ぼちぼち日記

大切な日々のこと

教えるって難しい~

2006-08-30 08:25:06 | つぶやき

「夏休みの宿題1」

通っていた書道教室に、息子を連れていったのは、もう1年以上も前。
始めは、私が一人で通い始めた教室。けれど、仕事に復帰し、夜しか通えなくなったので、一緒に連れていくことに。以来、書道家の先生の魅力に、すっかり取り付かれた息子は、気が付けば、すっかり書道好き。
それなのに、私の妊娠のせいで休会することになり(なにしろ、車で片道1時間なものですから)、息子は、悲しくて仕方がないらしい。
夏休みの宿題も、「書道」と決めていたのにね。ごめんね。

そんな訳で、夏休みの宿題を私が教えることになった!!
うわあ。「書道」を教えるのは、始めての体験だあ。おまけに・・・
相手が息子となると、ついつい、口調が厳しくなってしまうんだなあ~これが。
とにかく、姿勢から、筆の角度から気になって仕方がない。書き始めれば書き始めたで、筆の入り方から止め方まで、気になる、気になる。

一回目は、怒りすぎて大失敗。息子は、イライラして泣き出しちゃうし・・・。
そして、夏休みも終わりが見えてきた所で、いよいよ第二回目。今回は、教室の先生の教え方を思い出しながら・・・
通っていた書道教室の若い書道家の先生は、とにかく、誉め上手。ここが、上手い!と、いつでも唸って、賞賛してくれる(もちろん、私にも)。そして、さりげなく、直すところを指摘する。
でもね、誉めるって、思うほど簡単なことじゃないのです!

「夏休みの宿題・2」

どう見てもバランスの悪い字を前に、どこを誉めたらよいのだろうと、はたと考え込んでしまう。でも、一回目のようになったらオシマイだ~
「この入り方は最高!この線は、キレイだね!」
私が、感嘆の声をあげた所で、息子は、ニンマリ。ニンマリしたところで、すかさず、注意点を1つあげてみる。本当は、もっとあるけれど、そこは、妥協!
うんうんと、うなずきながら聞いている息子。

教室にいるときほど集中しないので、納得の一枚ではなかったようだが、ま、良いでしょう。そんな訳で、よく頑張りました、息子くん。
私も教えることの難しさを知って、かな~り勉強になりました。
上手くなれば教えられるというのは、間違い。教えるというのは、全く違う次元のものなのだと、痛感したのでした。まだまだ、精進せねばなあ


『アンネフランクの記憶』

2006-08-28 14:44:58 | わたしの読書
アンネ・フランクの記憶』 小川洋子

実家で読んだ、読売新聞の記事。戦争を語る数々の特集の中で、この本が紹介されていた。ちょうど、小川洋子を読みあさっているときだったから、なんだか嬉しくなって、早速、『博士の愛した数式』と一緒に借りてきた。

これは、アンネ・フランクの日記を読み、影響を受けてきた小川洋子の、アンネを巡る旅のエッセイだ。
彼女は、アンネを真似て日記を書き始め、それが今でも続いているという。彼女の書くことの原動力は、アンネ・フランクからもらったものなのだそうだ。
アンネ・フランクの生涯、ナチスドイツのユダヤ人迫害について、詳しく知りたいという思いがある人には、不向きかもしれない。とにかく、アンネ・フランクという女の子の文才にほれ込んだ(アンネフランクを心の友人としてきた)作家の、感傷的な旅日記だった。

それでも、同じように、中学生のとき「アンネ・フランクの日記」に出会い、それに触発されて日記を書き始めたことのある私には、なかなか、面白いものだった。
残念ながら、私の日記は、小川洋子のように長続きはせず、半年も続かないでやめてしまったのだけれど・・・。でも、日記帳を親友として名前をつけ、手紙を書くように綴っていく日記に、ひどく驚き、憧れたのは、はっきりと覚えている。たしか、私も日記帳に名前をつけたはずだったけれど・・・なんだったかなあ。

この本。「戦争モノ」と思って読み始めたので(新聞記事から受けた先入観って怖い)、その点では、ちょっと期待はずれだったけれど、中学生の多感な少女だった頃のことを思いだし、胸が熱くなった一冊でした。
ふと考えると、アンネフランクもまた、特別な人なのではでなく、小川洋子や私と同じ、多感な少女だったのですよね。悲惨さを直接描いた文章を読むのとは、また違った角度で、戦争の悲しみを感じずにはいられない、そんな一冊なのかもしれません。
アンネ・フランクは、永遠に少女であり続け、私は、もう、その頃のことを思い出し、胸を熱くする年になっているのですから。

