ぼちぼち日記

大切な日々のこと

『シナの五人きょうだい』

2006-03-27 06:00:33 | 息子と読んだ本のこと・絵本

『シナの五人きょうだい』
クレール・H・ビショップ文 / クルト・ビーゼ絵
いしいももこ訳

友だちが、子どもの頃大好きだったという本を借りてきた。探したけれど見つからず、検索してもらって、ようやく、書庫から出されてきた、この本。
図書館のものとは思えぬ程ボロボロで、黄ばんでいて、見るからに年代物。しかし・・・そんな、過酷な運命もなんのその!とても、とてもおもしろかった。

シナに五人の兄弟がいました。五人はそっくりな顔をしていました。
この五人兄弟、なんと!
一番上の兄さんは海の水を飲み干すことができました。
二番目の兄さんは鉄の首をしていました。
三番目の兄さんはどこまでも足を伸ばすことができました。
四番目の兄さんは火をつけられても燃えない身体でした。
五番めの末っ子はいつまでも息を止めておくことができました。


ある日のこと、一番上の兄さんが海で男の子を死なせてしまいます。もちろん、仕方なくなのですが、一番上の兄さんは村へ戻るとすぐに牢屋へ入れられ、裁判で首を切られることになってしまうのです。さあ、
五人は、知恵をあわせて次々と難問を切り抜けて・・・

単純なんだけれど、この元祖ナンセンス?絶対在りえな~い!物語は、まさに痛快で、読み手をあきさせることがない。
う~ん!小学生には、ぴったり!
夢中になってきいていた息子は、本を閉じると「ぼく、これ知ってる。」と。でも、ちょっと違うらしい。どうやら、読み聞かせボランティアのお母さんに、学校で読んでもらったらしいのだが・・・
息子が知っているという話は、たしか7人兄弟で、やっぱり、すごい能力の持ち主なんだとか。そして、王様を守るらしい(ここ、あやしい)。一人は、手足がのびたはずだよ!という。へ~!他にも類話があるんだ。なんだろう?

パソコンで調べてみましたが、ちっともわかりませんでした。
代わりにわかったのは、この本が、「ちびくろサンボ」のように圧力を受けて、絶版になってしまったということでした。
そうか~。それで、書庫行きだったんだ。
今は、別の出版社と、別の訳者で、出版されているようです。

実は私も、「シナ」について、説明をしてから読み始めていたので、なるほど・・・と、ちょっとだけ納得。こういう問題は、本当に難しいなあ。
だって、お話しは、とても痛快でおもしろいんだもの!

でも、読んでいて不愉快になる人がいるのならば、その気持ちは尊重したいと思うし・・・なんとも思わない私自身の歴史観の甘さにも問題があるのかもしれないし・・・どうにか、うまく解決する術はないのでしょうか。

小学生のためのお話し会で読みたいなと思っていただけに、なんだか、残念・・・。
きちんと自分の考えを示せなければ、やはり、この手の本を、多勢の前で読む訳にいかない気がするな。しかし、たぶん私には、結論は出せない・・・難しいです。
ただ1つ、圧力をかけた方々に知ってほしいなあと思うこと。
私に、この本を紹介してくれた(子どもの頃、この本が好きだったという)友人は、その後、中国語を学び、留学し、通訳もやったりしていました。