人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「シュターツカペレ・ドレスデン首席奏者による室内楽の夕べ」を聴く~ベートーヴェン「七重奏曲」,シューベルト「八重奏曲」

2016年11月22日 08時06分52秒 | 日記

22日(火).今朝6時少し前の地震には驚きました 東京でも随分長い間揺れていました.報道によると福島沖を震源とするマグニチュード7.3の大地震で津波警報が出されたとのこと 幸い東京電力の原発には支障がないようですが,現地の方々は不安な時間を過ごされているのでないかとお察しします 当面,海には近づかないようにするなど用心していただきたいと思います

ということで,わが家に来てから今日で784日目を迎え,南米ペルーで開かれていたアジア太平洋経済協力会議(APEC)が「あらゆる形態の保護主義に対抗する」とした首脳宣言を採択したというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

          

             トランプの「アメリカ・ファースト」を崩さないと「APECセカンド」のままじゃん

 

  閑話休題  

 

昨日,夕食に「牛肉とゴボウのしぐれ煮」と「生野菜サラダ」を作りました 「牛肉~」は,この前作った時に「ゴボウの さきがき が分厚すぎて噛み切れない」という娘のクレームを思い出しながら,薄く さきがき しました

 

          

 

  も一度,閑話休題  

 

昨日,サントリーホール「ブルーローズ」で「シュターツカペレ・ドレスデン首席奏者による室内楽の夕べ」を聴きました プログラムは①ベートーヴェン「七重奏曲変ホ長調」,②シューベルト「八重奏曲ヘ長調」です.出演はヴァイオリン=マティアス・ヴォロング(コンマス),イェルク・ファスマン(副コンマス),ヴィオラ=セバスティアン・ヘルベルク(首席.以下同様),チェロ=ノルベルト・アンガー,コントラバス=アンドレアス・ヴィレジョウ,クラリネット=ヴォルフラム・グローセ,ファゴット=ヨアヒム・ハンス,ホルン=ロベルト・ラングバインです

 

          

 

自席はLb1列6番,左斜めブロック左通路側です.会場は8割方埋まっている感じでしょうか 開演時間を2分過ぎたあたり,出演者を待つばかりの静かな会場に,またしても現れましたシン・ゴジラ,もとい,サスペンダーおじさん センターブロックの最前列左通路側席の前に立ちます.早く座ればいいものを後方を向いて隣の人に話かけています(赤の他人のようです).もちろん自分がここにいることを他の聴衆に認めて欲しいからです 照明が落ちると慌てて座りました.いつものように大きなバッグを抱え,草履を履いています.おじさんも私も同じ最前列なのでよく見えます 先週木曜には新国立オペラで,土曜にはトリフォニーホールで見たばかりなので,この5日間で3回もおじさんの姿を見ることになります.もう勘弁してほしいです 来てもいいから目立たないようにしてほしいです.あんたが主役じゃないんですから.勘違いしないで欲しいです

ということで,1曲目はベートーヴェンの「七重奏曲変ホ長調」です この作品は1799年に完成した6楽章から成る作品です.1800年(ベートーヴェン30歳の時)にブルク劇場で交響曲第1番とともに公開初演されました 若き日の傑作です 私はこの曲が大好きで,チラシを見てこの曲がプログラムに組まれていると,ほぼ自動的にチケットを買ってしまいます 前にもブログに書きましたが,晩年の弦楽四重奏曲や第九も良いけれど,若い時に書いたこうした明るく楽しい作品もベートーヴェンの別の一面を見るようで,とても好きです

コントラバスを真ん中にして,左サイドにヴァイオリン,ヴィオラ,チェロが,右サイドにホルン,ファゴット,クラリネットが並びます さながら弦楽器対管楽器の演奏合戦といった様相です 自席から顔が見えるのはファゴットとクラリネットだけで,ヴァイオリンやヴィオラなどは背中しか見えません.やっぱり室内楽はセンターブロックで聴くべきだと反省した瞬間でした