『大どろぼうホッツェンプロッツ 』

2006-08-26 13:25:40 | 息子と読んだ本のこと・児童書

『大どろぼうホッツェンプロッツ』 オトフリート=プロイスラー

この本を購入したのは、もう1年以上も前。駅前の絵本やさんに勧められて、買ったのですが・・・・・。悲しいことに、そのときは、息子が、全くもって興味を示さず。それどころか、登場人物の名前も頭に入っていかず、一言、「何言ってるのかワカラナイ。」と言われてしまったのでした。おかげで、一章読んだところで、挫折。
それ以来、全く手にとっていませんでした。ところが・・・

私が、またもや出血してダウン。
たいした出血じゃないとのことで(赤ちゃんが、ちゃんと成長していれば、問題ないんですって)、お医者さんは「あれあれ、どうしてだろうね~」位の対応だったのですが、それでも、「今月一杯、仕事は駄目」「外出も、2・3日は控えるように」と、言わたされてしまいました。
よって、しばらくは、図書館には行かず、家に眠ってしまった本たちを掘りかえして読むことに。(なにしろ、息子と一緒に行くと、2時間くらいは帰ってこれなくなるものですから)
そんな訳で、あの挫折した本を読んでみよう!となりました。

一年前と、どこも変わっていないと思われる息子なのですが、なんの、今回は、目を輝かせて、きいています。長たらしい名前も気に入って、今回は、得意そうに覚えていきます。
かなりの長文なので、一日に2章読むのがやっと。前半は大きな進展もなく、正直、2日間くらいは、つまらなかったはずなのですが、、、ああ!ようやく、この本と波長があったのね!
そして、おとといくらいから、ぐんぐんと面白くなってきています。なにしろ、大泥棒だけでなく、大魔法使いという悪者も登場。魔法使いって、我が家の読み聞かせでは、あまり出てこない登場人物だから、なんだか興奮しちゃうなあ。

幼稚園のときから始まった、寝る前の「読み聞かせ」。
どんなに鬼ババでも、この時ばかりは、息子と仲直りできました。仕事に復帰してからは、唯一の「ふれあいタイム」でもありました。
今回、赤ちゃんがくれた多くの時間のおかげで、何年ぶりか、「読み聞かせ」タイム以外に、ゆったりと息子と関わっています。
知らない間に、お兄さんになっていたんだなあと感心したり、もう少し成長してたと思ってたのに!とイライラしたり。窓越しに聞こえてくる、近所の子どもたちとのやりとりに、ハラハラしたり。
お腹の赤ちゃんは、本棚に眠っていた本を掘り返してくれただけでなく、色々な発見もプレゼントしてくれています。
職場のみなさんには、ごめんなさい。でも、ちょっとだけ、この素敵な時間を大切にしてみよう。そんな風に考えられるようになってきました。
最初の2週間は、早く復帰したくて、頭が狂いそうだったのにね(笑)。
ようやく、この状況を受け入れることが、出来てきたようです。


『博士の愛した数式』

2006-08-24 14:18:11 | わたしの読書

『博士の愛した数式』 小川洋子

ようやく、私の順番がまわってきた!『麦ふみクーツェ』を読んで以来、ずっと、求めてきた本。もちろん、図書館員さんの「次に予約が入っていますから。」の一言つきだったのだが、私は、ようやく、この本を手に入れることができた。
でも、読み終われるかなあ・・・。図書館員さんの一言に、一瞬、たじろいだ私だったが、なんの!2日間で読み終えてしまった。まるで、「博士」の数式の世界に引っ張られるように、あっという間に、最後の一頁にたどり着いてしまったのだ。

これは、記憶が80分しか持たない博士と、家政婦、そしてその息子の√(ルート)の日常について描かれた物語。
身体に貼り付けられた「僕の記憶は80分しかもたない」というメモ。毎朝、そのメモを見つけ、自分の病気を知り、絶望に打ちひしがれる博士。そして、その80分を大切に、博士と向き合う家政婦。博士の病気を理解しながらも、博士への尊敬の気持ちを忘れない、息子「ルート」。

