人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

萩原麻未+群響のチャイ・コンのチケットを買う/「日本で一番悪い奴ら」を観る/大日向俊子著「あなたが知らない”裏”音楽史」を読む

2016年11月23日 09時05分54秒 | 日記

23日(水・祝).今夜から明日にかけて関東地方でも雪が降る可能性が高いということです 考えてみればあと1週間で12月ですから不思議なことではないかも知れませんね ということで,わが家に来てから785日目を迎え,トランプ次期米大統領が就任初日に環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱を表明する意向を示したというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

          

           すべての国が「わが国ファースト」と言い出したらどうなるの?

 

  閑話休題  

 

チケットを1枚買いました.来年3月19日(日)午後3時からすみだトリフォニーホールで開かれる群馬交響楽団東京公演です プログラムは①千住明「オペラ”滝の白糸”序曲」,②チャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番変ロ長調」,③ラフマニノフ「交響曲第2番ホ短調」です ②のピアノ独奏は萩原麻未,指揮は大友直人です

これはもちろん萩原麻未のピアノを聴くために買ったようなものです

 

          

 

  も一度,閑話休題  

 

昨日,早稲田松竹で白石和彌監督「日本で一番悪い奴ら」を観ました この作品は,日本警察史上最悪の不祥事と言われた実際の事件をモチーフとして描いた2016年公開の135分の長編映画です

 

          

 

大学時代に馴らした柔道の腕を買われ,北海道警察の刑事となった諸星要一(綾野剛)は,悪の根絶を目指す強い正義感を抱きながらも,うだつの上がらない毎日を過ごしていた ある日,署内随一の敏腕刑事・村井(ピエール瀧)から刑事のイロハを叩き込まれる.端的に言うと「刑事は点数を稼ぐことが第一で,そのためには裏社会に飛び込んでS(スパイ)をつくれ」というものだった 諸星は「北海道警のエース」として柔道で鍛えた身体を張ってヤクザの世界に飛び込み,彼らをSにして拳銃や麻薬の摘発に乗り出す そしてその世界にドップリ浸かるようになる

 

          

 

根が真面目な諸星は「正義の味方,悪を絶つ」の信念のもと,次々と違法ともいえる強引な捜査をするわけですが,後にそれらの行為が警察庁から「違法行為」と断定され,結果的に覚せい剤不法所持の罪で逮捕されてしまいます 北海道警察は 諸星の強引な捜査方法を黙認してきたのに,数々の犯罪的行為の罪を諸星個人に負わせようとします この映画の最後に「北海道警察の不祥事で,諸星以外で罪を問われた者は一人もいない」というクレジットが出てきますが,「日本で一番悪い奴ら」は諸星ではなく,彼を利用して危ない捜査を進め,道警の検挙率を挙げて来た北海道警察の連中のことを指していることを示しています

とにかく,この映画では諸星を演じた綾野剛が凄い 身体を張ってヤクザなデカを演じています.その迫力には凄まじいものがあります

 

          

 

  最後の,閑話休題  

 

大日向俊子著「あなたが知らない”裏”音楽史」(ヤマハミュージックメディア)を読み終わりました 大日向俊子は東京生まれ.慶応義塾大学経済学部卒業.東京放送でテレビディレクターを勤めた後フリーとなる.音楽プロデュース,音楽評論,作詞・イベント企画など幅広く活躍,作詞した曲に「グッドナイト・ベイビー」「どしゃ降りの雨の中で」「オレンジの雨」などがある

 

          

 

この本には,クラシックに限らず,ジャズ,シャンソン,ポップスなども含めて,世の中にあまり知られていないエピソードが収録されていて,次の5章から構成されています

第1章「作曲家の意外な真実」

第2章「実は恐ろしい音楽の話」

第3章「音楽史には載っていない作曲家の話」

第4章「音楽家たちにまつわる愛の話」

第5章「誰も語らなかった音楽の裏の話」

このうち第1章で興味を魅かれるのは音楽家たちの最後の言葉です

〇J.S.バッハ(1750年没.65歳)   「目が見える.視力が戻った」

〇ベートーヴェン(1827年没.57歳) 「友よ拍手を!喜劇は終わった」「遅すぎた.あまりにも遅すぎた」

〇ワーグナー(1883年没.70歳)   「私の時計を」

〇マーラー(1911年没.50歳)    「モーツアルト」

〇リヒャルト・シュトラウス(1949年没.85歳)「皆さんによろしく」

この他にも著名な作曲家の最後の言葉が紹介されています

第2章で初めて知ったのは「盗まれたハイドンの頭蓋骨」という話です.それによると

「ハイドンの遺体はウィーンのフンツトゥルマ―墓地に埋葬された.しかし,ハイドンは30年間楽長を務めたエステルハージ家があるアイゼンシュタットの墓に入ることが生前の望みだった これを知ったエステルハージ家の当主ニコラウス2世は,アイゼンシュタットのベルク教会に移すためにハイドンの遺体を掘り起こさせた.するとハイドンの遺体には何と首が無かったのだ 直ちにウィーンの警察に届けられ,捜査の末 犯人が捕まった.捕まったのは監獄管理人ヨハン・ペーターという男だったが,彼は『骨相学』に凝っており,頭骸骨の収集家だった ニコラウス2世はそれをペーターの友人ローゼンバウムから莫大な金額で買い取りベルク教会に埋葬し直した.ところが,話は続きがあった 何とこの首は偽物だったのだ.本物は病理学者のフォン・ロキタンスキーの元で保管されており,その後ウィーン学友協会に寄贈され,ハイドンの死から150年経った1954年に,やっとベルク教会の墓地に収められたのだった

大日向氏は「人を驚かすために『交響曲《驚愕》』を書いたハイドンも,死後150年間かしげる首がなかったという事件だった」とシャレで結んでいますが,ハイドンの首を盗んだ監獄管理人は首が繋がらなかったことでしょう

切り口で面白いと思ったのは第3章「音楽史には載っていない作曲家の話」の中の「そのとき,1820年のヨーロッパで起こっていたこと」です われわれが西洋音楽史を語る時,年代別に分けて,バロック期,古典派,ロマン派,印象派などと呼んで捉えていますが,当時の音楽家たちはそんなことを考えて作曲していた訳ではありませんでした そこで,筆者は「縦に記されてきた音楽史を横に切り,有名な作曲家たちが同時代に一番多く生きていた1820年のヨーロッパ全土にタイム・スリップした気分で,上から見下してみた」と書いています

1820年.「アマデウス」で有名になったサリエリは70歳の人生をウィーンで送っていた 50歳のベートーヴェンは第九やミサ・ソレムニスの作曲に明け暮れていた 23歳のシューベルトは教員を辞めたものの自立できずにいた 17歳のヨハン・シュトラウス2世はワルツを書き続けていた リストは初めて公開演奏会を開き絶賛を浴びた ウェーバーは歌劇「魔弾の射手」を完成した 11歳のメンデルスゾーンは自宅のサロンで自作の曲を演奏し喝さいを浴びていた シューマンとショパンは10歳だった.ワーグナーは7歳だった.一方,イタリアでは28歳のロッシーニが歌劇「マホメット2世」の初演を迎えていた フランスでは17歳のベルリオーズが医者になるためパリの医科大学を目指して猛勉強に明け暮れていた

こうしてみると,音楽史がこれまでと全く異なる目で捉えることができるので,新鮮に感じます

このほか,この本には初めて知るエピソードが満載です.クラシックに限らず音楽好きの人に広くお薦めします

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