ぼちぼち日記

大切な日々のこと

チェシャー・ネコ

2007-05-29 17:26:14 | 息子と読んだ本のこと・児童書
息子と一緒に読み始めた『不思議の国のアリス』。
とにかく、言葉遊びが多くて、なかなか先に進みません。
というのも、全く理解できない言葉遊びなら、「意味わかんねー!」と、笑って聞き流せるようなのですが、判りそうで判らない言葉遊びが出てくると、とたんに、真剣な顔で「どういう意味?」なんて質問してくるのです。

ひっかけギャクみたいなものなので、説明したらツマラナイ。
だいたい、いちいちストップすると、話の流れが止まっちゃうのです。
で、「いいんだよ!どっちみち、意味わからない国なんだから~」などと、答えてしまう母。
ああ、大人になったら、「お母さんが一人で楽しんでいたギャグ」を知るために、是非、再読してみて下さい。息子くん。

今のところ、息子のお気に入りの場面は、公爵夫人の台所のシーンと、メチャクチャお茶会のシーン。
突然、思い出したかのように、公爵夫人の台詞や、帽子屋の台詞を暗唱しています。
正直言って、耳をふさぎたくなるような汚い台詞なんですけどね
「・・・だからだよ、このブタ!!」とか「あたりまえだろうが―ええ、このまぬけ。」とか

そして、とびきりお気に入りのキャラクターも、出来たようです。チェシャー・ネコ。
アリスを読んだことがない人でも、あの、歯を出して、ニンマリ笑った猫のことを知っている人は、多いのではないかと思います。
息子は、その真似をして、口を大きく横に広げ、にま~っと笑ってみせるのです。
「ねえねえ、お母さん!」と呼んでは、私が振り返ると、にや~。
そこで、初めて知ったのですが、挿絵の「チェシャー・ネコ」に、そっくりなんです!息子。もう、大爆笑。
おかげで、すきあらば、「お母さん」と呼んで、にや~っ。
真面目な話をしていても、にや~っ。
で、いつものことながら、怒る気も失せるのでした。

昨日は、本を読んだことのないパパにまで、その猫の挿絵を見せてあげ、家族みんなで「にや~」っと、チェシャー・ネコの真似。
そのうち、なぜか、誰が、一番そっくりに笑えるか?ということになり・・・・。
みんなで、口を思い切り横にひらいて笑っていたら、なんだか、ものすごく馬鹿らしくて、大笑いしてしまいました。
最後のオチは、娘。娘ちゃんは、どうだろう?ということになり、腕の中の娘を、みんなでのぞいたのですが・・・・・残念!歯がなかった!!大爆笑なのでした。
訳わからないよね、娘ちゃん。ごめん、ごめん。いつか、読んであげるからね

『猫の建築家』

2007-05-26 13:26:43 | わたしの読書

『猫の建築家』 森 博嗣 ・佐久間 真人

私の実家では、猫を二匹飼っている。白に黒のブチ猫の姉妹だ。
猫は、本当に不思議な同居人だった。
餌は貰うけれど、決して媚びない。
猛然と抗議してきたかと思うと、私が、落ち込んでいるときには、どこからともなく現れて、体をこすりつけて慰めてくれたりもする。
そんな猫たちが、窓の外に拡がる空を見上げ、何やら思案している姿を思い出す。
まるで、何かを思い出しているかのように、目を細めた猫たちの、優しい二つの瞳を思い出す。
彼らは、何を考えていたのだろう?何に、想いをめぐらせていたのだろう?

本のページをめくりながら、何度も、あの愛すべき猫たちの姿を思い浮かべた。
そうか。猫って、建築家であり、哲学者なんだね。
佐野洋子さんの絵本にもあるけれど、猫って、本当に、何回も生まれ変わっているに違いない。だから、その哲学は、重く、深く、とても、人間なんて敵わないのだ。

『少し変わった子あります』のミステリー作家・森博嗣さんと、画家・佐久間真人さんの紡ぎあげた物語。
これを読んだ人は、道を歩く猫に出会ったら、きっと振り返ってしまうはずです。
空を見上げている猫のとなりに立って、一緒に見上げてしまうはずです。
そう。そこに隠されている真実を探して。


『ノーム』

2007-05-23 19:28:13 | わたしの読書
『ノーム』
ヴィル ヒュイゲン(著),  遠藤 周作, 寺地 伍一, 山崎 陽子(翻訳), リーン ポールトフリート(絵)