3人の愛情に満ちた日常に、最後まで幸せな気持ちでいられたことが、何より素晴らしかった。やっぱり、ハッピーエンドは、いいなあ。
それでも、俗物の私は、物語の途中で、何度か、家政婦の博士への愛情は、いったい何だろう?と、考えてしまったのだが・・・。そして、その度に、そう考えた自分の愚かさに嫌気がさした。これは、そんなものを通り越した愛の物語なんだ。きっと。
人が人を愛する素晴らしさ。崇高さ。そして、人が、何かを愛する(もちろん、この物語では、数字)素晴らしさ。崇高さ。

恥ずかしながら、超文系の私は、物語の全般を通して、何度も頭をひねった箇所があった。素数?自然数?それ、なんだっけ?どうやって求めるんだっけ?
正直、最後まで、理解に苦しむ箇所もあったのだが、読み終わったあと、なにやら数字が愛おしくてたまらなくなった。28を見つけると、最高にラッキーな気持ちがしてくる。ああ、完全数だ!って(笑)

博士の解く数式を読んでいて、ふと、自分の幼い頃を思い出した。
私が生まれたのは、何もない田舎町だった。だから、洋服を買いにいくにも、本を買いにいくにも、3つ離れた駅まで出かけなくてはいけなかったのだ。まだ硬券だった電車の切符に押された四つの数字。私は、目的地につくまで、それを、いじくりまわすのが好きだった。
足したり、引いたり、かけたり、割ったり。
むちゃくちゃに数字をいじりながら、その4つの数字を10にするという遊びが、私の何よりの楽しみだった。何の意味もなさない計算。でも、それが楽しくて仕方がなかった。簡単に10になってしまうと、妹と切符を交換して、さらに計算した。

高校生になって、数学や物理が、何より嫌いになってしまった私だけれど、数学の元になっているのは、もしかしたら、あの幼いときの私の興味、そのものなのかもしれない。そんなことを、ぼんやりと考えた。
数学をやっている人が聞いたら、大笑いされてしまうかもしれないけど・・・。
昨日の新聞で、数学者のノーベル賞とも言われる章を、ある数学者が辞退したという記事を読んだ。なにやら、数学づいている気がしちゃうなあ。ちょっと、勉強でもしてみようかしら?
あは。この本の数式が理解できないようじゃあ、ちょっと、無理があるかな


高校野球

2006-08-22 10:40:59 | つぶやき
昨日は、甲子園の決勝戦、再試合
ずっと、同じ関東地方の早稲田実業を応援していたけれど、その前日の熱闘を見ていたら、もう、どちらが勝っても良い気がしてきた。できたら、両校を優勝させてあげたい、そんな気持ち

私は、復帰したばかりの職場で(出血は、無事に収まりました)、利用者さんと一緒に観戦した。
「点入ったよ~!」
入浴後のひととき、テレビの前に陣取った利用者の方々が、興奮気味で叫んでいる。目がキラキラして、まるで、少年そのものだ。
私がとんでいくと、それぞれの方が、どんな展開だったかを熱心に説明して下さる。失語症の方が、信じられないほど明瞭な言葉で説明して下さり、今まで、ほとんど外の世界に出たことがなく、誰かと言葉を交わすのが苦手だという方が、笑顔で「すごいですね」と声をあげる。
本当に、すごい。それだけのことをさせてしまう力が、きっと、この甲子園の熱闘にはあるのだと思う。
試合終了。なんだか嬉しくなって、「乾杯しましょうよ!」と提案(もちろん、アルコールではなく、アイスコーヒーを作りました
なんだかわからないけど、誰にだかわからないけど、とにかく、みんなで乾杯!なんなんだろう、この興奮は!

そして、仕事が終わり、息子を学童保育に迎えにいったら、今度は、息子が、興奮して飛び出してきた
「早稲田が勝ったよ!見た?見た?見た?」
帰りの車の中は、にわか、解説者二人の甲子園談義。
ああ、今年の甲子園は、終わってしまったんだなあ~。この寂しさが、なんとも言えない。夏休みも、もう少しで終わるんだなあと、実感する日なんだ。この決勝戦の日は。

仕事がお休みの今朝。テレビでは、もう、甲子園の試合はやっていない。なんだか寂しくなって、おとといの朝日新聞の天声人語に引用されていた、長田弘さんの詩『夏の物語~野球(長田弘詩集・ハルキ文庫)』を、本棚から出してきた。長田氏は、ウタウ。

掴む。
滑る。
砂煙があがる。
倒す。倒れる。
どよめく。
沸く。
燃える。

うん、うん。そうだった!
詩は、その熱戦の様子を、動きを綴り続ける。そして、静かに、熱く、結ぶ。

動詞だ、
野球は。
すべて 
動詞で書く 
物語だ

あらゆる動詞が息づいてくる。
一コの白いボールを追って
誰もが一人の少年になる
夏。

ただ、ただ、応援したくなる戦い。
誰もが一人の少年になった・・・なれた?一日だったなあ。あの不思議な、魔法のような興奮をくれた、高校球児のみなさん。本当にありがとう!

