周年であることから、記念に特別展を開催することになったものです

 

          

 

この展覧会では、東京宝塚劇場80年の歴史を写真やポスターなどの公演資料でたどっています 1914(大正3)年4月に『宝塚少女歌劇団』として発足し、1940(昭和15)年10月に『宝塚歌劇団』と改称して現在に至っていることを知りました また、ポスターを見ていて『東宝』が東京宝塚劇場の略であることにあらためて気が付いたり、私が大学を卒業して社会に出た年に『ベルサイユのばら』が初演され、観客動員数が約140万人という大ブームを引き起こしたことを、おぼろげながら思い出しました 場内には本物のステージ衣装も2組飾られていますが、これだけはフラッシュを炊かなければ撮影可能とのことです。撮りそこなった とにかくゴージャスです 私が観たときには『ベルサイユのばら』というよりも『エルサイズの腹』という中年男性も鑑賞していました

私は招待券で入場できましたが、一般の入場料は300円、大学・高校生は200円です。開室時間は、平日が10:00~20:00、土曜が10:00~19:00、日曜・祭日が10:00~17:00となっています

 

          

 

 

実は、毎週木曜日の朝日夕刊にエッセイ「ひみつのHちゃん」を連載している(昨夕は第6回目!)宝塚歌劇団出身の黒木瞳さんの写真が1枚でも展示されているのではないか、とかなり期待して見に行ったのですが、残念ながら1枚もありませんでした 黒木瞳さんは東京での公演には出演しなかったのでしょうか?場内は写真撮影禁止になっていたので最近の公演(花組、月組、宙組)のチラシをもらってきました 生きている間に一度は生で観てみたいと思っています

 

          

          

          

 

  閑話休題  

 

チケットを2枚買いました 1枚目は5月16日(金)午後7時から東京オペラシティコンサートホールで開かれる東京シティフィルの第279回定期演奏会です プログラムは①ブラームス「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」、②マーラー「交響曲第1番ニ長調”巨人”」で、指揮は宮本文昭、①のヴァイオリン独奏は木嶋真優です これはプログラムが魅力です。さらにケルン放送管弦楽団でオーボエを吹いていた宮本文昭が、いったいどんなアプローチでマーラーに取り組むのか、またN響でも演奏した木嶋真優のブラームスはどんな演奏になるのか、期待大です

 

          

 

2枚目は7月14日(月)午後7時から東京オペラシティコンサートホールで開かれる国立音楽大学オーケストラの第121回定期演奏会です プログラムは①リヒャルト・シュトラウス「交響詩:ドン・ファン」、②フランツ・リスト「ピアノ協奏曲第1番」、③ベルリオーズ「幻想交響曲」で、指揮は準・メルクル、②のピアノ独奏はアレッシオ・バックスです これは指揮者+幻想で選びました。入場料金がS席1,500円、A席1,000円というのも魅力です 学生オケを馬鹿にしてはいけません。これはお薦めです

 

          

 

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この夏・秋公開の音楽映画のご紹介~「アルゲリッチ 私こそ、音楽」ほか

2014年05月08日 07時00分36秒 | 日記

8日(木)。昨日の日経「夕刊文化欄」に「大阪の特色出した音楽発信 街はホールの一部」と題する、指揮者・井上道義氏のインタビュー記事が載っていました 井上氏は1946年東京生まれ。桐朋学園大卒。新日本フィル、京都市交響楽団の音楽監督を歴任し、オーケストラ・アンサンブル金沢の音楽監督を務めていますが、今年4月から大阪フィルの首席指揮者に就任しました 大阪フィルは、井上氏の音楽監督就任に合わせて11年ぶりに、昨年再開業したフェスティバルホールに本拠地を戻しました

井上氏は、「フェスティバルホールは、ホール自体の音響の良さや祝祭的な雰囲気に加え、ホールが立地する中之島の環境が文化の薫りが濃厚であることが素晴らしい」とし、「ホールは決して外に閉ざされた空間ではなく、それを作り上げた人々や聴いた人々を通し、街全体の雰囲気まで変えてしまう力を持つ。音楽作りは街づくりとまで言っていいのではないか」としています そして、大阪フィルは半世紀以上もトップ指揮者だった朝比奈隆氏のイメージが強く、彼が好んで取り上げたブルックナーを思い浮かべる人が多いが、「大阪の街にはブルックナーらドイツ系の作曲家が合うかと言えば必ずしもそうではない。大阪の人たちの明るさや人懐っこさを考えれば、むしろフランスやスペイン、イタリア、ブラジルなどラテン系の作曲家たちの作品の方が断然相性が良いように思えるし、この機会に幅広くチェンレンジしたい 全国にオーケストラは多い。もっと地域の特色を打ち出すべきじゃないか」と主張します

「音楽作りは街作りとまで言っていいのではないか」という主張は、大阪で新しく生まれ変わったフェスティバルホールだから言えるのではないか、と思います 現実を見つめて、既存のホールはどうでしょうか?サントリーホールは狭いカラヤン広場しか思い浮かびません 池袋の東京芸術劇場はコンクリートの池袋西口公園しか思い浮かびません 銀座の王子ホールはデパートの三越しか思い浮かびません いずれも大阪の中之島のように周囲を川が流れる自然環境下にある訳ではありません。それが現実です。都会のコンサートホールは、残念ながら”街作り”からはほど遠く、ホールの中だけで自己完結せざるを得ないのが実情ではないでしょうか

朝比奈隆氏が亡くなってから13年も経ちます。大阪フィルはそろそろ独自色が打ち出されてもいいと思います 井上氏の主張される通り、脱ドイツ・親ラテンの方向で行ったら面白いかもしれません が、その前に、井上氏は京都で、金沢で、どのような独自色を出してきたのでしょうか。その実績はいかに

井上氏は咽頭がんのため6月までは指揮活動をせず治療に専念するとのこと。ゆっくり静養して、大阪で大暴れしてほしいと思います

 

  閑話休題  

 

ラ・フォル・ジュルネ音楽祭に行った時、国際フォーラム地下のパンフレット・コーナーに今年7月以降に公開予定の音楽関係映画のチラシがありました

1本目は7月11日公開の「パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト」です。ヴァイオリニストのデイヴィッド・ギャレット(私は知らない)が鬼才パガニーニに扮し、ストラディヴァリウスで演奏するとのこと。音楽も担当するとのことなので、どういう場面でどういう曲を弾くのか興味があります。2013年、ドイツ映画、122分

