人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ショスタコーヴィチ「チェロ・ソナタ ニ短調」,フォーレ「シチリアーノ」他を聴く~藤原真理チェロ・リサイタル

2016年11月30日 07時52分43秒 | 日記

30日(水).今日で11月も終わり,明日から12月です.月日の流れの速さを痛感する今日この頃です 

昨日の日経朝刊 マーケット総合面のコラム「大機 小機」に『クラシック』という言葉の意味が書かれていました.超訳すると

「中世哲学を極めた故 今道友信・東大名誉教授の一文は古典の効用をこう説くークラシックという言葉は最初から古典的という意味があったわけではない もとは艦隊を意味するクラシスの派生語で,国家の危機に艦隊を寄付できる富裕な人々を指す形容詞だった.人間は私生活においても公的生活においても危機に直面することがあるが,こうした危機に際して精神の力を与える書物や作品のことをクラシクス(クラシック)と呼ぶようになった

このコラムは「リベラルアーツと経営」という標題で書かれているように,音楽について書いているわけではありませんが,「クラシック」という言葉が,もともとの意味を離れて,とくに音楽史の中では「古典派」あるいは「クラシック音楽」全般の意味で使われていることに何の疑問も抱かずに過ごしている自分に気が付きます こういう知識は知らないよりは知っている方が良いでしょう 皆さん 新聞を読みましょうね

ということで,わが家に来てから今日で792日目を迎え,青森県と新潟県の養鶏場で鳥インフルエンザの疑いのあるニワトリやアヒルが見つかった問題で,合計32万羽が殺処分になるというニュースを見て 独り言を呟いているモコタロです

 

          

              トリあえず処分するんじゃなくて 真面目にチキンと殺処分するんだって

 

  閑話休題  

 

昨日,夕食に「串のない焼き鳥」「生野菜サラダ」「トン汁」を作りました 「串のない~」は鶏もも肉と長ネギを使いますが,娘がネギがダメなので私が引き受けました

 

          

 

  も一度,閑話休題  

 

昨日,浜離宮朝日ホールで「ランチタイムコンサート 藤原真理 チェロ・リサイタル」を聴きました プログラムは①ラフマニノフ「ロマンス  ヘ短調」,②ショスタコーヴィチ「チェロ・ソナタ ニ短調」,③ドビュッシー「チェロとピアノのソナタ 二短調」,④フォーレ「子守歌」,⑤同「夢のあとに」,⑥同「シチリアーノ」,⑦同「エレジー」というもので,前半がロシアもの,後半がフランスものです.チェロ独奏は 巨匠ピエール・フル二エとムスティスラフ・ロストロポーヴィチに師事したこともある藤原真理,ピアノは藤原真理と200回以上も共演した実績を持つ倉戸テルです

 

          

 

ステージ中央にはグランド・ピアノが鎮座していますが,黒色ではなく,茶色の木目調です チェンバロでは珍しくありませんが,グランド・ピアノでは初めてお目にかかりました

上が臙脂  下が黒の衣装の藤原真理がピアノの倉戸テル(男性)と共に登場します  倉戸氏は松葉杖をついての登場です.後で藤原さんがトークで話したところによると「私よりもずっと若いのに,足の指を骨折した」そうです

1曲目のラフマニノフ「ロマンス  ヘ短調」は,作曲者がモスクワ音楽院の学生時代の1890年(作曲者17歳)に作曲されました 演奏を聴くと,なるほどタイトル通り憂いを帯びたロマンティックな曲想です

2曲目はショスタコービチ「チェロ・ソナタ  ニ短調」です この曲は1934年(作曲者28歳)にボリショイ劇場の首席チェリスト,ヴィクトル・クバツキ―の勧めによって作曲されました.第1楽章「モデラートーラルゴ」,第2楽章「モデラート・コン・モート」,第3楽章「ラルゴ」,第4楽章「アレグレット」から成ります

第1楽章がピアノに導かれて憂いを帯びたテーマを奏でます.この主題は印象的です 終結部は葬送行進曲風の静かな音楽となり楽章を閉じます 第2楽章は一転,冒頭から賑やかな音楽が展開します.チェロの反復音型を聴くと,あの名曲「ピアノ五重奏曲ト短調」の第3楽章「スケルツォ」を思い起こします ショスタコーヴィチ一流のアイロニカルな音楽が展開します 第3楽章「ラルゴ」に入ると弱音器を付けたチェロがモノローグを始めます.こういうところもショスタコーヴィチらしいところです 第4楽章に入ると,肩の力が抜けたような,ユーモラスとでも言えるような曲想が展開します 藤原真理は各楽章の性格の弾き分けが見事です 倉戸テルのピアノもしっかりチェロを支えています

この曲はリン・ハレルのチェロ,ウラディミール・アシュケナージのピアノによるCDで予習しました

 

          

 

プログラム後半はフランス音楽です 最初にドビュッシー「チェロとピアノのソナタ  ニ短調」が演奏されます この曲は,1915年7月から8月にかけて作曲されました.作曲者53歳の時の作品です.当初「月と仲違いしたピエロ」というサブ・タイトルが付いていたといいます 3つの楽章から成りますが,第2楽章と第3楽章は続けて演奏されます.とくに印象が残ったのは第2楽章「セレナード」で,チェロのピッツィカートとピアノの掛け合いがあるのですが,これが月とピエロが言い争っているところだろうか,と想像しながら聴きました 10分少しの短い曲ですが,面白いと思いました

 

          

 

次にフォーレの作品を4曲続けて演奏しました 最初は「子守歌 作品16」です.演奏前のトークで藤原真理が「弾き方によっては子守歌にならなくなってしまいますが・・・・」と笑いを取っていましたが,しっかり子守歌になっていました 原曲はヴァイオリンとピアノにより演奏される曲ですが,チェロで聴くと深みが増してとても良いと思いました

次いで「夢のあとに 作品7」です.この曲はフォーレの初期の歌曲集「3つのメロディー作品7」の第1曲が原曲となっています 歌詞は「あなたの姿にうっとりした眠りの中で私は幸せな夢を見る」というロマンティックの代名詞みたいな内容です チェロで聴くと落ち着いて良いです

次は「シチリアーノ 作品78」です.この曲は劇音楽「町人貴族」の間奏曲として作曲された音楽です.郷愁を誘うメロディーが朗々と奏でられます

最後は「エレジー 作品24」です.この曲は1883年(作曲者38歳)に作曲されたリリシズムの極致をいく作品です

藤原真理のチェロで聴くフォーレの名曲の数々は,本来ヴァイオリンで弾くための作品も,チェロで弾いた方がその曲の魅力が増すということを教えてくれたような気がします

会場いっぱいの拍手に応えてカサドの「親愛の言葉」を,次いでサン=サーンス「白鳥」をアンコールに演奏しました

 

          

コメント
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