ちなみに・・・・・我が家には、未だに興奮が冷めぬ人が一人。我が息子くん。
朝から、スライダーを投げるんだと言って、投球練習をしていた息子(投げ方、知らないでしょうよ)は、興奮を冷ますために、パパとプールに行きました(笑)。

『ケイゾウさんは四月がきらいです』

2006-08-19 20:05:48 | 息子と読んだ本のこと・絵本

ケイゾウさんは四月がきらいです』 市川宣子

ブログ「みどりの船」で見つけた本。
ああ!ケイゾウさんという名前に一目ぼれしてしまいました。おかげさまで、我が町の図書館にはなかったので、隣町で予約して借りるほどの御執心。だって、ケイゾウさん!!なんだか、惹きつけられるんですよね。
そんな訳で、喜び勇んで、息子に題名を読み上げたのですが・・・息子、一言、
「シブッ。」

ううむ。ケイゾウさん、たしかに、渋い名前だけれど・・・
だいたいね、最近の子どもの会話は、言葉を短縮しすぎなのです!
ウザッ。キモッ。エロッ。
なんなの、それは~!と、ついつい、お小言を言いたくなってしまう母なのでした!!
さて、、、

シブッ。息子にとっては、そこから始まった本だったのですが、読み進めるうちに、物語に、すっかり心奪われてしまったようでした。
これは、幼稚園で飼われている口の悪いニワトリ・ケイゾウさんと、可愛いけれど、ちょっぴり意地悪なウサギ・みみこの一年間のお話です。
餌は貰えないし、みみこばかりが可愛がられるし、ケイゾウさんは、いつでも散々な目にあってしまいます。ううう。可哀想、ケイゾウさん。でも、少しずつ、少しずつ、子どもたちとの間に愛情が生まれていきます。もちろん、みみことも。けれど、春がやってくると同時に、子どもたちとはお別れ。そして、また、新しい出会いがやってきます。

なんて、温かい物語なんだろう。ほんわか温かく、そして、楽しい!
一章ごとに『ケイゾウさんは・・・が嫌いです』という題名がつけられていて、それがまた、面白さを引き立てるようでした。毎晩、2章くらいずつ読んだのですが、息子は、題名を聞くたびに、「今度は、○○するんだよ、ゼッタイ。」と予想。
予想は、大抵外れていましたが、そんなことは、読み始めてしまえば、全て忘れてしまうようでした(笑)。
ケイゾウさん。
名前に一目ぼれして読んだ本でしたが、予想通り、素敵に楽しい本でした!


『ブラフマンの埋葬』

2006-08-15 11:05:52 | わたしの読書

『ブラフマンの埋葬』 小川洋子

『博士の愛した数式』は、まだ予約の順番がまわってこなくて・・・・・。もう一冊、別の作品を読んで待つことにする。
「創作者の家」という、芸術家のための家の管理人と、ある日傷ついて迷い込んできた奇妙な森の生き物・ブラフマンの物語。決して、物覚えが良いとはいえないブラフマンの悪戯に翻弄されながらも、愛さずにはいられない主人公。主人公とブラフマンの一夏の思い出が、淡々と描かれている。淡々と。本当に、淡々と。

これでオシマイ?
そんな声が、頭のどこかから響いてくる。この小説もまた、賛否両論、分かれそうな本だなあ。私は・・・・・どっちかなあ。
正直に言って、冷静に判断できそうにありません。なにしろ、最近、小川洋子の文章に傾倒気味なので、とにかく、その世界に浸っているのは、良い気持ちなのです。そう、彼女の文章の中に、何も考えず、ただ身を委ねている感覚。そんな作品でした。
ああ、早く、『博士の愛した数式』が、やってこないかなあ。


『くんちゃんのふゆのパーティ』

2006-08-14 10:44:33 | 息子と読んだ本のこと・絵本

くんちゃんのふゆのパーティ』 
ドロシー・マリノ作 あらいゆうこ訳

「読みたい本を持ってきて。」と頼んだら、なんと、この本を選んできた。え~?どうして~?息子の思考回路が、全くもって読めません。
くんちゃんシリーズは、幼稚園の頃に、頻繁に読んでいた本。それが何故、今なのか?も疑問だが、他にも色々ある中から、何故、冬篭りの話を選んでくるのか?も疑問。
『くんちゃんのもりのキャンプ』だったら、まだ、うなずけたのだけれど。
本当に、私の想像力を超えてるんだよなあ。息子くんよ。

