人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2014」第3日目(5/5)の報告①

2014年05月05日 23時58分15秒 | 日記

5日(月・休日)その2。「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2014」の最終日の今日、次の7公演を聴きました

1.公演番号321(10:45~11:30 国際フォーラム・ホールB7)

2.公演番号322(12:30~13:15 国際フォーラム・ホールB7)

3.公演番号343(14:00~14:50 国際フォーラム・ホールC)

4.公演番号314(16:15~17:00 国際フォーラム・ポールA)

5.公演番号374(17:15~18:05 よみうりホール)

6.公演番号315(18:45~19:30 国際フォーラム・ホールA)

7.公演番号316(20:45~21:30 国際フォーラム・ホールA)

ここでは前半の3公演について書くことにします

 

          

 

最初に午前10時45分から東京国際フォーラム・ホールB7で開かれた小菅優のベートーヴェンの「ピアノ・ソナタ」演奏会を聴きました プログラムは①ピアノ・ソナタ第26番変ホ長調”告別”、②ピアノ・ソナタ第21番ハ長調”ワルトシュタイン”です

自席は12列13番、センター左ブロックの左通路側です。会場は満席 拍手の中、小菅優が上が赤のポンチョ風の衣装、下が黒のパンツ姿で登場し、ピアノに向かいます

1曲目の「ピアノ・ソナタ第26番」は”告別”と呼ばれていますが、ベートーヴェンのパトロンだったルドルフ大公が疎開することになったことから、大公との別れから再会までの想いを込めて作曲したものです 第1楽章「告別」、第2楽章「不在」、第3楽章「再会」から成っています。小菅はベートーヴェンの想いを込めて演奏しました 第1楽章などは、まるで大公に別れの言葉をかけているように感じます

2曲目は「ピアノ・ソナタ第21番」です。この曲は「ワルトシュタイン」と呼ばれています。ベートーヴェンは21歳の時、故郷ボンを離れてウィーンに旅立ちますが、ワルトシュタイン伯爵から手厚い援助を受けます。その感謝の意を込めて作曲したのがこの曲です

第1楽章のアレグロ・コン・ブリオから小菅はパワー全開です 彼女はこういう情熱的な曲の方が実力が発揮できるような気がします。それにしても、ベートーヴェンのピアノ曲を聴いていて思うのは、独り言を言っているか、誰かと対話しているか、どちらかに聴こえることが多いということです

会場から惜しみない拍手が送られました 終演が11時半を過ぎており、次のコンサートまで間があることから昼食をとることにしました。3日間連続で新東京ビル地下の和風レストランです

 

          

 

次に午後12時半から同じホールB7で開かれたフォーレの室内楽コンサートを聴きました プログラムは①夜想曲第2番ロ長調、②夜想曲第4番変ホ長調、③ピアノ四重奏曲第1番ハ短調で、演奏は、ピアノ=ジャン・クロード・ペヌティエ、弦楽=モディリアーニ弦楽四重奏団メンバーです

自席は8列14番、左ブロック右通路側です。会場はほぼ満席。最初にぺヌティエが登場、フォーレの夜想曲を2曲連続して演奏します 第2番は子守唄のように優しい曲だと、いい気になって聴いていたら、途中から「えっ、これが夜想曲?」と言いたくなるほど、激しい音楽に変貌しビックリしました 第4番は終始穏やかな曲で、ある意味、こちらの方がショパンに近いかも、と思いました ただ、ショパンの夜想曲と違って1曲がべらぼうに長いのです。しかし、ぺヌティエのようなフォーレの権威が演奏すると時間の経つのを忘れます

3曲目は「ピアノ四重奏曲第1番ハ短調」です。ぺヌティエとモディリアー二弦楽四重奏団のうち3人のメンバーが登場します 第1楽章は聴き覚えのあるメロディーだったのですんなりと耳に馴染んできました 第2楽章は軽快なメロディーが展開します。第3楽章のアダージョは静謐な美の極致です。フォーレはこの曲を作曲している頃、婚約していた女性との恋の破綻があったせいか、聴いていて悲痛な感じさえします ハ短調だから破綻なのか、あるいはその逆か? 第4楽章では一転、トンネルを抜け出して明るさが見えてきたという印象を受ける曲想です

ペヌティエとモディリアー二弦楽四重奏団の演奏は、エスプリに満ち、フォーレの音楽の魅力を十分に伝えてくれました

 

          

 

次にホールCに移動して、午後2時からモーツアルトの音楽を聴きました 今年ホールCで聴くのはこのコンサートだけです。例年だともっと多いのが通例です

 

          

 

