5日(月・休日)その2。「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2014」の最終日の今日、次の7公演を聴きました
1.公演番号321(10:45~11:30 国際フォーラム・ホールB7)
2.公演番号322(12:30~13:15 国際フォーラム・ホールB7)
3.公演番号343(14:00~14:50 国際フォーラム・ホールC)
4.公演番号314(16:15~17:00 国際フォーラム・ポールA)
5.公演番号374(17:15~18:05 よみうりホール)
6.公演番号315(18:45~19:30 国際フォーラム・ホールA)
7.公演番号316(20:45~21:30 国際フォーラム・ホールA)
ここでは前半の3公演について書くことにします
最初に午前10時45分から東京国際フォーラム・ホールB7で開かれた小菅優のベートーヴェンの「ピアノ・ソナタ」演奏会を聴きました プログラムは①ピアノ・ソナタ第26番変ホ長調”告別”、②ピアノ・ソナタ第21番ハ長調”ワルトシュタイン”です
自席は12列13番、センター左ブロックの左通路側です。会場は満席 拍手の中、小菅優が上が赤のポンチョ風の衣装、下が黒のパンツ姿で登場し、ピアノに向かいます
1曲目の「ピアノ・ソナタ第26番」は”告別”と呼ばれていますが、ベートーヴェンのパトロンだったルドルフ大公が疎開することになったことから、大公との別れから再会までの想いを込めて作曲したものです 第1楽章「告別」、第2楽章「不在」、第3楽章「再会」から成っています。小菅はベートーヴェンの想いを込めて演奏しました
第1楽章などは、まるで大公に別れの言葉をかけているように感じます
2曲目は「ピアノ・ソナタ第21番」です。この曲は「ワルトシュタイン」と呼ばれています。ベートーヴェンは21歳の時、故郷ボンを離れてウィーンに旅立ちますが、ワルトシュタイン伯爵から手厚い援助を受けます。その感謝の意を込めて作曲したのがこの曲です
第1楽章のアレグロ・コン・ブリオから小菅はパワー全開です 彼女はこういう情熱的な曲の方が実力が発揮できるような気がします。それにしても、ベートーヴェンのピアノ曲を聴いていて思うのは、独り言を言っているか、誰かと対話しているか、どちらかに聴こえることが多いということです
会場から惜しみない拍手が送られました 終演が11時半を過ぎており、次のコンサートまで間があることから昼食をとることにしました。3日間連続で新東京ビル地下の和風レストランです
次に午後12時半から同じホールB7で開かれたフォーレの室内楽コンサートを聴きました プログラムは①夜想曲第2番ロ長調、②夜想曲第4番変ホ長調、③ピアノ四重奏曲第1番ハ短調で、演奏は、ピアノ=ジャン・クロード・ペヌティエ、弦楽=モディリアーニ弦楽四重奏団メンバーです
自席は8列14番、左ブロック右通路側です。会場はほぼ満席。最初にぺヌティエが登場、フォーレの夜想曲を2曲連続して演奏します 第2番は子守唄のように優しい曲だと、いい気になって聴いていたら、途中から「えっ、これが夜想曲?」と言いたくなるほど、激しい音楽に変貌しビックリしました
第4番は終始穏やかな曲で、ある意味、こちらの方がショパンに近いかも、と思いました
ただ、ショパンの夜想曲と違って1曲がべらぼうに長いのです。しかし、ぺヌティエのようなフォーレの権威が演奏すると時間の経つのを忘れます
3曲目は「ピアノ四重奏曲第1番ハ短調」です。ぺヌティエとモディリアー二弦楽四重奏団のうち3人のメンバーが登場します 第1楽章は聴き覚えのあるメロディーだったのですんなりと耳に馴染んできました
第2楽章は軽快なメロディーが展開します。第3楽章のアダージョは静謐な美の極致です。フォーレはこの曲を作曲している頃、婚約していた女性との恋の破綻があったせいか、聴いていて悲痛な感じさえします
ハ短調だから破綻なのか、あるいはその逆か? 第4楽章では一転、トンネルを抜け出して明るさが見えてきたという印象を受ける曲想です
ペヌティエとモディリアー二弦楽四重奏団の演奏は、エスプリに満ち、フォーレの音楽の魅力を十分に伝えてくれました
次にホールCに移動して、午後2時からモーツアルトの音楽を聴きました 今年ホールCで聴くのはこのコンサートだけです。例年だともっと多いのが通例です
プログラムは①ディヴェルティメント ニ長調K.136、②ピアノ協奏曲第9番変ホ長調K.271”ジュノーム”で、演奏はピアノ=アンヌ・ケフェレック、ジョシュア・タン指揮横浜シンフォ二エッタです
自席は1階6列5番、左ブロック右通路側です。会場は満席。弦楽器のみが入場します。左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、その後ろにコントラバスという編成を採ります
シンガポール出身の指揮者ジョシュア・タンが登場し、1曲目の「ディヴェルティメントK.136を軽快に演奏します。いく分速めのテンポでグングン音楽を進めます
2曲目は「ピアノ協奏曲第9番”ジュノム”」です。ソリストのアンヌ・ケフェレックが上・下を黒で統一したシックな衣装で登場、ピアノに向かいます 自席からは演奏中の彼女を背中から見る形になりますが、彼女の指使いがバッチリ見える位置です
この曲は第1楽章開始早々から独奏ピアノが出てきますが、これは当時の常識からすれば異例のことでした ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番に先立つ試みです。第2楽章のアンダンティーノを聴くと、いつも歌劇「フィガロの結婚」でバルバリーナが歌うシーンを思い浮かべてしまいます
第3楽章は軽快に進みます。と思ったら、ケフェレックがカデンツァを弾いている最中、ヴィオラの方角から物が落ちる大きな音がしたのです 見てみると、ヴィオラ奏者の楽器が床に落ちていました
こんなことってあるんでしょうか。信じられません。演奏中は楽器を落とさないようにお願いしたいと思います
そんなアクシデント何するものぞ、ケフェレックは最後まで集中力を絶やさず、楽しく美しいモーツアルトを演奏しました
鳴り止まない拍手にヘンデルの「メヌエット」を静かに演奏しました。これがまた、しみじみとした良い演奏でした 演奏後、ケフェレックはピアノの蓋を閉めて、ピアノに向かって拍手をしました。この人らしい行為です。こういうところは可愛いと思います
5日の後半の4公演については明日のブログに書くことにします。眠いし