それでも、ひどいツワリのせいで、一日中、吐き気に悩まされていた私には、くんちゃんシリーズの、優しい文章の響きは、とてもとても心地良いもので・・・・・最後には、すっかり癒されてしまった母なのでした。
くんちゃんは、やっぱり最高です。くんちゃんの目線も素敵だけれど、くんちゃんのお父さん、お母さんの子どもを見守る視線には、親として、憧れを感じます。

この本では、くんちゃんが、冬場、餌が少なくて困っている小鳥や、りすたちに、パーティをひらいてあげるという視点が、印象的。でも、私が一番好きなのは、お父さんが仕事から帰ってくるまでの間、くんちゃんとお母さんが、パーティの飾りつけをする様子が、優しく描かれている場面。
こういう家族でいたいなあ。しみじみと感じてしまいました。
良い絵本は、年齢も季節も超えて、心を惹きつけるんですねえ。
改めて感じいった夜でした。

今朝、出しっぱなしにしていたこの本を、パジャマのまま読んでいる息子を発見。おお。一人で読むほど好きですか。漫画と『かがくる』以外を読んでいる息子を、久しぶりに見た朝でした。


『沖釣り漁師のバート・ダウじいさん』

2006-08-13 17:07:42 | 息子と読んだ本のこと・絵本
沖釣り漁師のバート・ダウじいさん』 
ロバート・マックロスキーさく 渡辺茂男やく

久しぶりの息子との読書。私が、外出できないので図書館にも行けず。良い機会なので、家で眠っている本を開くことにする。
まずは、配本サービスから送られてきた本。迫力ある美しい表紙が印象的だ。
なにしろ、素敵な絵なので、きっと、リアルな話なのだろうと想像する。語り口も優しく、しっかりしていて、このまま、静かに物語が進んでいくのだろうと・・・

ところが!
ポンコツ船で海に出たバートじいさんが釣り上げたのは、なんと、鯨!ああ、これは、以外に壮大な冒険ものだったりして。なんて、想像したのだが・・・・裏切られた。
バートじいさんは、なにやらカラフルなバンドエイドをとりだし、釣り針で穴の開いた尾びれに這ってあげる。うむむ。これは、もしかしたら、鯨とおじいさんの友情物語?・・・・・なんて、想像したのだが、またもや裏切られた。
嵐がやってきて、ポンコツ船が転覆しそうになったとき、バートじいさんが考えた妙案は、鯨のお腹に非難すること。うわあ。以外とナンセンスな友情物語なのかしら。『いやいやえん』みたいな?ところが!

嵐の海から、鯨のお腹に非難したバートじいさんったら、鯨が約束を守るかが心配になり、鯨をくしゃみさせて、外に出ることを計画するのだ。それがまた、船底に入っていたペンキや油をぶちまけるという・・・なんとも、友情物語とは程遠い感じ。
ここまで想像を裏切られると、もう、思考回路は、完全にストップ。
息子と同じように、ただ、次のページを楽しみにするしかないなあ。
鯨のお腹からとびだしたバートじいさんが見たものは、なんと、カラフルな大勢の鯨たち!ああ、これは、どういうことなの~!
最後には、さらに、考え付かなかった物語が待っていて、本当に、驚かされっぱなしの一冊でした。

とにかく、絵にだまされたのだ。だって、とても、そんなナンセンスな話を描いた絵じゃないんだもの!
母は、見事に裏切られ、息子は、大いに驚き、ともに満足な絵本でした。

『妊娠カレンダー』

2006-08-11 16:27:12 | わたしの読書
妊娠カレンダー』 小川洋子

『麦ふみクーツェ』を読んでから、ずっと、主人公のお父さんのことが気になってしかたがなかった。この世界のすべてを数字を通して理解し、数字を通して愛する彼。数字でしか、自分を表現できない彼。そんな、数学者の世界をのぞいてみたい。そう思ったとき、小川洋子著の『博士の愛した数式』を思い出しました。
映画になったことで、ちょっと、読む気持ちが萎えていたのだけれど、きっと、今こそ読むべき時!と、勝手に運命を感じています。
ところが、この本は、とてもとても人気があるらしく、図書館では、予約の列。仕方ないので、同著作者の『妊娠カレンダー』という本を借りてきました。著者は、この本で芥川賞をとったとのこと。うむむ。最初に、こっちに挑戦だ!

