人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

青柳いづみこ著「我が偏愛のピアニスト」を読む~ピアニストが見たピアニスト

2014年05月21日 07時01分06秒 | 日記

21日(水)。ポール・マッカートニーの来日公演は、結局すべて中止になってしまいましたね 日本中の話題を独占したポールもウィルスには勝てませんでした。ところでチケットを買った人はどうするのでしょう?S席が8万円ですから、記念に取っておくという人はさすがに少数派だと思いますが・・・・

昨日、会社帰りに新宿ピカデリーに寄ってMETライブビューイング、モーツアルト「コジ・ファン・トゥッテ」の座席指定を取りました 今週土曜日、24日(土)午前10時からの上映で、いつも通り左ブロック後方通路側席を押さえました いつも最前列に座って観ている人がいますが、観づらいし首を痛めないのでしょうか。とても考えられません 同日の夕方6時から東京交響楽団の定期公演がサントリーホールであるので、できれば別の日にしたかったのですが、翌25日(日)もコンサートの予定が入っているので、ウィークデーに休暇をとるしかありません。しかしスケジュール表を見るととても休暇がとれる状態ではありません そんな訳で、24日は映画(3時間46分)とコンサート(約2時間)の連チャンです

 

          

 

  閑話休題  

 

19日のブログに18日の仲道郁代のピアノ演奏会について書いたところ、ブログ読者みなみさんから投稿がありました モーツアルトの「ピアノ・ソナタ イ短調K.310」の第3楽章終盤で音程を外して弾いていたことを指摘したのですが、別の人のブログがそのことに触れているとのことでした。早速検索してみると、「指がもつれて・・・・」と書かれていました。私の耳がおかしかったわけではなかったので安心しました。大人気の仲道郁代にしても「弘法も木から落ちる」のですね 誤解のないように言っておきますが、わたしは演奏のあらさがしをしている訳ではありません。コンサートは楽しむのが信条です 普段他人のブログは読まないため「井の中の蛙」状態です。そんな訳でコメントをいただくと助かります。みなみさん、情報ありがとうございました

 

          

 

  閑話休題  

 

青柳いづみこ著「我が偏愛のピアニスト」(中公文庫)を読み終わりました 著者の青柳いづみこさんはピアニストであり文筆家です。安川加壽子、ピエール・バルビゼに師事し、フランス国立マルセイユ音楽院を首席で卒業しました ピアノ演奏の専門家が同僚のピアニストを選んで、それぞれの人と演奏に切り込んでいます 10人のピアニストが選ばれていますが、クラシック・ファンなら誰でも知っている小川典子、小山実稚恵、花房晴美、海老彰子、練木繁夫、さらに岡田博美、廻由美子といったピアニストに加え、私など初めて名前を聞く坂上博子、柳川守、藤井快哉を取り上げています

 

          

 

馴染みのあるところで小山実稚恵さんを取り上げた章では、概略次のように書いています

「小山さんが中学時代に習っていたピアノの先生は『ピアノは競争じゃない、自分より上手な人に喜んで祝福の拍手を送れるような心の広い人間になってほしい』という願いを込めて指導したという。これは素晴らしいことだ 普通は教師も保護者も競争心を煽るため、ピアノを弾きたいのか、人に負けたくないからピアノを弾いているのかわからない子供がたくさんいる

小山さんは語る

「客観的評価といっても、結局は好き嫌いでしかないでしょう?たとえば自分の大好きなピアニストがいるとして、それを誰かと比べようと思って聴くなんてことはありえないわけだから、否応なしに順位がついてしまうのがコンクールだけれど、そこのところを分かっていないと,多分すごく違うことになってしまうと思う

これに対し、青柳さんは次のようにコメントします

「競争を義務付けられているスポーツ選手ですら、ステージの高い選手ほど、他人との争いだけではなく、その競技を極め、己に勝つことを目標に置くようになる すべての雑念を排し、音楽と真正面から向かい合うことが出来るというのは、それだけ地力・精神力ともに優れている証なのだ

小山実稚恵さんはショパンコンクールとチャイコフスキーコンクールの両方の入賞者なので、やっぱりショパンやチャイコフスキーが好きなのだろうと思っていましたが、「私、実はバッハば一番好きで。本能的に好きなんだと思いますね。響きも好きだし、楽譜も好きだし、すべてが好き」と語り、2015年秋には満を持してバッハの「ゴルトベルク変奏曲」を弾くとのこと

また、花房晴美さんを取り上げた章では、彼女の仰天エピソードを紹介しています

「2007年、夫婦でケニアに旅行したが、30周年記念演奏会を控えていた その間ピアノのない生活を強いられることになった。日本の楽器店に電話をかけ、私が日本に帰るまでにスタインウェイを1台届けておいてちょうだい、と注文したという 花房邸にはすでにスタインウェイが3台、ヤマハが1台、グランドピアノが合計4台もあるというのに、さらにもう1台、しかも試弾もせずにポンと買ってしまうあたり、花房さんの経済的「容量」にも驚かされた 今は数少なくなった本当にスターらしいピアニストだ

これ、信じられないんですけど・・・・・・

小川典子を取り上げた章では、彼女のショパン観が紹介されています

「なぜ、これほどショパンを弾くピアニストが多い中で、スペシャリストではない私が、ショパンをプログラムに含ませなければならないのか?そして何よりも、なぜわが国では、『女性ピアニスト』がショパンを弾くと、喜ばれる傾向にあるのか。抵抗感を拭えずにきた

これに対して青柳さんは次のようにコメントしています

「理由の一つには、小川さんの独特なショパン観がある。『ピアノの詩人』の異名をとるショパンは、とりわけロマンティックな作風で愛されている しかし、バッハやモーツアルトを愛したショパンには古典的な側面があり、小川さんも書くように『常に冷静な気持ちを保ちながら作曲をし、計算しつくされたなかで、涙を誘うほど美しい感傷のメロディーや装飾音を生み出していた』ことを忘れてはなるまい

同じピアニスト同士、分かりあえるところが多々あるに違いありません

このほか、ピアノが弾ける人はもちろんのこと、私のように弾けなくてもピアノの曲が好きな人にはたまらなく面白いエピソード満載の本です。お薦めします

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