プログラムは①ディヴェルティメント ニ長調K.136、②ピアノ協奏曲第9番変ホ長調K.271”ジュノーム”で、演奏はピアノ=アンヌ・ケフェレック、ジョシュア・タン指揮横浜シンフォ二エッタです

自席は1階6列5番、左ブロック右通路側です。会場は満席。弦楽器のみが入場します。左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、その後ろにコントラバスという編成を採ります

シンガポール出身の指揮者ジョシュア・タンが登場し、1曲目の「ディヴェルティメントK.136を軽快に演奏します。いく分速めのテンポでグングン音楽を進めます

2曲目は「ピアノ協奏曲第9番”ジュノム”」です。ソリストのアンヌ・ケフェレックが上・下を黒で統一したシックな衣装で登場、ピアノに向かいます 自席からは演奏中の彼女を背中から見る形になりますが、彼女の指使いがバッチリ見える位置です

この曲は第1楽章開始早々から独奏ピアノが出てきますが、これは当時の常識からすれば異例のことでした ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番に先立つ試みです。第2楽章のアンダンティーノを聴くと、いつも歌劇「フィガロの結婚」でバルバリーナが歌うシーンを思い浮かべてしまいます

第3楽章は軽快に進みます。と思ったら、ケフェレックがカデンツァを弾いている最中、ヴィオラの方角から物が落ちる大きな音がしたのです 見てみると、ヴィオラ奏者の楽器が床に落ちていました こんなことってあるんでしょうか。信じられません。演奏中は楽器を落とさないようにお願いしたいと思います

そんなアクシデント何するものぞ、ケフェレックは最後まで集中力を絶やさず、楽しく美しいモーツアルトを演奏しました

鳴り止まない拍手にヘンデルの「メヌエット」を静かに演奏しました。これがまた、しみじみとした良い演奏でした 演奏後、ケフェレックはピアノの蓋を閉めて、ピアノに向かって拍手をしました。この人らしい行為です。こういうところは可愛いと思います

 

          

 

5日の後半の4公演については明日のブログに書くことにします。眠いし

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「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2014」第2日目(5/4)の報告②

2014年05月05日 08時01分55秒 | 日記

5日(月・祝)。今朝の地震にはビックリしました。朝5時18分頃、大きな揺れを感じました 1分ほど揺れ続けていました。これ程の大きな揺れは久しぶりです。5時32分頃、内幸町にある当ビルの防災センターから電話があり「地震はビルの震度計で震度4。地震管制によりすべてのエレベーターが停止、一部の階の防火戸が発報したが、現在は復旧している。館内の見回りをしたが、建物に異常なし」という連絡がありました 震度4以上の地震があると必ず連絡が入ることになっています。その後テレビで確認したら、震源地は伊豆大島近海で、地震の大きさはマグニチュード6.2、千代田区の震度は最大で5弱、これは2011.3.11以来の大きさとのことでした。皆さん、余震に気をつけましょう 今日、ラ・フォル・ジュルネ音楽祭を聴きに行く人は場内アナウンスを良く聞きましょうね

 

  閑話休題  

 

昨日、「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」第2日目(4日)の6公演のうち前半の3公演について書いたので、ここでは後半の3公演について書きます

1階の広場の一角にNHK・FM放送の臨時ブースが設けられ、この日だけの生放送をしていました

 

          

          

午後3時から有楽町の「よみうりホール」で仲道郁代のピアノで①ブラームス「3つの間奏曲作品117」と②シューマン「交響的練習曲」を聴きました

自席は1階K列11番、左ブロック右通路側です。会場は満席。ホールAが時間通り終わったので走らずに「よみうりホール」に到着することができました

ソリストの仲道郁代が黒を基調とした銀の模様入りのシックなドレスで登場、マイクであいさつをします

「皆さん、ラ・フォル・ジュルネを楽しんでいらっしゃいますか?私は、今までこの音楽祭で何回演奏したのか数えきれないほどですが、今まで与えられた時間は45分だったのに、今年は55分となっています 今日のプログラムで、いくらゆっくり弾いても55分は持たないので(笑)、こうして曲目の解説をさせていただくことにしました

として、この日に取り上げるブラームスとシューマンの関係、これから演奏するブラームスの「3つの間奏曲」について解説し、演奏に移りました 第1番はドイツの詩人の「子守唄」が引用されているとのことで、ゆったりとしたテンポでやさしく演奏、次いでいくぶん翳りのあるような曲想の第2番、そして濃厚なメロディの第3番を続けて演奏しました

 

          

 