不思議で怖い短編が三つ。中でも、『妊娠カレンダー』は、強烈だ。
美しく、我がままな姉。姉の我がままに翻弄されながらも、姉が結婚してからもなお、一緒に暮らしている妹。奇妙な共同生活だ。
その姉が、妊娠した。ひどいツワリ。そして、ツワリの後に訪れた恐ろしい程の食欲。どんどん変わっていく姉を、妹は、どんな風に見つめていたのだろう?
姉の中の赤ん坊を、「遺伝子」としてしか考えることができない妹は、なんと、ジャムが食べたいという姉に、農薬づけのグレープフルーツのジャムを作り続け、赤ん坊を壊したいと思うようになる。
いよいよ、赤ちゃんが生まれるという日。病院に運ばれた姉を追い、病院に入った妹の、壊れた遺伝子を見に行こうという言葉が、すごい。
ジャムによって破壊し続けることで、生まれてくる「遺伝子」は、姉夫婦だけのものではなく、妹のものにもなるというのだろうか(考えすぎかな?)。妹の異常な心理状態が、ジワジワと伝わってきて、背筋が寒くなる物語でした。

私が気に入ったのは、2話目に収録された『ドミトリイ』。主人公の女性が、かつて自分の入っていた学生寮を、いとこの男の子に紹介するという話だ。
寮の管理人である、両手・左足の無い「老人」との再会。
寮から忽然と消えた大学生は、どこに行ったのか?どうして、主人公の女性は、寮に引越しした「いとこ」に、それ以降、会うことができないのか?
管理人が、すべての鍵を握っているようで、握っていないようで・・・そんな不気味さのまま、物語は終わる。桐野夏生の『柔らかな頬』を思い出した。これは、最後まで犯人不在のサスペンス。いやいや、事件が、本当に起こったのかもわからないサスペンス。不思議な不気味さだった。

バトン

2006-08-10 17:22:22 | つぶやき

絵本の話はもちろんのこと、その温かく優しい人柄に触れられるのが、なにより楽しみなえほんのまいにち」の管理人・新歌さん から、バトンを受け取りました。
本当は、もっともっと前に受け取っていたのですが、息子の夏休みと重なり、妊娠発覚と重なりと、忙しくて、なかなかブログ自体を更新できずにいました。新歌さん、バトンを引き継いでこられた方々、本当に申し訳ありませんでした。

それにしても、新歌さんから紹介して頂くなんて、光栄というか・・・ただただ恐縮しちゃうのですが、恥ずかしながら、私もバトンに挑戦です!(思いがけず、時間もたっぷりありますしね)
このバトンは、管理人の輪を作ろう!という趣旨のものだそうです


※バトンを受け取った方は下記にHNの記載をお願い致します。

┗新空ちはら→佐和コウイチ→藤ちょこ→日原玲→虎津→狸狗子→絢→ 佐佑→ルク→三笠麻都→愛水麻彩→十一花ぱぴら→采乎ロゼ→市松ぐりこ→すみ→あゆっきぃ→Kou→miyuki→マロン→みなみ→美波→そのみ→バイアリー・ターク→jasumin→新歌→こもも

1.貴方のHNを教えて下さい

こももです。
高校生の時、体育祭の応援合戦で、「ももたろう」という出し物をやりました。私は、おじいさんとおばあさんの拾った大桃の中から飛び出す、その他大勢のこもも(小さな桃)の役。親友が、桃のお面が似合っている?からと、「こもも」というあだ名をつけてくれました。
いまだに、その親友は、私のことを「こもも様」と呼ぶんですよ。おばさんになっても「こもも様」。うふふ。なんだか、おかしいですね。ちなみに、私は、小学生の頃から、あだ名以外で呼ばれたことがない子どもでした。こももは、私のあだ名の歴史の中でも、一番のお気に入りです。

2.貴方のサイト名を教えてください

「ぼちぼち日記」です。
ぼちぼちいこうか~が、私の合言葉なんです。どんなときも、のんびり、ゆったり、ね。
・・・・・でも、たまに、うまくいかない時もあります。


3.いつからこのサイトを始めましたか?

2005年 10月 30日 です。 
 

4.管理人歴はどれくらいですか?