 

          

           

 

2本目は8月1日公開の「サンシャイン 歌声が響く街」です。これはイギリスで大ヒットしたミュージカルを映画化したものとのこと。スコットランドの国民的バンド、プロククレイマーズの名曲の数々(私は知らない)が全編を流れるとのこと。2013年、イギリス映画、100分

 

          

          

 

3本目は今秋公開の「アルゲリッチ 私こそ、音楽」です。監督はマルタ・アルゲリッチの三女ステファニー・アルゲリッチ(私は面識ない)。映画の中でアルゲリッチが演奏するシーンは、プロコフィエフ「ピアノ協奏曲第3番」、ショパン「ピアノ協奏曲第1番」、同「ポロネーズ第6番」、同「ワルツ第6番」、ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第28番」、モーツアルト「ピアノ・ソナタ第15番」、ラヴェル「ピアノ協奏曲」他とのこと。アルゲリッチ・ファンには垂涎の映画です

 

          

 

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「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2014」独断で選ぶマイ・ベスト5

2014年05月07日 07時00分24秒 | 日記

7日(水)。昨日は3日間連続コンサート通いで疲れたので、ラ・フォル・ジュルネ音楽祭で買ってきたアンヌ・ケフェレックの3枚組CDを聴きながら新聞や本を読んで過ごしました このCDは「ラヴェル・ドビュッシー・フォーレ」アルバムで、1970年代後半から80年代にかけて録音されたLPからのコンピレーション・アルバムです ラヴェルの「ピアノ協奏曲」、ドビュッシーの「ピアノと管弦楽のための幻想曲」、フォーレの「ヴァイオリン・ソナタ」などが収録されていますが、あらためて聴いてみて”いいな”と思ったのはアモイヤルとの演奏によるフォーレのヴァイオリン・ソナタです。またドビュッシーの「ピアノと管弦楽のための幻想曲」も面白い曲だと思いました

 

          

 

  閑話休題  

 

今年の「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2014」には3日間で19公演聴きましたが、特に良かったコンサートを独断と偏見で5つ選んでみました。今回聴いた19公演は聴いた順に以下の通りです

1.モーツアルト「ピアノ四重奏曲第2番」ほか(アンヌ・ケフェレック、レジス・パスキエ他)

 

          

 

2.モーツアルト「クラリネット協奏曲」「フルートとハープのための協奏曲」(ラファエル・セヴェール、吉野直子他)

 

          

 

3.ベートー―ヴェン「弦楽四重奏曲第11番、第7番」(プラジャーク弦楽四重奏団)          

4.ベートーヴェン「七重奏曲」(ルートヴィヒチェンバープレイヤーズ)

5.チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」ほか(ジェヌヴィエ―ヴ・ロランソー、タタルスタン国立交響楽団)

 

          

 

6.シューマン「ピアノ五重奏曲」「ヴァイオリン・ソナタ第1番」(クレール・デゼール他)

 

          

 

7.ブラームス「ピアノ五重奏曲」(アダム・ラルーム、モディリアー二弦楽四重奏団)

 

          

 

8.ショパン「チェロ・ソナタ」「ピアノ三重奏曲」(ボリス・ベレゾフスキー他)

 

          

 

9.ブラームス「ヴァイオリン協奏曲」(イェウン・チェ、ドミトリー・リス+ウラル・フィル)

 

          

 

10.ブラームス「3つの間奏曲」、シューマン「交響的練習曲」(仲道郁代)

 

          

 

11.モーツアルト「ピアノ・ソナタ第12番」、ショパン「ノクターン”遺作”」ほか(アンヌ・ケフェレック)

 

          

          

 

12.フォーレ「ヴァイオリン・ソナタ第2番」「ピアノ三重奏曲」(レジス・パスキエ、ジャン=クロード・ペヌティエ、堤剛)

 

          

 

13.ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第26番、第21番」(小菅優)

14.フォーレ「夜想曲第2番、第4番」、「ピアノ四重奏曲第1番」(ペヌティエ、モディリアー二弦楽四重奏団)

 

          

 

15.モーツアルト「ピアノ協奏曲第9番”ジュノム”」ほか(アンヌ・ケフェレック、横浜シンフォニエッタ)

 

          

 

          

           (当日のアンコール曲=ヘンデル「メヌエット」収録CD)

 

16.ベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」(マリナ・シシュ、カントロフ+シンフォニア・ヴァルソヴィア)

 

          

 

17.ブラームス「弦楽六重奏曲第1番」ほか(ジャン=マルク・フィリップス=ヴァリャベティアンほか)

 

          

 

18.ドヴォルザーク「チェロ協奏曲」(アレクサンドル・クニャーゼフ、リス+ウラル・フィル)

 

          

 

19.ラヴェル「ピアノ協奏曲」、「ボレロ」、ビべス「ファンダンゴ」、ヒメネス「間奏曲」(萩原麻未、ルセロ・テナほか)

 

          

          

            (萩原麻未・唯一のCD=グリーグ「ピアノ協奏曲」)

 

以上19公演ですが、奇しくもヴァイオリン協奏曲はベートーヴェン、ブラームス、チャイコフスキーの3大協奏曲を聴いたことになります 協奏曲では他に、モーツアルトの「クラリネット協奏曲」「フルートとハープのための協奏曲」「ピアノ協奏曲第9番」、ドヴォルザーク「チェロ協奏曲」、ラヴェル「ピアノ協奏曲」を聴きました

これらを含めて5つに絞り込むのは非常に困難なのですが、清水の舞台から飛び降りるつもりで選ぶと、聴いた順に次の5公演になりました

〇モーツアルト「ピアノ四重奏曲第2番」ほか(ケフェレック、パスキエほか)

〇モーツアルト「クラリネット協奏曲」「フルートとハープのための協奏曲」ほか(セヴェール、吉野直子ほか)

〇ブラームス「ピアノ五重奏曲」(ラルーム、モディリアー二弦楽四重奏団)

〇ブラームス「ヴァイオリン協奏曲」(イェウン・チェ、リス+ウラル・フィル)

〇ドヴォルザーク「チェロ協奏曲」(クニャーゼフ、リス+ウラル・フィル)

