8日(木)。昨日の日経「夕刊文化欄」に「大阪の特色出した音楽発信 街はホールの一部」と題する、指揮者・井上道義氏のインタビュー記事が載っていました 井上氏は1946年東京生まれ。桐朋学園大卒。新日本フィル、京都市交響楽団の音楽監督を歴任し、オーケストラ・アンサンブル金沢の音楽監督を務めていますが、今年4月から大阪フィルの首席指揮者に就任しました
大阪フィルは、井上氏の音楽監督就任に合わせて11年ぶりに、昨年再開業したフェスティバルホールに本拠地を戻しました
井上氏は、「フェスティバルホールは、ホール自体の音響の良さや祝祭的な雰囲気に加え、ホールが立地する中之島の環境が文化の薫りが濃厚であることが素晴らしい」とし、「ホールは決して外に閉ざされた空間ではなく、それを作り上げた人々や聴いた人々を通し、街全体の雰囲気まで変えてしまう力を持つ。音楽作りは街づくりとまで言っていいのではないか」としています そして、大阪フィルは半世紀以上もトップ指揮者だった朝比奈隆氏のイメージが強く、彼が好んで取り上げたブルックナーを思い浮かべる人が多いが、「大阪の街にはブルックナーらドイツ系の作曲家が合うかと言えば必ずしもそうではない。大阪の人たちの明るさや人懐っこさを考えれば、むしろフランスやスペイン、イタリア、ブラジルなどラテン系の作曲家たちの作品の方が断然相性が良いように思えるし、この機会に幅広くチェンレンジしたい
全国にオーケストラは多い。もっと地域の特色を打ち出すべきじゃないか」と主張します
「音楽作りは街作りとまで言っていいのではないか」という主張は、大阪で新しく生まれ変わったフェスティバルホールだから言えるのではないか、と思います 現実を見つめて、既存のホールはどうでしょうか?サントリーホールは狭いカラヤン広場しか思い浮かびません
池袋の東京芸術劇場はコンクリートの池袋西口公園しか思い浮かびません
銀座の王子ホールはデパートの三越しか思い浮かびません
いずれも大阪の中之島のように周囲を川が流れる自然環境下にある訳ではありません。それが現実です。都会のコンサートホールは、残念ながら”街作り”からはほど遠く、ホールの中だけで自己完結せざるを得ないのが実情ではないでしょうか
朝比奈隆氏が亡くなってから13年も経ちます。大阪フィルはそろそろ独自色が打ち出されてもいいと思います 井上氏の主張される通り、脱ドイツ・親ラテンの方向で行ったら面白いかもしれません
が、その前に、井上氏は京都で、金沢で、どのような独自色を出してきたのでしょうか。その実績はいかに
井上氏は咽頭がんのため6月までは指揮活動をせず治療に専念するとのこと。ゆっくり静養して、大阪で大暴れしてほしいと思います
閑話休題
ラ・フォル・ジュルネ音楽祭に行った時、国際フォーラム地下のパンフレット・コーナーに今年7月以降に公開予定の音楽関係映画のチラシがありました
1本目は7月11日公開の「パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト」です。ヴァイオリニストのデイヴィッド・ギャレット(私は知らない)が鬼才パガニーニに扮し、ストラディヴァリウスで演奏するとのこと。音楽も担当するとのことなので、どういう場面でどういう曲を弾くのか興味があります。2013年、ドイツ映画、122分
2本目は8月1日公開の「サンシャイン 歌声が響く街」です。これはイギリスで大ヒットしたミュージカルを映画化したものとのこと。スコットランドの国民的バンド、プロククレイマーズの名曲の数々(私は知らない)が全編を流れるとのこと。2013年、イギリス映画、100分
3本目は今秋公開の「アルゲリッチ 私こそ、音楽」です。監督はマルタ・アルゲリッチの三女ステファニー・アルゲリッチ(私は面識ない)。映画の中でアルゲリッチが演奏するシーンは、プロコフィエフ「ピアノ協奏曲第3番」、ショパン「ピアノ協奏曲第1番」、同「ポロネーズ第6番」、同「ワルツ第6番」、ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第28番」、モーツアルト「ピアノ・ソナタ第15番」、ラヴェル「ピアノ協奏曲」他とのこと。アルゲリッチ・ファンには垂涎の映画です
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