コンマスであるヴァイオリンのマティアス・ヴォロングの音頭で第1楽章「アダージョーアレグロ・コン・ブリオ」に入ります このアダージョ部分を聴いて いつも思うのは,次に来るアレグロがどんなメロディーだったかな,ということです 実は長い間,この第1楽章のアレグロと最後の第6楽章の「アンダンテ・コン・モト・アラ・マルシェープレスト」のプレストが頭の中でごっちゃになっていて,どっちがどっちだか分からなくなっていたのです とくに第1楽章のアレグロが思い浮かびませんでした.しかし,つい最近,この問題を克服しました それは交響曲第5番の運命の動機の変形と捉えることです.運命の動機はジャジャジャジャ―ンと最後は下がりますが,七重奏曲の第1楽章のアレグロはジャジャジャジャーンと最後が上がるのです.これを発見してから混乱が無くなりました.すいません.どうでもいいことです

この曲を聴いていつも思うのは,弦楽器と管楽器の,弦楽器同士,あるいは管楽器同士の掛け合いの楽しさです この日のシュターツカペレ・ドレスデンの首席奏者の演奏でもそうでしたが,例えば,第3楽章「テンポ・ディ・メヌエット」,第4楽章「テーマ・コン・ヴァリアッツィオー二」などは,まさに掛け合いを楽しむ音楽です

一方,第5楽章「スケルツォ」の中間部におけるチェロの独奏は,華やかな管楽器やヴァイオリンを陰で支える縁の下の力持ちの存在を前面に出したという意味で音楽的に素晴らしいと思います 全体を通して主旋律を奏でるのはもちろんヴァイオリンですが,最後の第6楽章におけるヴァイオリンのカデンツァはさすがはシュターツカペレ・ドレスデンのコンマスの演奏でした

 

          

 

休憩後はシューベルト「八重奏曲ヘ長調」です この作品はアマチュアのクラリネット奏者・トロイヤー伯爵の依頼で作曲されました.ベートヴェンの「七重奏曲」にヴァイオリンを1本追加した楽器編成です 6つの楽章から構成されていることや,各楽章の作り方などから,ベートーヴェンの「七重奏曲」を模範として作ったことは間違いないでしょう ベートーベンと違う一番の特徴は,いつ終わるか分からないということでしょうか

8人の奏者が登場,第1ヴァイオリンのヴォロングの合図で早速第1楽章に入ります ベートーヴェンの七重奏曲と同じように,最初はアダージョでゆったりと進みますが,その後溌剌としたアレグロに移ります.シューベルトはベートーヴェンをかなり意識していることが分かります この曲の中で一番親しみのある有名な音楽は躍動感溢れる第3楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」でしょう また,次の第4楽章「アンダンテ」はとても美しい音楽です

驚くのは最後の第6楽章です.コントラバスの激しいトレモロで不気味な雰囲気で開始されます.しかし,いつしか雲の間から晴れ間が見えるような明るい音楽になります そして,終わりそうで終わらないシューベルト特有の音楽が延々と続きます つい言いたくなります.「シューベルトってどうして同じメロディーを何度も何度も繰り返し演奏させるんだろう 」と.

この日の演奏を独断と偏見で評価すると,個人的に大好きなベートーヴェンの「七重奏曲」よりも,いつ終わるか分からないシューベルトの「八重奏曲」の方が良かったのではないか,と思います 実際に身近で聴いて感じたのは,第2ヴァイオリンのイェルク・ファスマンが加わったことが大きかったのではないか,ということです コンマスのヴァイオリンは1676年製のグァルネリですが,第2ヴァイオリンのイェルク・ファスマンの使用楽器は不明であるものの相当な楽器を使っているのではないかと推測します.実に美しい音がしました この二人にヴィオラのセバスティアン・ヘルベルクを加えた弦楽だけの三重奏の部分を聴いた時,一瞬,かつてのシュターツカペレ・ドレスデンの響きを聴いたような気がしました

8人はアンコールにシューベルト「八重奏曲」の第3楽章「アレグロ・ヴィヴァ―チェ」を演奏,拍手喝さいを受けました

なお,この公演を聴くために予習したのは下のCDです.演奏はブタペスト・アンサンブルとなっていますが,実態はどんな音楽グループか分かりません それはそれで良いのです.予習は,それがどんな曲か全体像が把握できれば良いのですから

 

          

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする