人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

第一生命ホール15周年記念ガラ・コンサートでオール・モーツアルト・プログラムを聴く~吉野直子,矢部達哉,川本嘉子,仲道郁代ほか名演奏を披露

2016年11月21日 08時09分48秒 | 日記

21日(月).わが家に来てから今日で783日目を迎え,米国のトランプ次期大統領の政権の本音が見えてきたとするニュースに感想を述べるモコタロです

 

          

           当選してから現実路線に軌道修正していると言われてるけど 基本は変わらない?

 

  閑話休題  

 

昨日,晴海の第一生命ホールで「第一生命ホール15周年記念ガラ・コンサート~モーツアルト第1回」公演を聴きました 第一生命ホールのロビーもクリスマス・モードです

 

          

 

この日の公演はオール・モーツアルト・プログラムで,①ソナタ  ハ長調K.14,②「泉のほとりで」の主題による6つの変奏曲ト短調K.360,③ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲ト長調K.423,④弦楽四重奏曲第19番ハ長調K.465”不協和音”より第1・4楽章,⑤ピアノ・ソナタ  ハ長調K.545,⑥ディヴェルティメント変ホ長調K.563より第1楽章,⑦アダージョとロンドK.617,⑧グラドゥアーレ「天主の御母なる聖マリア」K.273,⑨モテット「アヴェ・ヴェルム・コルプス」K.618です

 

          

 

自席は1階6列11番,左ブロック右から2つ目です.会場は8~9割方埋まっているでしょうか 1曲目は「ソナタ ハ長調K.14番」です 元々はチェンバロ,ヴァイオリン(又はフルート),チェロのための三重奏曲ですが,今回はハープ,フルート,チェロによって演奏されます シックな衣装の佐久間由美子,落ち着いた紫系の衣装の吉野直子が若い横坂源とともに登場します ケッヘル番号が若いことでも分かるように,この曲はモーツアルトが8歳の時に作曲した作品です 3つの楽章から成りますが,フルートによる愛らしいメロディーに華麗なハープと軽快なチェロが絡みます

2曲目は「『泉のほとりで』の主題による6つの変奏曲ト短調K.360」です モーツアルトがザルツブルクからウィーンに出た25歳以降の作品です.ヴァイオリンの松原勝也と,白の鮮やかな衣装に身を包まれた仲道郁代が登場します 冒頭の主題を演奏する松原のヴァイオリンを聴いて,古楽器の音がしたので驚きました ただその時だけで,それ以降はモダーン楽器の音がしました

演奏後,2人のトークがありましたが,仲道が「このピアノ(スタインウェイ)は,このホールが出来た15年前に選ばせていただいたんですが,これまでよく成長してくれました」と語っていたので,仲道郁代のアドヴァイスで導入したことが分かりました

3曲目は「ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲ト長調K.423」です この曲はウィーンでコンスタンツェと結婚したモーツアルトがザルツブルクに里帰りした際に,ヨーゼフ・ハイドンの弟ミヒャエル・ハイドンが病気で 依頼された作品が出来なくなったため代作したものです 第1楽章「アレグロ」,第2楽章「アダージョ」,第3楽章「ロンドーアレグロ」から成ります

ヴァイオリンの矢部達哉とヴィオラの川本嘉子が登場します.この二人はかつての都響の黄金コンビです 矢部は現在も都響のコンマスを務めていますが,川本は長い間 不動のヴィオラ首席を務めていました 第1楽章が開始されます.モーツアルトのニ長調の曲なので明るく伸び伸びした曲想なのですが,二人の演奏は美しい中に深みがあります ひと言で言えば円熟した演奏家同士による豊穣の響きです.同色の楽器による二重奏でこれほどの色彩感が出せるのですから驚きます

