19日(月)。わが家に来てから今日で1265日目を迎え、政府が 2019年5月1日の新天皇の即位に伴う皇位継承の儀式に 女性皇族が参列しない方向で調整に入る というニュースを見て感想を述べるモコタロです
いつまでこんな封建的なことやってんだろう 昔は女性の天皇だっていたのにさ
昨日、晴海の第一生命ホールで「室内楽ホールdeオペラ~林美智子の『フィガロ』!」を聴きました モーツアルトの歌劇「フィガロの結婚」の”縮刷版”です 2年前の2016年3月27日に開催された「林美智子プロデュース~オペラの楽しみ『コジ・ファン・トゥッテ』」がとても楽しかったので、次回も是非、と思って楽しみにしていた公演です
出演は、フィガロ=黒田博、スザンナ=鵜木絵里、アルマヴィーヴァ伯爵=加来徹、伯爵夫人=澤畑恵美、ケルビーノ=林美智子、ドン・バジリオ=望月哲也、バルトロ=池田直樹、マルチェリーナ=竹本節子、アントニオ=晴雅彦、ピアノ演奏=河原忠之で、日本語台詞台本・構成・演出は林美智子です
歌劇「フィガロの結婚」はダ・ポンテの台本にモーツアルトが作曲し、1786年5月1日にウィーン・ブルク劇場で初演されました フランス革命前夜の貴族社会が崩壊する寸前の伯爵家が舞台となっています 封建的な権利を行使して妻の小間使いスザンナを意のままにしようとするアルマヴィーヴァ伯爵に対し、使用人フィガロが伯爵夫人の協力を得て伯爵の横暴を阻止する「狂おしき一日」(ラ・フォル・ジュルネ)を描いています
自席は1階6列12番、左ブロック右通路側です。会場は8割くらい入っているでしょうか ステージ左手にグランド・ピアノが置かれ、2脚3組の椅子が置かれているだけのシンプルな舞台です 背面のスクリーンには物語の登場人物たちの相関図がそれを歌う歌手の写真入りで映し出されています
開演時間になり、後ろの方で声が聞こえてきたかと思ったら、ケルビーノに扮した林美智子とアントニオに扮した晴雅彦が、これから物語が始まることを告げているところでした 前方の席だと後方を振り返って見なければ何が起こっているのか分からないので困ります すぐに河原忠之のピアノにより軽快な序曲が演奏され、登場人物たちがステージに現れます
この公演は「全アリアカット重唱版」のサブタイトル通り、フィガロの「もう飛ぶまいぞ~」も、ケルビーノの「恋とはどんなものかしら」もなく、ソロのアリアが一つも歌われません すべて二重唱以上のアンサンブル曲が選ばれているのが大きな特徴です
第1幕ではフィガロとスザンナの小二重唱「5・・・10・・・20・・・」、スザンナとマルチェリーナの二重唱「どうぞお先に、まばゆい奥さま」、伯爵とドン・バジリオとスザンナの三重唱「何だと!すぐに行って」が歌われました 可笑しかったのは鵜木絵里のスザンナと竹本節子のマルチェリーナによる二重唱「どうぞお先に~」です。この二人はそれぞれ役柄がピッタリで、コケティッシュな魅力の鵜木絵里と、新国立オペラの「フィガロ」のマルチェリーナと言えばこの人をおいて誰もいないと思うほど当たり役の竹本節子のやり取りは、思わず声を出して笑ってしまいます
休憩後の第2幕では、伯爵役の加来徹、伯爵夫人役の澤畑恵美、スザンナによる三重唱「スザンナ、出ておいで」、スザンナとケルビーノによる二重唱「開けて、早く開けて」、フィガロ役の黒田博、バルトロ役の池田直樹、ドン・バジリオ役の望月哲也、アントニオ役の晴雅彦も加えた八重唱「この悪たれ小僧、早く出てこい」が歌われました とくにフィナーレの八重唱は傑作中の傑作です。重唱に次ぐ重唱の「ノン・ストップ・モーツアルト」です 聴いていてワクワクします
2度目の休憩の後、第3幕と第4幕が続けて歌われます 第3幕からは、マルチェリーナ、フィガロ、バルトロ、ドン・クルツィオ、伯爵、スザンナによる六重唱「この抱擁でわかっておくれ」、スザンナと伯爵夫人による手紙の二重唱「そよ風に寄せて」、フィガロ、スザンナ、伯爵、伯爵夫人によるフィナーレ「行進曲だ・・・さあ行きましょう」が歌われました。澤畑恵美と鵜木絵里による手紙の二重唱はとても軽やかで美しかったです
第4幕ではフィナーレの全員による十一重唱「そっと近づいていってやろう」が歌われました 結局、モーツアルトはすべての人を許してしまうのです 伯爵の手先だったバジリオとマルチェリーナは実はフィガロの両親だったし、恋に恋するケルビーノも悪くない、伯爵も最後は自分の過ちを認めて夫人に謝罪した、結局だれも悪い人はいない これがモーアルトのオペラ「フィガロの結婚」の神髄でしょう
歌手陣は誰もが素晴らしかったと思います アルマヴィーヴァ伯爵を歌った加来徹はバッハ・コレギウム・ジャパンでも活躍している今売り出し中のバリトンですが、演技力も期待できる若手のホープです 伯爵夫人を歌った澤畑恵美はもはやベテランの域に達している美しいソプラノです フィガロを歌った黒田博は声量もある魅力のバリトンです アントニオを歌った晴雅彦はコメディータッチの役柄がピッタリです。第4幕の夕暮れのシーンでは黒いマントを着て登場し「ホーホー」とフクロウの鳴き真似をして夜を告げた時は、伯爵夫人の澤畑恵美が唖然として口をあけ、会場は大爆笑でした
その中で、最も活躍が目立っていたのはスザンナを歌った鵜木絵里です 歌は抜群に上手いし、ユーモアのセンスが頭抜けています 頭に描いた敵を前にして取るファイティング・ポーズといい、ダンスの音楽が流れた時の一昔前のトラボルタ風の踊りといい、会場のそこかしこで笑い声が聞こえました 彼女の歌を聴き、一挙手一投足を見ているだけでとても楽しかったです まさに鵜木絵里のスザンナ全開!でした
カーテンコールが繰り返され、出演者がステージ中央に集まって椅子に座り集合写真のポーズを取ると、会場のあちこちでケータイやスマホが掲げられ にわか撮影会になりました 「えっ ウソッ マジ」と思ってスクリーンを見ると、「撮影してSNSで拡散してください」と書かれていました もっと早く教えてくれよ、とスマホの電源を入れた時には集合写真ポーズは解かれ、下の写真になりました
とても楽しい公演でした 総合プロデューサーの林美智子さんに大きな拍手を送ります ところで次回の公演は「ドン・ジョバン二」のアンサンブル・バージョンでしょうか