ルイス・サッカー (著), 金原 瑞人; 西田 登(訳)
前作『穴』に比べると、やはり、スケールの大きさは、負けてしまうかなあ。
物語の運びかたの巧妙さも、やはり、負けてしまうと思う。
でも、青春小説としては、負けない面白さだと思う!
それより何より、今回は、最初の数ページで、読み手を、完全なる「主人公の味方」につけてしまうことに成功する。よって、ハラハラ・ドキドキしっぱなし。
だって、「よせばいいのに」、人の良い主人公は、次々に騒動に巻き込まれていってしまうのだもの。
これは、『穴』の登場人物であるアーム・ピットとX・レイの、その後のお話。
レイク・キャンプ(更生施設)を出たアーム・ピッドは、仕事を持ち、学校に通い、まっすぐと歩き始めていた。ところが・・・。X・レイの持ちかけた金儲け話に、アーム・ピッドが、断わりきれずに乗ってしまった所から、物語は始まる。
「ああ、どうしてOKしちゃうのよー!」
「彼は、真面目に生きていこうとしているのよ、誰か、助けて!!」
叫びだしたくなる衝動にかられる。興奮しすぎて、何度も本を閉じてしまった位。
・・・という訳で、またもや悪い癖が出てしまい、先に結末を読んでしまった。
クライマックスを、3回も読んだのは、私です。
青春小説のような明るさ、すがすがしさに、ドキドキがプラスされた、この本。
面白くない訳がないのです。
いつも、ドキドキしすぎちゃう私には、主人公の味方が、何人も登場してくれるのも、嬉しかった。
また一人、レイクキャンプ(更生施設)の仲間が、真っ直ぐ歩いていくことが出来たのだと思うと、それも、嬉しい。
レイクキャンプの仲間が更生していくストーリーは、やっぱり、『穴』のファンとしては、何より嬉しいストーリーなのです