ぼちぼち日記

大切な日々のこと

『八郎』

2006-03-26 07:23:52 | 息子と読んだ本のこと・絵本

『八郎』
斉藤隆介作・滝平二郎画

あの『モチモチの木』のコンビの作品。
ぱいぽさんのブログで教えて頂き、そのストーリーに惚れてしまった母。けれど、息子は、表紙を見ただけで「この本、いやだ。」と。
版画の絵は、迫力満点。怖い、
悲しいに、めっぽう弱い息子は、表紙の絵だけで、何かを感じとってしまった様なのだ。
それでも、母は「読みたい!」と譲らず。しばらくの交渉の末、読むことに決定♪

舞台は、秋田。八郎潟が出来た由来の物語。
大きくなりたい、大きくなりたいと願い、そして、山のように大きくなった八郎。それでもなお、海を眺めては、もっと大きくなりたいと思うのだ。
ある日、かわいい男の子が八郎の元を訪れる。聞けば、たびたび押し寄せる大波のために、集落の田が、塩水で駄目になってしまうのだと言う。
八郎は、何とかしてやろうと、海の前に立ちはだかるのだが・・・

秋田弁で書かれた物語に、ちょっと四苦八苦。すぐに解読できない文章もあり、つまるつまる。それでも、岩手弁に近い方言ということが途中からわかってきて、最後の方はノリノリで読んでしまった。
ああ!東北弁の臨場感。物語を、いっそう迫力のあるものに演出している。やはり、方言っていいなあ。
あまりに、素敵な物語だったので、ネットで検索してみたが、これが、民話なのか、斉藤氏の創作民話なのか、ちょっとわからなかった。

八郎が、なぜ、自分が大きくなりたいと願ったのか、その理由を、八郎自身が理解するというラストは、早く大人になりたいと思っている頃の子どもたちに、ぴったりかもしれない。この本も、是非、高学年になった息子に再読してあげたいと思った。

息子は、よほど怖かったのだろう。最初、布団に転がり(挿絵を見ないで)私の声だけを聞いていようという構えだったのだが、迫力のある絵を、チラリチラリと見ているうちに、もう、目をそらすことが出来なくなってしまい、2ページ目くらいには、起き上がって、覗き込むようにして見入っていた。
しかし、本を閉じて「また読みたいね。」と声をかけると、「いや、もういい。」だって。なんで?と聞いてみると、一言、「悲しい話は嫌い」だって。ああ、そうですか。

でも、嫌いでも・・・きっと心には届いたよね・・・?
私も、もっともっと、おっきくならねらねば、いけね、な。母にとっては、ちょっとだけ、自分の生き方を振り返ることができた一冊でした。