人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

中山七里著「いつまでもショパン」を読む~ショパン好きにはたまらなく面白いミステリー

2014年05月02日 07時04分01秒 | 日記

2日(金)。週一で朝日夕刊に連載中の黒木瞳さんのエッセイ「ひみつのHちゃん」を楽しみにしています 昨日のエッセイは「塩も助言もひとつまみ」という内容でした。要約すると

「味見して、あと少し甘みが欲しんだよな~って時に、塩をほんの少し入れる。料理用語で言うところの”ひとつまみ”って量 多すぎてもダメ。親指と人差し指で塩をつまんで、ほんの少し入れる。甘みが欲しい時の”塩入れ”は、私の七不思議のひとつだ ・・・・その話を夫にした時。イギリスの諺に『塩とアドバイスは、求められなければ入れてはいけない』っていうのがあるよ、と教えてくれた。あれあれ~。まったくもって、そうじゃん!と、私は、思う。・・・・なんでもやり過ぎはいけないんだよな~、飲みすぎもいけないんだよな~、食べ過ぎもいけないんだよな~、なんてね。思うアタシ いくつになっても、学ぶものがある

私も、なぜ甘みが欲しい時に塩を入れるのか不思議です??今住んでいる巣鴨の地蔵通り商店街のお店で巣鴨名物”塩大福”が売っています。あれも、何で甘い大福に塩なんだ?と思いますが、これが絶妙なうまさなのです ウソだと思ったら連休中に巣鴨にお出かけくださいー巣鴨地蔵通り商店街よりー

アドバイスも瞳さんの夫(うらやましい!)が紹介されているイギリスの諺どおり、押し付けがましくならないようにしましょう 「小さな親切・大きなお世話」と言われないように

 

  閑話休題  

 

中山七里著「いつまでもショパン」(宝島社文庫)を読み終わりました 中山七里の本はこのブログでも何冊かご紹介してきましたが、1961年岐阜県生まれ。「さよならドビュッシー」で第8回「このミステリーがすごい大賞」の大賞を受賞、2010年にデビューしました その後「おやすみラフマニノフ」「さよならドビュッシー前奏曲 要介護探偵の事件簿」など作曲家シリーズを出す一方、「魔女は甦る」「贖罪の奏鳴曲」などのシリアスなミステリーも書いています

 

          

 

突発性難聴を患いながらも、ポーランドのショパン・コンクールに出場するため現地に向かったピアニスト・岬洋介だが、コンクール会場で刑事が何者かに殺害され、遺体の手の指10本がすべて切り落とされていた さらに会場周辺でテロが頻発し、世界的なテロリスト”ピアニスト”がワルシャワに潜伏しているとする情報を得る 岬は彼特有の推理力で事件の本質に迫っていく

この作品では、ショパン・コンクールのファイナリストたちの演奏を描写する部分が多いのですが、ノクターンにしてもコンチェルトにしても、曲の内容を良く理解していないと絶対に書けないと思われる記述が少なくありません と言うよりも、自分でピアノを弾きこなせなければ、これほどの内容は書けないだろうと思われます この作者はピアノ演奏の心得があるに違いありません。プロの演奏家がこの作品を読んだ感想を聞いてみたいものです

また、海外のピアノ・コンクールに挑む日本人の演奏家たちの一般的な評価については以下のように紹介します

「日本人コンテスタントはどこのピアノ・コンクールでも押しなべて真面目だ。いや、真面目と言うよりは面白みがない 機械のようにノーミス、楽譜に記された指示も完ぺきにこなすが音楽的な興趣に欠ける。技術的な問題はないが、再び聴きたいと思う演奏ではない

一般的にはその通りなのかも知れません。しかし、最近では2010年、第65回ジュネーヴ国際コンクールで優勝した萩原麻未のような、マルタ・アルゲリッチの再来を想わせる逸材も出てきています 彼女の演奏は、聴くたびに「もう一度聴きたい」と思います

この作品で、ファイナリストに残る日本人の一人に全盲のピアニスト、リュウヘイ・サカキバが登場しますが、米ヴァン・クライバーン・コンクールで優勝し話題になった辻井伸行をモデルにしていることは明らかです

この作品はクラシック音楽好き、特にショパン好きにはたまらなく面白い小説ですが、肝心のミステリーの仕掛けや謎解きの部分に関しての部分は限りなく少なく、曲目解説や演奏家の心理描写などの部分が限りなく多いという点で、クラシックにあまり馴染みのない人にはつらいかも知れません それでも、普段まったくクラシックを聴かない某女性に感想を聞いたところ「この人、凄い」と言っていました

 

コメント
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