再びマイクを持ってシューマンについて解説しました

「シューマンは、ショパンやリストのようにピアノが上手ではなかったのです ピアノが弾けるようにと、練習用の機械で練習しましたが、それが基で指を壊したりしています。それでも、作曲家としてはピアノ曲で、半音違っただけでとてつもなく大きな意味を持たせたりしています。そのような意味を感じ取ってもらえればと思います

として、シューマンの「交響的練習曲」を一気に演奏しました 演奏後、「まだ、あと5分あるそうです(笑)。アンコールにトロイメライを弾きます」として夢見るようなメロディを弾きました

そして、まだ時間が若干あったので、「今日来て下さった皆さまへのお礼に、感謝を込めてエルガーの”愛の挨拶”を弾きます」と言って演奏しました。ここでちょうどタイムアップでした

次の公演まで時間があったので、フォーラムの地下「展示ホール」に行ってみました。ちょうど高関健指揮桐朋学園オーケストラによるミニ・コンサートが始まるところでした

 

          

 

次いで、午後5時15分から同じ「よみうりホール」で、アンヌ・ケフェレックのピアノにより①モーツアルト「ピアノ・ソナタ第12番ヘ長調K.332」、②ショパン「ノクターン嬰へ短調”遺作”」、③同「子守唄」、④同「即興曲第4番嬰ハ短調”幻想即興曲”」、⑤同「舟歌」を聴きました

自席は1階K列4番、左ブロックの左から3つ目の席です。人気公演のため通路側がとれませんでした 会場は満席。ケフェレックがグレイを基調とするシックな衣装で登場、ピアノに向かいます

モーツアルトの「ピアノ・ソナタ第12番K.332」は大好きな曲です。モーツアルトが故郷ザルツブルクを離れ、ウィーンで活躍するようになった頃の作品です。ケフェレックの演奏は何と気品があるのでしょうか こういう演奏で聴くと、モーツアルトって本当にいいな、と思います

次いでショパンの「ノクターン”遺作”」、「子守唄」、「幻想即興曲」、「舟歌」を続けて演奏します。同じショパンでもまったく曲想が違う曲を鮮やかに弾き分けます。ケフェレックの演奏でショパンの名曲の数々が聴ける幸せを感じます

 

                    

 

最後に、国際フォーラムのホールB7に移動して、フォーレの①ピアノ三重奏曲二短調、②ヴァイオリン・ソナタ第2番ホ短調を聴きました 演奏はヴァイオリン=レジス・パスキエ、チェロ=堤剛、ピアノ:ジャン=クロード・ペヌティエです

自席は9列7番、左ブロック左通路側です。会場はほぼ満席。まず、パスキエとペヌティエが登場、「ヴァイオリン・ソナタ第2番」の演奏に入ります この曲は1917年、作曲者が71歳の時に完成した曲ですが、美しいメロディが滔々と流れ、心地よく響きます 演奏開始後、すぐに気が付いたのですが、誰かが曲に合わせてうなっています パスキエはヴァイオリンを顎に当てて演奏しているのでうなることはできません。消去法でいくと、犯人はペヌティエです ピアノを弾きながらメロディを口ずさんでいるのです。これは曲の最後まで続きました。こういうのって相手方の演奏者は気にならないのでしょうか?あの二人に関しては”慣れ”ているのかも知れませんね

次いでチェロの堤剛が加わり、「ピアノ三重奏曲ニ短調」が演奏されます。3人が登場したかと思ったら、ペヌティエがステージ袖に引っ込んでいきました。楽譜はピアノの譜面台に置かれていたので、メガネでも忘れたのでしょうか 私はめがねにめがないんですよ、ってか。すぐに戻りました

この曲はフォーレが78歳の誕生日に初演された曲です。冒頭、チェロからヴァイオリンへとメロディが受け継がれ、それぞれの楽器が対話をするように曲が流れていきます 楽譜に”休止符”がないのではないか、と思うほど、どこまでも美しいメロディが続いていきます

この3人、年齢が近いシルバー・エイジではないかと思われます。かつてピアノのルービンシュタインを中心とするゴールデン・トリオが一世を風靡した時代がありましたが、私はこの3人に新しい愛称を献呈したいと思います。名付けて『ゴールデン・シルバー・トリオ』

この日の3人の演奏はフォーレの音楽の魅力を再発見させてくれた素晴らしいコンサートでした

 

          

 

早くも今日で今年のラ・フォル・ジュルネ音楽祭も終わりです。今日は10時45分からホールB7で開かれる小菅優のベートーヴェンを皮切りに、午後8時45分からホールAで開かれる萩原麻未のラヴェル「ピアノ協奏曲」まで7公演を聴きます。この模様も、今夜と明朝の2回に分けてアップすることになると思います

 

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