以上の5公演は順番の付けようがありません 演奏家で印象に残るのは、若手では、モーツアルトのクラリネット協奏曲を独奏したラファエル・セヴェール、ブラームスのヴァイオリン協奏曲を独奏したイェウン・チェの2人です 中堅・ベテランでは、ドヴォルザークのチェロ協奏曲を演奏したクニャーゼフを筆頭に、フォーレを演奏したペヌティエとパスキエ、モーツアルトを演奏したケフェレックの4人です グループではブラームスやフォーレを演奏したモディリアー二弦楽四重奏団が印象に残っています

さて、皆さんの「マイ・ベスト」はどの公演だったでしょうか?今から来年のLFJ音楽祭が楽しみです

LFJの主宰者ルネ・マルタン氏は今年フランスのナントで開かれた本場のラ・フォル・ジュルネ音楽祭について「アメリカ音楽をテーマに、20世紀の音楽だけで見事に成功した」と言っていますが、日本ではそのような無謀なことは止めて欲しいと思います そんなんだったら聴きに行かないから

 

          

          

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「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2014」第3日目(5/5)の報告②

2014年05月06日 11時10分39秒 | 日記

6日(火・休)。昨日は「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2014」の第3日目・最終日の公演のうち7公演を聴きましたが、昨日、前半の3公演について書いたので、ここでは後半の4公演について書きます

 

          

 

午後4時15分から東京国際フォーラム・ホールAでベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」を聴きました 演奏はヴァイオリン=マリナ・シシュ、カントロフ指揮シンフォニア・ヴァルソヴィアです。自席は1階14列15番、センター左ブロック左通路側です。1階後方には空席があります

この曲は1806年にベートーヴェンがアン・デア・ウィーン劇場のコンマス、クレメントのために作曲した作品で、4大ヴァイオリン協奏曲の中でも王者の風格のあるコンチェルトです

ソリストのマリナ・シシュが指揮者カントロフとともに登場します。フランスのマルセイユ出身ですが、細身でスマートな体型は一見、イギリスのピアニスト、アンジェラ・ヒューイットに似ています

 

          

 

第1楽章冒頭のティンパ二による4連音が会場に鳴り渡ります。王者たるヴァイオリンは中々出てきません。その間、シシュは音楽に合わせて身体を動かします。ベートーヴェンの世界に浸りきっているかのようです そしていよいよ出番となると、美しいメロディーを奏でていきます。ベートーヴェンのこの協奏曲はヴァイオリンによる美しいメロディーが綿々と続くのが特徴ですが、シシュは弱音と強音のレンジを広くとり、アクセントを付けて演奏します

第1楽章のヴァイオリン独奏によるカデンツァは、作曲者自身が残していないので演奏者に委ねられますが、この日シシュが演奏したそれは初めて聴くような気がしました。だれの作曲によるものでしょうか。いく分現代的な響きがありました

シシュは終始、オケと一体となって演奏するスタイルを貫いて、身体全体でベートーヴェンを表現しました

素晴らしい演奏に会場から惜しみない拍手が送られましたが、私は15分後に次のコンサートが「よみうりホール」であるので、拍手もそこそこに会場を後にしました

          

          

 

コンサートが予定通りの時間に終了したので、会場の有楽町「よみうりホール」までは走らずに行けました 午後5時15分から室内楽を聴きました。プログラムは①ドヴォルザーク「スラヴ舞曲作品72-2」、②同「スラヴ舞曲作品46-8」、③同「静かな森」、④ブラームス「弦楽六重奏曲第1番」です。演奏はヴァイオリン:ジャン=マルク・フィリップス=ヴァリャベティアン、弦楽合奏はフォル・ジュルネ・カメラ―タです

 

          

 

自席は1階P列2番、左端です。会場は満席

最初にドヴォルザークのスラヴ舞曲作品72-2と作品46-8が、ヴァンサン・コック(男性)とパロマ・イーデル(女性)のピアノ連弾によって演奏されました この2曲はオーケストラ版でお馴染みですが、ピアノで聴くとまた違った魅力があります。というか、ピアノ連弾の方が良いように思います

次にルイス・ロッドゥのチェロとコックのピアノによりドヴォルザークの「静かな森」が演奏されました。題名の通りピアノの伴奏によりチェロが朗々と美しいメロディーを奏でる佳品でした

最後はブラームスの「弦楽六重奏曲第1番変ロ長調」です。ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロが各2本という編成による曲です 第1ヴァイオリンのヴァリャべディアン(男)、第2ヴァイオリンのアナ・ゲッケル(女)、ヴィオラのベンジャミン・ベック(男)、東条慧(女)、チェロのラファエル・ピドゥ(男)、ルイス・ロッドゥ(男)という順番に並びます。チェロのピドゥは横顔が若き日のカラヤンによく似ています

面白いと思ったのは、演奏する楽器ごとに椅子が違うことです ヴァイオリンの2人は背もたれのないピアノ椅子、ヴィオラの2人はパイプ椅子、チェロの2人は高さの調節が出来る背もたれのあるピアノ椅子です。演奏者にとって椅子は重要な道具ですから皆さんこだわるのでしょうね

この作品はブラームスが27歳の時の作品ですが、ブラームスの魅力の詰まった大好きな曲です 第1楽章の冒頭から滔々と流れる音楽に身を委ねていると幸せを感じます。第2楽章は映画のテーマにも使われた馴染みのある曲です。切ない思いが音楽のうねりの中で語られます。明るい第3楽章を経て、再び滔々と流れる第4楽章に移ります

ピアノの曲を聴いている時にはそれ程感じなかったのですが、弦楽合奏の曲ではこのホールは最悪だと思いました とくに弦のピチカートがズンズンとこもってしまい音楽的に響きません。演奏が素晴らしかっただけに非常に残念です

ところで、4楽章の演奏途中で、最前列ほぼ中央に座っていた男性客が急に席を立って荷物をまとめて退席しました この時点で終了予定時間を10分近くオーバーしていたので、次の公演に間に合わないと判断して中途退席したのだと思います。同じような立場から、気持ちはよーく分かりますが、”演奏途中”での退席は演奏者に対して失礼だと思います 実は、この人、私が行くコンサートで必ずと言っても良いほど見かける人です。しかも、座席は常に一番前のど真ん中の場合がほとんど。私が年間170回コンサートに行っているとすれば、この人は200回を超えているかも知れません 多分複数のオケの定期会員になっており、各コンサートホールのメンバーになっていて、会員優先販売で良い席をいち早く入手しているに違いありません。私が仕事を引退したら、多分この人のように生きるだろうと思います。ただし、演奏途中の退席はしないでしょう

