人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

東京藝大ピアノ・シリーズ「ベートーヴェンのソナタ」を聴く

2014年05月27日 07時00分37秒 | 日記

27日(火)。昨日の朝日朝刊「文化の扉」は「はじめての山本直純」を取り上げていました 山本直純と言えば1970年代から80年代にかけてTBSで放映されていた「オーケストラがやって来た」の企画・出演・司会・演奏のすべてを担当し、日本におけるクラシック人口の拡大に大きく貢献した人物です 私も毎週のように楽しみにして観ていました

指揮者・小沢征爾は中学時代に山本に師事していますが、72年には共に新日本フィルハーモニー交響楽団を創設しました かつて山本直純が小沢征爾に告げた有名な言葉があります

「お前は世界の頂点を目指せ。オレは日本でクラシックの土壌を耕して待っている」

実際に、その通りになったわけです 山本直純というと、作曲家としても有名です。映画「男はつらいよ」のテーマソングをはじめ、「森永エールチョコレート」の”大きいことはいいことだ”、童謡の「一年生になったら」も彼の作品です

この記事を見て初めて知ったのですが、山本直純は日本人で初めてボストンポップス管弦楽団を振った指揮者とのこと。アメリカの聴衆の喝さいが目に浮かぶようです 指揮ということで言えば、83年の大阪城築城400年を記念して始まった「1万人の第9」を指揮したのも山本直純でした とにかく、とてつもないスケールの大きな人でした

 

  閑話休題  

 

25日に上野の東京藝大奏楽堂で「藝大ピアノ・シリーズ ベートーヴェンのピアノ・ソナタ」を聴きました これは東京藝大・奏楽堂シリーズの「音楽の至宝」Vol.2「ベートーヴェンのソナタ」全4回のうち第1回目のコンサートです 第1回「ウィーン時代初期」、第2回「ウィーン時代中期」、第3回「傑作の森」、第4回「ウィーン時代後期」となっています

 

          

 

午後3時開演ですが、30分前には長蛇の列が出来ていました 幸い1階13列25番、右ブロック左通路側をとることができました。会場は8~9割方埋まっている感じです

この日の公演は東京藝大の教職員がベートーヴェンのピアノ・ソナタを中心に、ほぼ作曲年代順に代わる代わる演奏するもので、若い人で非常勤講師、ベテランで教授が登場します

トップバッターは植田克己教授の登場です。1977年ロン=ティボー国際コンクール第2位入賞者とのことです 演奏するのは「ピアノ・ソナタ第4番変ホ長調作品7」です。26歳の時の作品ですが、ピアノ・ソナタの中では第29番”ハンマークラヴィーア・ソナタ”に次ぐ長さを持つ長大なソナタです。生演奏で聴くのはこれが初めてですが、これは聴きごたえがありました

次いで、「チェロ・ソナタ第2番ト短調作品5-2」が、チェロ=河野文昭、ピアノ=迫昭嘉(ともに教授)によって演奏されます。私は滅多にチェロ・ソナタを聴く機会がありませんが、河野文昭のチェロは明るく朗々と鳴り響いて素晴らしいと思いました

前半の最後のプログラムは「ピアノ・ソナタ第8番ハ短調作品13”悲愴”」です。非常勤講師の齊藤龍によって演奏されます。緊張した面持ちで登場し、若さを力に”悲愴街道まっしぐら”の演奏を展開しました ベートーヴェンはこうでなくちゃ、という気持ちの良い演奏でした

休憩後の最初は「ヴァイオリン・ソナタ第5番ヘ長調作品24”春”」です。ヴァイオリン=野口千代光(准教授)、ピアノ=安田理沙(非常勤講師)によって演奏されます 野口千代光は芸大フィルハーモニアのソロ・コンサートマスターを務めています。「スプリング・ソナタ」はいつ聴いても、誰の演奏で聴いても良い曲です 名曲は演奏を超えると言えば良いのでしょうか。この演奏で特に良かったのはピアノの安田理沙です。決してヴァイオリンを邪魔せず、主張するところはしっかり主張していました

後半2曲目は「ピアノ・ソナタ第13番変ホ長調作品27-1”幻想曲風ソナタ”」です。非常勤講師の多賀谷裕輔が演奏します 上着を付けず、ワイシャツ姿で登場、ピアノに向かいました。この曲の特徴は4つの楽章が切れ目なく演奏されることです。多賀谷はアンダンテのゆったりした楽章とアレグロの速い楽章を鮮やかに弾き分けていました

最後の”トリ”は非常勤講師・伊藤わか奈により「ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調作品27-2”月光”」が演奏されます ピアノに向かうと、手元のハンカチで鍵盤を丁寧に拭います。演奏者が変わるごとに係りの人が椅子を取り替えたり、ピアノの位置を変えたりしているのですから、ピアノの鍵盤も綺麗に拭いて、次の演奏者に気持ち良く弾いてもらうのが心遣いというものだと思うのですが、どうでしょうか

あまりにも有名なこのソナタを、伊藤はゆったりとした落ち着いたテンポで開始します。第1楽章「アダージョ・ソステヌート」、第2楽章「アレグレット」、第3楽章「プレスト・アジタート」と全曲を聴いてみて、あらためてこの曲は聴きごたえのある”大曲”だと思いました

出演者8人による演奏で3,000円という入場料は東京藝大だからこそ可能な料金設定だと思います

 

          

 

このシリーズの第2回目「ウィーン時代中期」は6月1日(日)午後3時からですが、私はバッハ・コレギウム・ジャパンのコンサートが入っているので行けません 第3回目「傑作の森」は10月13日(月・祝)午後3時からですが、この日のチケットはすでに入手済みです

 

  も一度、閑話休題   

 

プログラムに藝大主催のコンサートのチラシが挟み込まれていました いずれも割安なのでご紹介しておきます

最初は7月11日(金)午後7時からの「東京藝大管打楽器シリーズ~日独名手の饗宴」です。元ベルリン・フィルの首席オーボエ奏者・シェレンベルガ―、ベルリン・フィルの首席クラリネット奏者・フックスなどが出演し、フンメルやR.シュトラウス等の曲を演奏します。何と入場料は2,000円(全自由席)です さっそく昨日、会社帰りにいつものチケットぴあで購入しました

 

          

 

次はジャズの好きな人への朗報です 今年も「ジャズin 藝大」が7月26日(土)午後3時から開かれます。藝大出身のMALTAをはじめ、サクソホンの須川展也などが出演し、「ムーンライト・セレナーデ」、「茶色の小瓶」などを演奏します 入場料はS席5,000円、バルコニー席4,000円です。昨年聴きに行って良かったので今年も、と思いましたが、残念ながらこの日、東響のコンサートの予定が入っていて聴きに行けません

          

          

 

最後はクラシック入門編コンサートのお知らせ 7月5日(土)午後3時から開かれる「オーケストラの招待~目からウロコの実験教室」です。「音の大きさは2人で演奏すれば2倍になるの?」「同じ曲をピアノとオーケストラの演奏で聴き比べてみよう」などの実験を行うそうです 実験に使われる音楽はハイドンの「交響曲第94番”驚愕”」、チャイコフスキー「弦楽セレナーデ」など 入場料は高校生以上1,000円、小・中学生500円です。私は残念ながらこの日、2つのコンサートが入っていて聴けません

 

          

 

これからも、割安なコンサートがあればご紹介していきます。よい子のみんなは期待して待っててね

 

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