人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ブラームス「交響曲第1番」,伊福部昭「シンフォニア・タプカーラ」他を聴く~新交響楽団第235回演奏会

2016年11月04日 07時59分20秒 | 日記

4日(金).わが家に来てから今日で767日目を迎え,久しぶりに顔のドアップで登場するモコタロです

 

          

               いや~ めっきり寒くなったねぇ もうかりまっか?

 

  閑話休題  

 

昨日,池袋の東京芸術劇場コンサートホールで新交響楽団第235回演奏会を聴きました プログラムは①吉松隆「鳥のシンフォニア”若き鳥たちに”」,②伊福部昭「シンフォニア・タプカーラ」(1979年改訂版),③ブラームス「交響曲第1番ハ短調」です 指揮は東京藝大招聘教授で千葉交響楽団音楽監督の山下一史です

新交響楽団は1956年創立,会社員,教員,学生など様々な職業・年齢にわたる団員で自主運営されているアマチュアオーケストラの草分け的存在です 音楽監督・芥川也寸志の指導のもとに旧ソ連演奏旅行,ストラヴィンスキー・バレエ三部作一挙上演など,意欲的な演奏活動を展開してきました

 

          

 

自席は1階H列12番,左ブロック右通路側席です.会場は8割以上は入っているでしょうか 楽員にはチケット・ノルマがあるらしいので,何割かは楽員の関係者でしょう.私のように,ただ好きな音楽を聴きたくてチケットを買うお客は少数派かも知れません それにしてもこの動員力にはいつも驚きます.それは演奏が優れているからこそです

1曲目は吉松隆「鳥のシンフォニア”若き鳥たちに”」です 吉松隆は1953年東京・渋谷生まれで,作曲を伊福部昭の弟子・村松禎三に師事しました.したがって,伊福部昭の孫弟子に当たります あくまでも独学であることにこだわり,現代音楽が無調で前衛的な傾向にあるのに反して,調性とメロディーのある音楽を作ることに挑み続けてきました 彼の作品の多くは「鳥」をテーマにしており,今回の演奏曲目も「鳥のシンフォニア」となっています この曲は2009年に仙台ジュニアオーケストラの委嘱で作曲された5楽章から成る作品で,山下一史の指揮で初演されました

オケは左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,その後ろにコントラバスという態勢をとります 指揮者・山下一史が登場し早速第1楽章に入ります.「鳥のシンフォニア」の標題の通り,各楽器が鳥の鳴き声を模して歌を紡いでいきます 面白いのは第3楽章で,ジャズのイディオムを使って書かれています.スイング感溢れる楽しい曲です そして最後の第5楽章が,仙台ジュニアオーケストラ創立20周年を祝う賛歌となっています 勇壮で解放感に満ちた音楽を聴きながら,鳥が大空を自由に飛んでいる光景を目に浮かべていました

演奏後,山下が会場中央の席にいた吉松隆氏をステージに招き,握手を求めました.写真で見たとおりかなり恰幅のよい重量級の人でした

2曲目は「ゴジラ」の作曲家として有名な伊福部昭の「シンフォニア・タプカーラ」(1979年改訂版)です 伊福部昭は北海道に生まれ,北大卒業後に林務官の仕事の傍ら独学で作曲を続け,民族色の強い個性的な作品を多く残しました タプカーラとはアイヌ語で「自発的に踊る」という意味です.「シンフォニア・タプカーラ」改訂版は,新響が1980年に開催した伊福部昭の個展で初演され,新響では今回が16回目の演奏となるそうです

第1楽章「レント・モルトーアダージョ」,第2楽章「アダージョ」,第3楽章「ヴィヴァーチェ」の3つの楽章から成ります この曲をLPレコードで初めて聴いた時の強烈な印象は忘れられません まず頭に浮かんだのはベートーヴェンの「交響曲第7番」第4楽章です.まさに「リズムの饗宴」です

それと同時に,日本人にドビュッシーのような曲が作れないのと同様,欧米人には伊福部昭のような曲は作れないだろう,と思いました 新響の演奏を聴いていると,この曲の改訂版を初演したという歴史と伝統の重みを背負ったオーケストラの熱き想いがヒシヒシと伝わってきました 伊福部昭の音楽は日本人の誇りだと思います

 

          

 

休憩後はブラームス「交響曲第1番ハ短調」です ブラームスはベートーヴェンの9つの交響曲を重荷に感じて作曲に慎重になり,構想から21年もの歳月をかけて交響曲第1番を作曲しました.すなわち22歳ごろから下書きにかかり,1876年,43歳の時に完成したのです 当時の名指揮者ハンス・フォン・ビューローは,完成度の高いこの曲を ベートーヴェンの交響曲第9番に次ぐ「交響曲第10番」と名付けました

山下一史のタクトで第1楽章がティンパ二の52連打で開始されます この冒頭は素晴らしいですね.何事も最初が肝心です.このオケを聴いていつも思うのは弦楽セクションの厚みのある音と,フルートが素晴らしい演奏をすることです もちろん,オーボエもクラリネットもファゴットもホルンもみんな良いのですが,いつも絶好調という訳にはいかないでしょう.それとティンパ二が素晴らしい とくにベートーヴェンやブラームスをやる時は気持ちが良いほど胸のすく演奏をしてくれます

新交響楽団のメンバーは毎週土曜日午後の3時間,練習を重ねているらしいのですが,サラリーマン,自営業,学生,主婦など それぞれ本業で忙しい中,時間を作るのは大変だと思います それでも時間を作り精進を重ねるのは音楽が好きだからでしょう 練習では楽しいことよりも辛いことの方が多いかもしれません 私には何もできませんが,これからもコンサートを聴くことで皆さんを応援したいと思います

 

          

 

なお,次回のコンサートは,下のチラシの通り,来年1月29日(日)午後2時から東京芸術劇場コンサートホールで開催されます 私は来年の手帳に予定を入れました

 

          

コメント (2)
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