 

          

 

次にホールAに移動して、午後6時45分からドヴォルザークの「チェロ協奏曲ロ短調」を、チェロ=アレクサンドル・クニャーゼフ、ドミトリー・リス指揮ウラル・フィルの演奏で聴きました 自席は1階3列27番。私は9年連続でこのホールAに通っていますが、これほどステージに近い席を確保したのは初めてです。前から3列目の真ん中で、目の前はコンマスです。会場は1階席後方に空きがあるようです       

 

          

 

ソリストのクニャーゼフはロシア出身のチェリストです。モスクワ音楽院でチェロとオルガンを学んだそうです。指揮者ドミトリー・リスとともに登場します。目の前でみるクニャーゼフはガッチリした体型の頼もしげな男性です

リスのタクトで第1楽章が始まります。そしてチェロがテーマを奏でると、開始早々チェロの弓の繊維が2本切れて垂れ下がってしまいました。何という力強い演奏でしょうか。これにはました。クニャーゼフは時にうなり声を上げて力演します。彼の演奏姿を見ていると、チェロと格闘する熊のように見えてきます

リス指揮ウラル・フィルも負けてはいません。リスは暴力的とも思えるほどの一見乱暴な指揮ぶりでオケをコントロールします 私は彼の大ファンです。床の振動を通して足からも音楽が伝わってきます。これは前方の席だけの利点です 私は現在在京オケ等7つの定期会員になっていますが、ほとんどセンターブロックの真ん中よりもやや後ろの席です。演奏家の音を間近で感じるためにはもっと前の席に移る方が良いのではないか、と考え直さなければなりません。そのように思わせる迫力のある演奏でした

嵐のような拍手 とブラボーが会場を満たしました。クニャーゼフはアンコールにパガニーニ「24の奇想曲」から第13番を鮮やかに演奏しました

次の公演まで時間があるのでJR有楽町駅近くで夕食をとることにしました。時間が余ったのでフォーラム地下に行くと、今年の音楽祭に参加したアーティストたちの寄せ書きが掲示されていました

 

          

          

 

午後8時45分からホールAで開催された「ラ・フォル・ジュルネ2014」最終公演を聴きました プログラムは①ラヴェル「ピアノ協奏曲ト長調」、②同「ボレロ」、③ビべス「ドニャ・フランシスキータ」より「ファンダンゴ」、④ヒメネス「ルイス・アロンの結婚式」より「間奏曲」です。演奏はピアノ=萩原麻未、カスタネット=ルセロ・テナ、ジャン=ジャック・カントロフ指揮シンフォ二ア・ヴァルソヴィアです

 

          

 

自席は1階21列54番、右ブロックの右から2つ目の席です。最終公演とあってか5000人収容の会場は満席です

萩原麻未が白のドレスでカントロフとともに登場 ラヴェル「ピアノ協奏曲」に入ります。ステージ脇の左右の壁に設置された大スクリーンにソリストの顔がアップされます

良い感じで第1楽章が進んでいたかと思ったら、途中でホルンが大きく外しました これは致命的です。「あ~あ、先が思いやられるなあ」と思っていましたが、第2楽章でのピアノとコーラングレとの夢見るような対話によって救われました

ところが、カントロフの指示で第3楽章に入るところで、あろうことか、入りそこなったのです 管楽器の一部に演奏の準備が整っていない楽員がいて、演奏できなかったのです 迫力のある冒頭部分がスカスカになってしまいました それでも萩原麻未は動じることなく集中力を絶やさず最後まで熱演しました

終演後、萩原麻未の希望により、カントロフが、第2楽章で”対話”をしたコーラングレ奏者を立たせ健闘を讃えました 全体的には、ソリストは良かったのにオケがズッコケで残念な結果に終わりました これって、指揮者の責任?それともオケの責任?あとで楽屋話を聞いてみたいものです

次いで、いよいよカスタネットの女王ルセロ・テナの登場です 彼女の姿がステージに現われるや、昨年のスタンディング・オベーションを知っている聴衆は大拍手を送ります

ビべスとヒメネスの曲がカスタネットの独奏入りで演奏されましたが、テナは単にカスタネットを叩くのではなく、オケの演奏に合わせて、まるで歌舞伎俳優のように”型”を決めます。言ってみれば、”見得を切る”のです それが見事に決まるので聴衆はヤンヤの喝さいを送ります。彼女は今や「ラ・フォル・ジュルネ」の”エンターテナー”ならぬ、”エンターテナ”と呼ばれるに相応しい貫録です

テナとオケはファリャの歌劇「はかない人生」から「舞曲」をアンコールに演奏しました オケが引き上げてからも、テナだけがステージに呼び戻され、スタンディング・オベーションを受けていました 凄い人気です。来年もまた来テナ

こうして、今年の「ラ・フォル・ジュルネ」も終わりました。あっという間の3日間でした。一抹の寂しさを感じます。非常に疲れたので、今日は家で大人しく過ごしました 明日はこの3日間で聴いた19公演のうちベスト5を発表しようかと思います

 

          

 

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「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2014」第3日目(5/5)の報告①

2014年05月05日 23時58分15秒 | 日記

5日(月・休日)その2。「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2014」の最終日の今日、次の7公演を聴きました

1.公演番号321(10:45~11:30 国際フォーラム・ホールB7)

2.公演番号322(12:30~13:15 国際フォーラム・ホールB7)

3.公演番号343(14:00~14:50 国際フォーラム・ホールC)

4.公演番号314(16:15~17:00 国際フォーラム・ポールA)

5.公演番号374(17:15~18:05 よみうりホール)

6.公演番号315(18:45~19:30 国際フォーラム・ホールA)

7.公演番号316(20:45~21:30 国際フォーラム・ホールA)

ここでは前半の3公演について書くことにします

 

          

 

最初に午前10時45分から東京国際フォーラム・ホールB7で開かれた小菅優のベートーヴェンの「ピアノ・ソナタ」演奏会を聴きました プログラムは①ピアノ・ソナタ第26番変ホ長調”告別”、②ピアノ・ソナタ第21番ハ長調”ワルトシュタイン”です

