25日(日)。わが家に来てから1271日目を迎え、トランプ米大統領が22日、中国への制裁を命じる署名式で「日本の安倍首相や他の人たちに言っておきたい。彼らはいいやつで私の友人だが『こんなに長い間、米国をうまくだませたなんて信じられない』とほくそ笑んでいる。そんな日々はもう終わりだ」と発言した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
「いいやつ」の前に「どうでも」が付いてたわけね 何のためにゴルフやったんだ?
昨日、銀座のヤマハホールで「J.S.バッハ ブランデンブルク協奏曲 全曲演奏会」を聴きました ブランデンブルク協奏曲の第1番から第6番までを1回のコンサートで演奏する試みです
出演はヴァイオリン独奏=堀米ゆず子、オーボエ独奏=古部賢一(新日本フィル首席)が中心で、他にヴァイオリン=山口裕之(元N響コンマス)、米元響子、青木尚佳、大江馨、北岡彩、黒川侑、ヴィオラ=柳瀬省太(読響首席)、篠崎友美(新日本フィル首席)、瀧本麻衣子、チェロ=安田謙一郎、長明康郎(東京シティ・フィル首席)、湯原拓哉、コントラバス=池松宏(都響首席)、フルート=高木綾子、ファゴット=福士マリ子(東響首席)、ホルン=日橋辰朗(読響首席)、藤田麻理絵(新日本フィル)、リコーダー=水内謙一、宇治川朝政、オーボエ=古山真理江、石井智章、トランペット=髙橋敦(都響首席)、チェンバロ=曽根麻矢子です
自席はM列4番、左ブロック右から2つ目。会場はほぼ満席です
「ブランデンブルク協奏曲」はヨハン・セバスティアン・バッハ(1685-1750)が、1717年暮れから1723年春までの5年余り ドイツのケーテンに宮廷楽長として奉職した間、1721年3月24日付でブランデンブルク辺境伯クリスティアン・ルートヴィヒに献呈された6曲から成る合奏協奏曲です 「合奏協奏曲」というのは独奏楽器が1台でなく複数の独奏楽器群をなすスタイルの協奏曲です
6曲がすべて異なる編成によって演奏されるところは、バッハの天才を感じます
堀米ゆず子さんの解説によると、今年(2018年)はバッハ生誕333年だが、演奏会場のヤマハホールの収容人数は333席で、今日(3月24日)は「ブランデンブルク協奏曲」の献呈日にあたる、ということでした ウソのような本当の話です
この日の「ブランデンブルク協奏曲」全6曲は次のような順で演奏されました
①第1番 ヘ長調 BWV1046 第1楽章(速度表示なし)、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ」、第4楽章「メヌエット」
②第3番 ト長調 BWV1048 第1楽章(速度指定なし)、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ」
(休憩20分)
③第5番 ニ長調 BWV1050 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アッフェットゥ―ソ」、第3楽章「アレグロ」
④第6番 変ロ長調 BWV1051 第1楽章(速度指定なし)、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ」
(休憩20分)
⑤第4番 ト長調 BWV1049 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「プレスト」
⑥第2番 ヘ長調 BWV1047 第1楽章(速度指定なし)、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「アレグロ・アッサイ」
1曲目は「第1番 ヘ長調 BWV1046」です 演奏者がステージに登場し配置に着きます。ヴァイオリンを持った白髪の女性が登場した時、堀米ゆず子さんだと気がつきませんでした
無理もありません。私が目の前で彼女を見たのは30年も前のことだったのですから
当時、CBSソニーに「ファミリークラブ」みたいな組織があり 会員登録していたのですが、ある日事務局から電話があり、堀米ゆず子さんが新しいCDを出すのを記念して同クラブ主催により彼女と会員数名による座談会があるので出席してほしいということでした。なぜ指名されたのかは不明です
指定された場所に行くと、一般のクラシック愛好家5人くらい(男女で)が集まっていました。「堀米さんの演奏をどう思いますか?」と訊かれ、「ハイフェッツなどの巨匠の演奏は近寄りがたく、神棚に上げて敬いつつ聴くような感じがするが、堀米さんの演奏はより身近に感じて聴く音楽だと思う」みたいなことを言ったのを覚えています
その時、彼女から「何よこの人
」みたいに冷たい目で見られたような気がしました。気のせいかもしれませんが