もうすぐ10 ヶ月 です。

5.サイトのジャンルや属性について割と詳しく説明してください

息子への読み聞かせ日記です。おもしろいもので、息子からは、私が思いもしなかった反応が返ってくることが多々あります。感心したり、がっかりしたり。一緒に大笑いしたり。その様子を書き留めておきたい。そんな思いで始めました。
最近では、自分の読んだ本の感想も書き留めています。こちらも、同じ本でも、人によって感じ方が違うのだと、あらためて感心しています。自分とは違う感想のブログに出会えたりする楽しみも増えました。


6.訪問者に是非行くべきだ!!と
貴方がオススメできるサイト様を 5つ必ず書いて下さい
 
(できれば簡単にジャンルの説明もお願いします)

これは、ちょっと難しい質問です。
だって、おじゃましているブログは、どれもおススメだから。。。どうしようかなあ。
ということで、絵本と書評のブログとは、ちょっと違うブログを紹介したいと思います。

ブログの名前は、「筆だより」。

管理人の
みずほさん
の書く「書」は、優しく温かく、まるで、彼女の人柄そのものなんですよ。
ブログでは、「書」はもちろん、彼女の人生観にも触れることができ、とても温かい気持ちになれます。また、最近、彼女は師匠から独り立ちし、子どもたちのための書道教室を開いたり、幼稚園でワークショップを開いたりと、とても精力的に「書」活動しています。その様子もまた、とても魅力的。
こんな書道教室があるのか!と、目からウロコの方もおられるかもしれません。
おすすめです!


                     

ブログのおかげで、たくさんの人と知り合うことができました。顔が見えない世界なのですが、励まされること、勉強することがたくさんあり、自分でも驚くほどです。本当にありがとうございます。
そして、これからもどうぞよろしくお願いします。


赤ちゃんができました

2006-08-08 12:50:19 | つぶやき

なんと、妊娠しました!ずっと欲しかった赤ちゃんが出来たと判った日、もう、このまま、天まで飛び上がれるんじゃないかと思うくらい嬉しかった!
でも、私の場合、高齢出産に加え、稽留流産も経験しているし、亡くなった娘の病気のこともあるし、本当は、手放しでは喜べないのです。でも、嬉しいものは、やっぱり嬉しい
初診の日は、赤ちゃんの袋しかエコーに映らなかったので、「まだまだ喜ばないで下さい」と、先生に釘をさされ、以来ずっと、喜びをセーブしてきました。
だから、今日、思いがけず、赤ちゃんの姿とエコー画面で対面できたときは、本当に嬉しかった!万歳って、叫びたくなっちゃいました

実は、昨夜、突然の出血。先生が、明日受診するようにと言うので、急遽、仕事を休んで、今日、受診してきたのです。
今朝も出血していたので、かなり心配していたのですが、先生に「赤ちゃんが、ちゃんと映っているから大丈夫!」と言ってもらえ一安心。出血の状態も悪くないので、2~3日安静にしていれば、止まるでしょうとのことでした。
でも、この位の出血なら大丈夫だよと言われた途端、ちょっとだけ欲が出た私。「ちょっと位なら仕事に行ってもイイですか?」と言って、先生に怒られてしまいました。「大丈夫と言っても、赤ちゃんからの警告ですよ!」と。
ごめんね、赤ちゃん。ちゃんと、休むからね。

実は、職場は、妊娠のために身体介護が出来ない私でも、いないと困るほどの人手不足。秋から、本格的に始動する(ただ今、移行期間中)「障害者自立支援法」のおかげで、今、福祉業界は、存続の危機と言っても良いくらいの危機を迎えているのです(こんなサイトもあります)。
出血の原因は、仕事ではなく、たぶん・・・おととい、旦那の実家に息子を連れていった時に、みんなで行った動物園。(3時間以上、歩きっぱなしだったのです。)
あんなに、職場で配慮してもらっていたのに・・・私的な外出で、それを台無しにしてしまうなんて。反省しても反省しきれません。どうして、その位なら大丈夫と思ってしまったんだろう。
2~3日休むと、仕事は、そのままお盆休みに突入します。思いがけず、2週間近い休みを手に入れてしまった私。この反省を繰り返さないように、ちゃんと休んで、お盆明けには、ちゃんと復帰できるようにしたいと思います。

でも、こんな風に、赤ちゃんと会話しながら、一緒に10ヶ月間頑張れるって、本当に夢のようです。お腹に赤ちゃんがいるときの感動って、本当に、特別だなあ・・・とシミジミとしてしまった日なのでした。