自席は12列13番、センター左ブロックの左通路側です。会場は満席 拍手の中、小菅優が上が赤のポンチョ風の衣装、下が黒のパンツ姿で登場し、ピアノに向かいます

1曲目の「ピアノ・ソナタ第26番」は”告別”と呼ばれていますが、ベートーヴェンのパトロンだったルドルフ大公が疎開することになったことから、大公との別れから再会までの想いを込めて作曲したものです 第1楽章「告別」、第2楽章「不在」、第3楽章「再会」から成っています。小菅はベートーヴェンの想いを込めて演奏しました 第1楽章などは、まるで大公に別れの言葉をかけているように感じます

2曲目は「ピアノ・ソナタ第21番」です。この曲は「ワルトシュタイン」と呼ばれています。ベートーヴェンは21歳の時、故郷ボンを離れてウィーンに旅立ちますが、ワルトシュタイン伯爵から手厚い援助を受けます。その感謝の意を込めて作曲したのがこの曲です

第1楽章のアレグロ・コン・ブリオから小菅はパワー全開です 彼女はこういう情熱的な曲の方が実力が発揮できるような気がします。それにしても、ベートーヴェンのピアノ曲を聴いていて思うのは、独り言を言っているか、誰かと対話しているか、どちらかに聴こえることが多いということです

会場から惜しみない拍手が送られました 終演が11時半を過ぎており、次のコンサートまで間があることから昼食をとることにしました。3日間連続で新東京ビル地下の和風レストランです

 

          

 

次に午後12時半から同じホールB7で開かれたフォーレの室内楽コンサートを聴きました プログラムは①夜想曲第2番ロ長調、②夜想曲第4番変ホ長調、③ピアノ四重奏曲第1番ハ短調で、演奏は、ピアノ=ジャン・クロード・ペヌティエ、弦楽=モディリアーニ弦楽四重奏団メンバーです

自席は8列14番、左ブロック右通路側です。会場はほぼ満席。最初にぺヌティエが登場、フォーレの夜想曲を2曲連続して演奏します 第2番は子守唄のように優しい曲だと、いい気になって聴いていたら、途中から「えっ、これが夜想曲?」と言いたくなるほど、激しい音楽に変貌しビックリしました 第4番は終始穏やかな曲で、ある意味、こちらの方がショパンに近いかも、と思いました ただ、ショパンの夜想曲と違って1曲がべらぼうに長いのです。しかし、ぺヌティエのようなフォーレの権威が演奏すると時間の経つのを忘れます

3曲目は「ピアノ四重奏曲第1番ハ短調」です。ぺヌティエとモディリアー二弦楽四重奏団のうち3人のメンバーが登場します 第1楽章は聴き覚えのあるメロディーだったのですんなりと耳に馴染んできました 第2楽章は軽快なメロディーが展開します。第3楽章のアダージョは静謐な美の極致です。フォーレはこの曲を作曲している頃、婚約していた女性との恋の破綻があったせいか、聴いていて悲痛な感じさえします ハ短調だから破綻なのか、あるいはその逆か? 第4楽章では一転、トンネルを抜け出して明るさが見えてきたという印象を受ける曲想です

ペヌティエとモディリアー二弦楽四重奏団の演奏は、エスプリに満ち、フォーレの音楽の魅力を十分に伝えてくれました

 

          

 

次にホールCに移動して、午後2時からモーツアルトの音楽を聴きました 今年ホールCで聴くのはこのコンサートだけです。例年だともっと多いのが通例です

 

          

 

プログラムは①ディヴェルティメント ニ長調K.136、②ピアノ協奏曲第9番変ホ長調K.271”ジュノーム”で、演奏はピアノ=アンヌ・ケフェレック、ジョシュア・タン指揮横浜シンフォ二エッタです

自席は1階6列5番、左ブロック右通路側です。会場は満席。弦楽器のみが入場します。左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、その後ろにコントラバスという編成を採ります

シンガポール出身の指揮者ジョシュア・タンが登場し、1曲目の「ディヴェルティメントK.136を軽快に演奏します。いく分速めのテンポでグングン音楽を進めます

2曲目は「ピアノ協奏曲第9番”ジュノム”」です。ソリストのアンヌ・ケフェレックが上・下を黒で統一したシックな衣装で登場、ピアノに向かいます 自席からは演奏中の彼女を背中から見る形になりますが、彼女の指使いがバッチリ見える位置です

この曲は第1楽章開始早々から独奏ピアノが出てきますが、これは当時の常識からすれば異例のことでした ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番に先立つ試みです。第2楽章のアンダンティーノを聴くと、いつも歌劇「フィガロの結婚」でバルバリーナが歌うシーンを思い浮かべてしまいます

第3楽章は軽快に進みます。と思ったら、ケフェレックがカデンツァを弾いている最中、ヴィオラの方角から物が落ちる大きな音がしたのです 見てみると、ヴィオラ奏者の楽器が床に落ちていました こんなことってあるんでしょうか。信じられません。演奏中は楽器を落とさないようにお願いしたいと思います

そんなアクシデント何するものぞ、ケフェレックは最後まで集中力を絶やさず、楽しく美しいモーツアルトを演奏しました

鳴り止まない拍手にヘンデルの「メヌエット」を静かに演奏しました。これがまた、しみじみとした良い演奏でした 演奏後、ケフェレックはピアノの蓋を閉めて、ピアノに向かって拍手をしました。この人らしい行為です。こういうところは可愛いと思います

 

          

 

5日の後半の4公演については明日のブログに書くことにします。眠いし

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「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2014」第2日目(5/4)の報告②

2014年05月05日 08時01分55秒 | 日記

5日(月・祝)。今朝の地震にはビックリしました。朝5時18分頃、大きな揺れを感じました 1分ほど揺れ続けていました。これ程の大きな揺れは久しぶりです。5時32分頃、内幸町にある当ビルの防災センターから電話があり「地震はビルの震度計で震度4。地震管制によりすべてのエレベーターが停止、一部の階の防火戸が発報したが、現在は復旧している。館内の見回りをしたが、建物に異常なし」という連絡がありました 震度4以上の地震があると必ず連絡が入ることになっています。その後テレビで確認したら、震源地は伊豆大島近海で、地震の大きさはマグニチュード6.2、千代田区の震度は最大で5弱、これは2011.3.11以来の大きさとのことでした。皆さん、余震に気をつけましょう 今日、ラ・フォル・ジュルネ音楽祭を聴きに行く人は場内アナウンスを良く聞きましょうね