良い気分で聴いている時,会場後方からトルルルル~というケータイの着信音が聴こえてきました こういう輩に限って,犯人は自分ではないと思っているので,しばし鳴り続けます 開演に当たり アナウンスに加え,2人の担当者が通路を巡ってケータイの電源を切るように念押ししていたにも関わらず こういう失態を起こす人はいったいどういう人種でしょうか こうした注意にまったく耳を傾ける意志のない馬耳東風の輩か日本語が通じない外国人でしょう(英語のアナウンスはなかったので).しかし,見渡したところ外国人は見当たりませんでした.こういう 常識という概念を理解できない輩にはこのホールに限らずコンサートホールには二度と来ないで欲しいと思います

プログラム前半の最後は「弦楽四重奏曲第19番ハ長調K.465”不協和音”」から第1楽章と第4楽章です モーツアルトは1785年(29歳)に 4年間かかって6曲の弦楽四重奏曲を作曲し,師と仰いだヨーゼフ・ハイドンに献呈しましたが,この曲は6曲目の作品です 「不協和音」という名称は第1楽章冒頭の独特の響きから付けられました

ウェールズ弦楽四重奏団が登場します.このクァルテットは桐朋学園の学生により2006年に結成され,2008年ミュンヘン国際音楽コンクールで第3位に入賞しています メンバーは,第1ヴァイオリン=崎谷直人,第2ヴァイオリン=三原久遠,ヴィオラ=横溝耕一,チェロ=富岡廉太郎です.第1楽章がチェロから入りますが,混沌とした世界から,雲間が切れて太陽が現われるようなところは,いつ聴いても素晴らしいと思います

 

          

 

休憩後の最初は「ピアノ・ソナタ ハ長調K.545」です この曲は1788年(32歳)に初心者のために書いた曲です.第1楽章「アレグロ」,第2楽章「アンダンテ」,第3楽章「ロンド:アレグレット」から成ります.仲道郁代が登場,軽快なテンポで第1楽章を開始します 私はこの曲の第2楽章「アンダンテ」が好きです.かなり昔,NHKテレビで「ユートピアノ」という音楽ドラマがありましたが,そこでテーマ音楽のように使われていたのがこの「アンダンテ」でした これを観てから,この曲が好きになりました.仲道郁代の演奏は私のイメージからは若干速過ぎるようです

次は「ディヴェルティメント変ホ長調K.563」から第2楽章「アダージョ」です この曲も1788年に作曲されました.6楽章形式ですが,フリーメイスンの盟友でモーツアルトが度々借金を申し入れていたプフベルクに献呈しています.もしプフベルクが居なかったらモーツアルトは(35歳で死去しましたが)もっと早死にしていたかも知れません

松原勝也のヴァイオリン,伊藤慧のヴィオラ,西山健一のチェロによる演奏は深みのある,神への感謝のような音楽に聴こえました

次いで,「アダージョとロンドK.617」が演奏されます この曲は,アメリカの政治家で科学者でもあったベンジャミン・フランクリンが発明したと言われるグラスハーモニカのために,1791年(この年の12月に死去)この曲を作曲しました この日はグラスハーモニカに代えてハープが用いられました.吉野直子のハープ,佐久間由美子のフルート,矢部達哉のヴァイオリン,川本嘉子のヴィオラ,横坂源のチェロによって演奏されましたが,一部,オペラ「魔笛」の音楽が聴こえてきたように思いました 最晩年の無垢な音楽が会場に響き渡りました

次に,ウェールズ弦楽四重奏団と東混ゾリステン(男女各4名)によりグラドゥアーレ「天主の御母なる聖マリア」K.273が,最後にモテット「アヴェ・ヴェルム・コルプス」K.618が演奏されました モーツアルトの宗教音楽は,「ハ短調ミサ曲」にしても「レクイエム」にしても未完成だった中で,「アヴェ・ヴェルム・コルプス」は唯一の完成した宗教曲です これはまさに天上の音楽です.合唱もクァルテットも良かったと思います

最後にこの日の出演者が全員登場しカーテンコールに応えました 15数年記念ガラに相応しい素晴らしいコンサートでした

 

          

コメント (4)
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