『麦ふみクーツェ』

2006-08-05 17:46:06 | わたしの読書
麦ふみクーツェ』 いしいしんじ

この本、好き。それが、率直な感想だ。『トリツカレ男』も『ぶらんこ乗り』も、もちろん好きだけれど、それを越えた「好き」が存在する。
どうしてだろう?と、妹と話していて、この本が描いているのが「希望」だからじゃないか?ということに、辿り着いた。だからだろうか?読んだあとの、この爽快感。
しかし、途中までは、ちっとも希望じゃなかったのだ。
どちらかと言えば、恐怖だった。「ねこ」と呼ばれる主人公が、どんどんと追い詰められていく恐怖。いしいしんじ氏独特の無国籍の世界に加え、話を追うごとに加えられていくエピソードは、読む者の恐怖心をあおっていく。

「ねこ」と呼ばれる、主人公の「ぼく」は、異常なほどに背が高く、病弱で、学校のみんなから無視されている。ぼくは、小さな港町の吹奏楽を率いるティンパニストのおじいちゃんの影響を受け、音楽家としての道を歩み始める。
学校の先生で、数学者で、数字でしか表現することが出来ない父さん。「ぼく」の学校での唯一の居場所、三面記事のスクラップをしている学校の用務員さん。そして、盲目のボクサー・ちょうちょおじさん。盲目で、頭がイカレちゃってる天才チェロリストの先生。その娘、みどり色。ぼくが知らないうちに、ぼくの住んでいた町をめちゃくちゃにし、父さんを水の中に放り込んでしまった・セールスマン。
とん、たたん、とん――と、響く麦ふみクーツェの音に導かれながら、「ぼく」は、その個性的で、変わった登場人物たちと共に、成長していく。

印象に残った言葉がある。盲目の天才チェロリストの先生が、ぼく・「ねこ」に尋ねるシーンだ。
「へんてこで、よわいやつはさ。けっきょくんとこ、ひとりなんだ。ひとりで生きてくためにさ、へんてこは、それぞれじぶんのわざをみがかなきゃなんない。そのわざのせいで、よけい目立っちゃって、いっそうひどいめにあうかもしんないよ。
でもさ、それがわかっててもさ、へんてこは、わざをさ、みがかないわけにいかないんだよ

それは、どうしてだと思う?ねこは、答える。
「それは、それがつまりへんてこさに誇りをもっていられる、たったひとつの方法だから」

いしいしんじ氏は、つくづく、へんてこな人が好きなんだなあと思う。へんてこな人、個性的すぎて、世の中からはじき出されてしまった人に、限りない愛情と尊敬を注いでいるように思える。でも、誰が変で、誰が普通なんだろう?
生きていくと、必ず、何処かで壁にぶつかる。自分の価値観を根底から崩されるような挫折や、屈辱を味わうこともある。そんなときに、大切なのはなんだろう?
そんな、言葉では、とても表現できない何かを、でも、確実に、手にできたような気がする。
この本を読んで、いしいしんじ氏の作品が、図書館のヤングアダルトのコーナーに並んでいる意味が、なんとなくわかった。
中学生、高校生の頃の私が読んだら、どんな風に思っただろうか?子どもたちは、この「希望」を、どんな形で手にとるだろうか?そんなことを考えた一冊でした。


実家はいいなあ

2006-08-04 08:27:29 | つぶやき

ようやく、なつかしの我が家に帰ってまいりました!
久しぶりの実家では、おいしいものをたくさん食べて、楽しい話を一杯してきました。実家は海のそばなので、仕事の合間には、海水浴にも、磯遊びにも行けたし、もう、満足。
大人になっても、やっぱり、私の夏休みの思い出から、「プール」と「海」を欠かすことは出きないのです。やっぱり、私は、海の子なんだなあ~
目的は、息子を預けるためでしたが、思いがけず、私の夏休みにもなりました。
それにね、いくつになっても、お母さんって特別です
30歳すぎて(しかも40歳目前!)、まだマザコン。お恥ずかしいです。

さあて、来週からは、息子は、旦那の実家に「お預かり」。
こちらでは、「一人じゃ、みれないわ!」と言われませんので、私の付き添いはありません。私と旦那は、久しぶりの二人の生活。せっかくだから、新婚気分でも味わうことにしましょうか。。。
とか言っておきながら、たぶん、息子のことばかり思って、家では何も手につかないってことになるのだろうなあ。駄目母は。
息子の方は、鬼ババがいない一週間を、思い切り楽しんでくるでしょう!
この一週間を乗り切ったら、いよいよ、私も旦那も一週間の夏休み
楽しみだなあ~