 

  閑話休題  

 

昨日、「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」第2日目(4日)の6公演のうち前半の3公演について書いたので、ここでは後半の3公演について書きます

1階の広場の一角にNHK・FM放送の臨時ブースが設けられ、この日だけの生放送をしていました

 

          

          

午後3時から有楽町の「よみうりホール」で仲道郁代のピアノで①ブラームス「3つの間奏曲作品117」と②シューマン「交響的練習曲」を聴きました

自席は1階K列11番、左ブロック右通路側です。会場は満席。ホールAが時間通り終わったので走らずに「よみうりホール」に到着することができました

ソリストの仲道郁代が黒を基調とした銀の模様入りのシックなドレスで登場、マイクであいさつをします

「皆さん、ラ・フォル・ジュルネを楽しんでいらっしゃいますか?私は、今までこの音楽祭で何回演奏したのか数えきれないほどですが、今まで与えられた時間は45分だったのに、今年は55分となっています 今日のプログラムで、いくらゆっくり弾いても55分は持たないので(笑)、こうして曲目の解説をさせていただくことにしました

として、この日に取り上げるブラームスとシューマンの関係、これから演奏するブラームスの「3つの間奏曲」について解説し、演奏に移りました 第1番はドイツの詩人の「子守唄」が引用されているとのことで、ゆったりとしたテンポでやさしく演奏、次いでいくぶん翳りのあるような曲想の第2番、そして濃厚なメロディの第3番を続けて演奏しました

 

          

 

再びマイクを持ってシューマンについて解説しました

「シューマンは、ショパンやリストのようにピアノが上手ではなかったのです ピアノが弾けるようにと、練習用の機械で練習しましたが、それが基で指を壊したりしています。それでも、作曲家としてはピアノ曲で、半音違っただけでとてつもなく大きな意味を持たせたりしています。そのような意味を感じ取ってもらえればと思います

として、シューマンの「交響的練習曲」を一気に演奏しました 演奏後、「まだ、あと5分あるそうです(笑)。アンコールにトロイメライを弾きます」として夢見るようなメロディを弾きました

そして、まだ時間が若干あったので、「今日来て下さった皆さまへのお礼に、感謝を込めてエルガーの”愛の挨拶”を弾きます」と言って演奏しました。ここでちょうどタイムアップでした

次の公演まで時間があったので、フォーラムの地下「展示ホール」に行ってみました。ちょうど高関健指揮桐朋学園オーケストラによるミニ・コンサートが始まるところでした

 

          

 

次いで、午後5時15分から同じ「よみうりホール」で、アンヌ・ケフェレックのピアノにより①モーツアルト「ピアノ・ソナタ第12番ヘ長調K.332」、②ショパン「ノクターン嬰へ短調”遺作”」、③同「子守唄」、④同「即興曲第4番嬰ハ短調”幻想即興曲”」、⑤同「舟歌」を聴きました

自席は1階K列4番、左ブロックの左から3つ目の席です。人気公演のため通路側がとれませんでした 会場は満席。ケフェレックがグレイを基調とするシックな衣装で登場、ピアノに向かいます

モーツアルトの「ピアノ・ソナタ第12番K.332」は大好きな曲です。モーツアルトが故郷ザルツブルクを離れ、ウィーンで活躍するようになった頃の作品です。ケフェレックの演奏は何と気品があるのでしょうか こういう演奏で聴くと、モーツアルトって本当にいいな、と思います

次いでショパンの「ノクターン”遺作”」、「子守唄」、「幻想即興曲」、「舟歌」を続けて演奏します。同じショパンでもまったく曲想が違う曲を鮮やかに弾き分けます。ケフェレックの演奏でショパンの名曲の数々が聴ける幸せを感じます

 

                    

 

最後に、国際フォーラムのホールB7に移動して、フォーレの①ピアノ三重奏曲二短調、②ヴァイオリン・ソナタ第2番ホ短調を聴きました 演奏はヴァイオリン=レジス・パスキエ、チェロ=堤剛、ピアノ:ジャン=クロード・ペヌティエです

自席は9列7番、左ブロック左通路側です。会場はほぼ満席。まず、パスキエとペヌティエが登場、「ヴァイオリン・ソナタ第2番」の演奏に入ります この曲は1917年、作曲者が71歳の時に完成した曲ですが、美しいメロディが滔々と流れ、心地よく響きます 演奏開始後、すぐに気が付いたのですが、誰かが曲に合わせてうなっています パスキエはヴァイオリンを顎に当てて演奏しているのでうなることはできません。消去法でいくと、犯人はペヌティエです ピアノを弾きながらメロディを口ずさんでいるのです。これは曲の最後まで続きました。こういうのって相手方の演奏者は気にならないのでしょうか?あの二人に関しては”慣れ”ているのかも知れませんね

次いでチェロの堤剛が加わり、「ピアノ三重奏曲ニ短調」が演奏されます。3人が登場したかと思ったら、ペヌティエがステージ袖に引っ込んでいきました。楽譜はピアノの譜面台に置かれていたので、メガネでも忘れたのでしょうか 私はめがねにめがないんですよ、ってか。すぐに戻りました

この曲はフォーレが78歳の誕生日に初演された曲です。冒頭、チェロからヴァイオリンへとメロディが受け継がれ、それぞれの楽器が対話をするように曲が流れていきます 楽譜に”休止符”がないのではないか、と思うほど、どこまでも美しいメロディが続いていきます

この3人、年齢が近いシルバー・エイジではないかと思われます。かつてピアノのルービンシュタインを中心とするゴールデン・トリオが一世を風靡した時代がありましたが、私はこの3人に新しい愛称を献呈したいと思います。名付けて『ゴールデン・シルバー・トリオ』

この日の3人の演奏はフォーレの音楽の魅力を再発見させてくれた素晴らしいコンサートでした

 

          

 

早くも今日で今年のラ・フォル・ジュルネ音楽祭も終わりです。今日は10時45分からホールB7で開かれる小菅優のベートーヴェンを皮切りに、午後8時45分からホールAで開かれる萩原麻未のラヴェル「ピアノ協奏曲」まで7公演を聴きます。この模様も、今夜と明朝の2回に分けてアップすることになると思います

 

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「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2014」第2日目(5/4)の報告①

2014年05月04日 23時32分58秒 | 日記

4日(日・祝)その2。今日「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2014」第2日目の公演のうち次の6公演を聴きました

1.公演番号221(10:45~11:30 国際フォーラム・ホールB7)

2.公演番号272(12:45~13:45 よみうりホール)

3.公演番号213(14:00~14:45 国際フォーラム・ホールA)

4.公演番号273(15:00~15:55 よみうりホール)

5.公演番号274(17:15~18:00 よみうりホール)

6.公演番号226(19:30~20:15 国際フォーラム・ホールB7)

 

          

 

ここでは前半の3公演について書くこととします

最初に聴いたのは、午前10時45分から東京国際フォーラム・ホールB7でのブラームスの「ピアノ五重奏曲ヘ短調」で、アダム・ラルーム(ピアノ)とモディリアーニ弦楽四重奏団による演奏です

 

          

 

自席は8列14番、中央左ブロック右通路側です。会場は満席。ラルームとモディリアー二弦楽四重奏団のメンバーが登場、チューニングの後、早速演奏に入ります このクァルテットは2003年にパリ国立音楽院内で結成され、昨年10周年を迎えた若い四重奏団です

ブラームスの「ピアノ五重奏曲ヘ短調」は1864年、作曲者が31歳の時の作品です。ブラームスらしい曲の代表的な曲です 第1楽章を聴いていて思うのは、演奏が洗練されていて重くならないということです いわば上質のワインのような味わいがあります。第2楽章のアンダンテはピアノと弦楽の静かな対話が交わされます

第3楽章に入ろうとする時、左側前方席から「ウフー」という子供の大きな声が聴こえました 第1ヴァイオリンが後ろを振り返って、ニコッと笑顔を見せたかと思うとすぐに向き直り、演奏に入りました さすがだと思いました 非常時にも笑顔で対処し平常心で演奏に集中することができる。素晴らしい心がけです

さて第3楽章スケルツォはこの曲の聴かせどころです。ラルームと4人の弦楽奏者たちは力強くも洗練された演奏で聴衆の耳を引き付けて離しません そして、第4楽章のフィナーレを迎えます

終演後は惜しみない拍手 とブラボーが会場を包み込みました。朝からこの演奏に接することができてラッキーです このコンサートは二重丸です

11時半を過ぎたので、ここで昼食をとっておくことにしました 昨日と同じ和食レストランにしました

 

          

 

次に東京国際フォーラムを出て、有楽町前のビックカメラの最上階にある「よみうりホール」で午後12時45分から開かれるショパンの公演を聴きました プログラムは①チェロ・ソナタ ト短調、②ピアノ三重奏曲ト短調です。演奏はピアノ=ボリス・ベレゾフスキー、ヴァイオリン=ドミトリー・マフチン、チェロ=アンリ・ドマルケットです

 

          

 

自席はP列11番、左ブロック右通路側です。会場は満席。さてここで問題が起きました 何が原因か分かりませんが、演奏開始時間が7分も遅れたのです。なぜ問題かというと、この演奏が終わった後(予定は1時45分)、午後2時までにホールAに駈け付けなければならないからです。時間通りに終わって15分の猶予ですが、これが7分遅れだと8分しか移動時間が無くなってしまうのです 「よみうりホール」とホールAとはかなり距離があります。非常に不安な心境下で演奏を聴かなければならないのです

ベレゾフスキーとドマルケットが登場し、ショパン「チェロ・ソナタ」の演奏に入ります。ショパンはピアノの次にチェロが好きだったそうですが、好きでなければこのような名曲は出来ないでしょう ベレゾフスキーは巨艦なのでピアノが小さく見えます。2人は「やっぱり、ショパンは男のロマンだよな」とでも言いたげな堂々たる演奏を展開しました ここで1時26分。次の「ピアノ三重奏曲ト短調」を最後まで聴くことが出来るのか・・・・・・不安を抱いて、ヴァイオリンのマフチンを加えた3人の演奏家を迎えます

演奏中も時間が気になって仕方がありません。第3楽章が終わった時点でまさに1時45分 会場のあちこちで椅子を立つ音が聴こえます。迷っているうちに第4楽章が始まってしまいました こうなったらもう覚悟して聴くしかありません。結局終演は1時52分、まさに最初に後れを取った分延長になりました 拍手もそこそこに会場を飛び出して、幸いすぐに来たエレベーターに乗って1階まで下り、ホールAを目指して走りまくりました 同じ境遇のご同輩が何人かいたので心強いことこの上なかったことを告白しておきます 息が上がって席に着くと開演1分前でした

 

          

 

午後2時からホールAでブラームスの「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」を聴きました 演奏はヴァイオリン=イェウン・チェ、ドミトリー・リス指揮ウラル・フィルです

 

          

 

自席は1階11列12番、左ブロック右通路側です。会場は1階後方の席が空いています。ウラル・フィルのメンバーが登場します オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、その後ろにコントラバスという配置をとります。1988年ソウル生まれのイェウン・チェが臙脂色のドレスで指揮者リスとともに登場します リスのダイナミックな指揮でブラームスのヴァイオリン協奏曲ニ長調の第1楽章が開始されます チェは非常に落ち着いており、理知的でクールな演奏をします。自分がソロで弾いていない時は、片手でヴァイオリンを下げて下を向いてじっと出番を待ちます。余計な行動はありません 第1楽章のカデンツァは思わず聴き惚れてしまいました。第2楽章のアダージョは見事でした。チェは自然体で美しいメロディを奏でていきます

終演後、チェがリスに何やら語りかけています。「素晴らしいオーケストラのバックのお陰で良い演奏が出来ました」「いえいえ、あなたのソロこそ素晴らしかったですよ」と語り合っているように見えました

全体を通して、チェの演奏は、これ見よがしのパフォーマンスに溢れた演奏の対極にある自然体の演奏スタイルで、自分の力だけを信じて演奏に集中しているように見受けられます 本当に素晴らしい若手演奏家の出現です。この人も二重丸です

この後、再度よみうりホールに移動して午後3時からのコンサートを聴くのですが、後半3公演は明日のブログに書くことにします。眠いし

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「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2014」~第1日目(5/3)の報告②

2014年05月04日 08時35分50秒 | 日記

4日(日・祝)。昨夕「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」第1日目の公演のうち前半3公演について書きましたが、今回は後半の3公演について書くことにします。まだ「報告①」を読んでいないよい子はそちらを先に読んでね