座談会後、参加者は発売されたばかりのCDにその場でサインしたものを いただきましたが、実は前もってそのCDを買って予習しておいたのです、先方には黙っていましたが
その時のCDが下の写真です
CDジャケットで録音年月日を確認すると1988年10月18、19日とありました。ちょうど30年前です
演奏する方も、聴く方も 歳を取るわけです
話を本筋に戻します
演奏者は、ヴァイオリン、ヴィオラ、コントラバスと管楽器は立ったまま、チェロは座って演奏します 「第1番」は、独奏部がホルン、ヴァイオリン、オーボエ、ファゴット、合奏部がヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、チェンバロにより演奏されます
ヴァイオリンの堀米さんとオーボエの古部氏を中心とする迫力ある音による風圧を感じます
大きな会場で演奏する時と同じ力で演奏しているせいか、ものすごく大きな音でビックリするくらいです
おそらく一人一人の演奏能力が高いため、ストレートに耳に迫ってくるのだと思います
6曲のうちこの第1番だけが4楽章から成りますが、第4楽章「メヌエット」における古部賢一、古山真里江のオーボエと福士マリ子のファゴットによる「トリオ」は素晴らしい演奏で 楽しめました
次に「第3番 ト長調 BWV1048」が演奏されます この曲は独奏部と合奏部の区別がなく、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、チェンバロによって演奏され、管楽器は入りません
6曲の中では1、2位を争うほど好きな作品です
第1楽章は はっきり言ってジャズです
何なんでしょう、このノリは
前へ前へという推進力は
第2楽章は曽根麻矢子さんのチェンバロ独奏により短いフレーズが奏でられ第3楽章につなげます
またしてもジャズの世界です
演奏後、休憩時間の間にチェンバロがステージ中央に移動し、「第5番」に備えます
「第5番 ニ長調 BWV1050」は6曲の中で最大規模の音楽です 独奏部はフルート、ヴァイオリン、チェンバロで、合奏部はヴァイオリン、ヴィオラ、チェンバロ、コントラバスです
この作品ではフルートの高木綾子さんとチェンバロの曽根さんが大活躍します
「第5番」は通奏低音楽器として主メロディーを支える役割だったチェンバロが、表舞台に躍り出た記念すべき作品といってよいでしょう
フルートとチェンバロが前面に出ると優雅で華麗な雰囲気が醸し出されます
曽根さんのカデンツァは技巧をひけらかすのではなく、あくまでもメロディーの美しさを追究した落ち着きのある演奏でした
次に演奏された「第6番 変ロ長調 BWV1051」も1、2位を争うくらい好きな曲です 独奏部と合奏部の区別がなく、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、チェンバロにより演奏されますが、ヴァイオリンが加わらないのが大きな特徴です
篠崎友美さんと柳瀬省太氏のヴィオラによって中音域の魅力をたっぷり味わうことが出来ました
2回目の休憩の後は「第4番 ト長調 BWV1049」から始まります この曲は、独奏部がヴァイオリン、リコーダー、合奏部がヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、チェンバロによって演奏されます
第1楽章の冒頭から水内謙一、宇治川朝政両氏によるリコーダーが明るく伸びやかに会場に響き渡ります
堀米さんのヴァイオリンとの掛け合いも楽しい
最後は「第2番 ヘ長調 BWV1047」です 独奏部はトランペット、リコーダー、オーボエ、ヴァイオリン、合奏部はヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、ファゴット、チェンバロにより演奏されます
この公演の仕掛け人が「第2番」を最後に持ってきたのは 華やかなトランペットが使用される唯一の楽曲だからでしょう
その意図どおり、髙橋敦氏のトランペットを中心に、古部氏のオーボエ、水内氏のリコーダー、堀米さんのヴァイオリンが絡み、バックの合奏陣の素晴らしい演奏と相まって煌びやかな演奏が繰り広げられました
全曲を通して聴き終わって思うのは、バッハがいかに多種多様な音楽を数多く残したか、ということです BACHというのはドイツ語で「小川」のことですが、モーツアルト、ベートーヴェン、そしてブラームスをはじめとするロマン派の作曲家たち、ひいては20世紀のモダン・ジャズ・クァルテットに至るまで 多くの音楽家に多大な影響を与えたことを考えると、その流れは大河となってクラシックの枠を超え 大輪の花を咲かせたのだな、とつくづく思います
音楽界では「バッハに帰れ」という言葉がよく言われますが、バッハこそクラシックを中心とする音楽のバックボーン(背骨)なのでしょう
そういえば、30年前の座談会で 堀米さんが バッハについて そのようなことを言っていたことを思い出しました