 

          

 

午後4時から東京国際フォーラム・ホールB7で、ルートヴィヒ・チェンバープレイヤーズの演奏によりベートーヴェン「七重奏曲変ホ長調」を聴きました メンバーはヴァイオリン=白井圭、ヴィオラ=ヤニス・リーバルディス、チェロ=横坂源、コントラバス=弊陸太朗、ホルン=ヴォルフガング・ヴィプフラー、ファゴット=ハンノ・ドネヴェーグ、クラリネット=ディルク・アルトマンという面々です

自席は8列14番、中央左ブロック右通路側。会場は満席です 拍手の中、メンバーが登場します。向かって左に弦楽器、右に管楽器が並びます。どうやらほぼセンターに位置するチェロとコントラバスだけが椅子に座り、他のメンバーは立って演奏するようです

この曲は大好きな曲なので楽しみにしていました コンマスを務める日本人の白井圭が主導して第1楽章に入ります。アダージョからアレグロに移るところなど、もうたまりません 第2楽章のアダージョ・カンタービレは至福の音楽です。第3楽章ではホルンが2度ほどちょっと引っかかりましたが、第4楽章で名誉挽回しました この楽章と次の第5楽章の弦楽器と管楽器の対話はいつ聴いても良いですね ベートーヴェンというと小学校の音楽教室に飾られたイカツイ顔のイメージがありますが、そのイメージを払しょくする明るく楽しい曲です 最後の第6楽章は、アンダンテからゆっくり入りますが、途中で一気にテンポアップしてプレストでフィナーレを迎えます。演奏者たちはノリノリです 素晴らしい曲を素晴らしい演奏で聴くほど幸せなことはありません

次の公演まで時間があるので軽く食事をとることにしました 地上広場に屋台村ができているので、あのB級グルメ・チャンピオンに輝いた「富士宮焼きそば」を食べることにしました。注文したのは目玉焼きのせ焼きそばですが、何と600円もしました。荒稼ぎと言うのはこういう商売を言うのでしょう

 

          

          

 

開演時間が近づいたのでホールAに移動して午後6時5分からチャイコフスキーの音楽を聴きました プログラムは①イタリア奇想曲、②ヴァイオリン協奏曲ニ長調で、演奏はヴァイオリン=ジュヌヴィエーヴ・ロランソー、アレクサンドル・スラドコフスキー指揮タタルスタン国立交響楽団です

 

          

 

自席は1階22列68番、前方ブロックと後方ブロックのちょうど境目の右側ブロックの左通路側です。5000人収容の大ホールがほぼ満席です。オケのメンバーが登場します

第1ヴァイオリン最前列の女性が後ろの演奏者に何か声をかけています。どうやら、2曲目のヴァイオリン協奏曲でソリストが立つスペースを空けて椅子が設置されていて、指揮台との距離が離れすぎているから前にずらそうという相談のようです 結局、4人だけが椅子を前にずらし、何事も無かったかのようにコンマスを迎えます オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという態勢をとります

チューニングが終わり、指揮者のスラドコフスキーが登場します。ロシアを中心に活躍している体格の良い人です。彼のタクトで1曲目の「イタリア奇想曲」が開始されます 私はまともにこの曲を聴くのは初めてです。冒頭の金管楽器によるファンファーレから、チャイコフスキーの魅力が溢れています 曲は全体としてロシア人から見たイタリアの印象という感じの曲想です 小曲ながらメロディ・メーカー、チャイコフスキーの本領が発揮された作品です。オケはその魅力をたっぷりと聴かせてくれました

次いで、椅子が元に戻され、指揮者とともに、ソリストのロランソーが白を基調とする緑の花模様を配した爽やかなドレスで登場します ロングヘアを後ろで束ねて演奏しやすいスタイルにしています。また、多くの女性ソリストがやるようにハンカチを持参して指揮台の上に置いたりすることはありません。ハンカチは持っていません。この辺りから、この人の演奏に対する姿勢が見えてきます 大画面で観ても彼女の年齢は不詳ですが、40代くらいでしょうか。美人です 現在トゥールーズ・キャピタル管弦楽団のソロ首席ヴァイオリン奏者を務めているとのことです

私はヴァイオリン協奏曲の中ではこの曲が一番好きです。3つの楽章から成りますが、どの楽章も聴きどころが満載です ロランソーは1682年製のストラディヴァリウスを駆使して難曲に挑みます。高音部も低音部も明確に響きわたり、曲の魅力を十分に引き出していました

終演後は5000人の拍手を受け、何度もステージに呼び戻されていましたが、オケのメンバーが座らずに手や弓で拍手をしてソリストを立てていたのを見て、微笑ましく思いました。しつけの良いオケです

 

          

               (エスカレーターでB7に向かう人たち)

 

再びホールB7に戻り、午後7時半からシューマンの音楽を聴きました プログラムは①ヴァイオリン・ソナタ第1番イ短調、②ピアノ五重奏曲変ホ長調で、演奏はピアノ=クレール・デゼール、弦楽=フォル・ジュルネ・カメラ―タです。そのメンバーはヴァイオリン=正戸里佳、クレモンス・ドゥ・フォルスヴィル、ヴィオラ=コランタン、チェロ=オーレリアン・パスカルです

 

          

 

ヴァイオリンの正戸里佳が淡いピンクのドレスで、ピアノのデゼールがブルーのシルクのブラウスで登場します 背の高いデゼールと小柄な正戸が対照的です

1曲目のシューマン「ヴァイオリン・ソナタ第1番」は、1851年にわずか4日間で書き上げたといいます モーツアルトじゃあるまいし、と思いますが本当のようです。2人は楽章にある指示どおり、情熱的に生き生きと演奏しました 正戸里佳の演奏は初めて聴きましたが、今後、彼女のプロフィールにはLFJでデゼールとシューマンを演奏したという記録が付け加えられることでしょう

2曲目は「ピアノ五重奏曲」です。正戸が第1ヴァイオリンを務めます。デゼールの躍動するピアノに呼応して若者たちが若さ溢れる演奏を聴かせてくれました

 

          

 

今日は午前10時45分からホールB7でのブラームスから午後7時半から同会場でのフォーレまで6つの公演を聴きます 多分、また2回に分けてアップすることになるでしょう

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