小学生の頃、学校の図書室で、佐藤さとる氏の『だれも知らない小さな国』という本に出会った。そして、その瞬間から、コロボックルの虜になってしまった。
このシリーズが大好きで大好きで・・・・・。おかげで、空想ばかりしていた、夢見心地の少女は、毎日、コロボックルを探すことになったのでした。

足の早いコロボックルを見つけるために、さっと振り返ったり
「いつかきっと、選ばれた人になるんだ(コロボックルは、選ばれた人間にだけ、姿を見せるのです)」と心に決め、母親の手伝いをしたり
悪いことをしそうになった時(妹に意地悪するとか)には、自分をたしなめたりもした

(ちなみに、コロボックルの他にも、地底人を信じていて、これまた、よく穴を掘っている子どもでした。
鏡の向こうにも、人が住んでいると信じていたし・・・・・
『霧のむこうの不思議な町』を読んだときには、天気が良いのに傘を持ち出したりしてね。行きたかったな・・・不思議な町。
今考えると、なんて変な子だったのだろう。実は、息子の上をいっていたかも? )

さて、残念ながら、選ばれた人になれなかった私は、コロボックルと会って話すことは出来なかったのだけれど、心の中には、ずっと、小さい人が住み続けています。これは、その小さい人の仲間、ヨーロッパ・北アメリカに生息している「ノーム」についての研究書!?です。
またまた、ことり文庫さんのブログで見つけてしまいました。

私の心の中に住んでいるコロボックルとは、ちょっとイメージが違うところもあるけれど(何しろ、私の中のそれは「村上 勉 氏の挿絵」そのものですから)、それは、人種の違いなのだと勝手に解釈。
そうかあ。小さい人は、世界中にいるのですねえ。知らなかったなあ。
今度は、世界の小さい人の物語を読んでみようかな。
そして息子にも・・・・・。そろそろ、読んでも良い頃かなあ。私の宝物の本

『不思議の国のアリス』

2007-05-20 13:24:59 | わたしの読書
『不思議の国のアリス』ルイス・キャロル (著), 脇 明子(訳)

少しずつ、岩波少年少女文庫を読み進めています。
子どもの頃、読んだことがある本もあれば、題名すら知らなかった本もあり、それは、なかなか楽しい読書です(全部読むには、一生かかるかもしれませんから、一生の楽しみですね)。
今回、借りてきたのは、『不思議の国のアリス』。
昔むかしに読んだことがある一冊ですが、その後、アニメなどでも見ているので、記憶のどれが原作のものか、アニメのものか、さっぱり判らなくなっていました。
読み終わってから、「あれ?ハンプティ・ダンプティが出てこなかったぞ?」なんて、思ってしまった程。えへへ。ハンプティ・ダンプティは、『鏡の国のアリス』ですよね。駄目だなあ。

それにしても、この本。こんなに面白かったんですね。
驚くほどのナンセンス。驚くほどのブラック・ユーモア。
特に、ブラックの方は、これは、日本では在りえないなと思う程の強烈さ。お国の違いって、あるもんだなあと思う。言葉遊びも、こんなに手が込んでいるとは、知りませんでした。

この話を妹にしたら、シェイクスピアの作品にも、言葉遊びがたくさん隠されているのだそうだ。
そして、イギリスで、ブラックジョークといえば、「ミスター・ビーン」を思い出します。大好きで、ビデオにとったこともあったっけ(笑)。そういえば、インテリの人がコメディアンになるという話も聞いたことがある。イギリスって、ジョークが文化なのかしら

日本の子どもには、たぶん・・・この本にちりばめられた言葉遊びと、ブラックを理解するのは難しい。でも、ナンセンスは、大人の何倍も楽しめるだろう。
これは、是非、子どものうちに一回読んで、大人になってから、再読すべき本だなあと思いました。
うん。アニメでは、このナンセンスの強烈さは、半分も伝わらないと思うなあ。
訳者の方が、音にして楽しめるように訳したと書かれていたし。ふ~む。
貸し出し期日を延長して、息子に読んでみようかな。

ということで、早速、息子と読み始めました。息子は、毎晩、大笑いとツッコミ、ズッコケに忙しくしています
続編は『鏡の国のアリス』。
アマゾンの書評に、「ブラックが過激なので、子どもには読ませるかは、親御さんが判断した方が良い」と書いておられる方がいたので、私の方は、お先に『鏡の国のアリス』の方を、一人で読んでみようと思います。
『不思議の国のアリス』でも、赤ちゃんをぶん投げちゃったり、すぐに死刑になっちゃったりと、かなり過激なんですけどね(笑)。
それをジョークととれる寛容な心を、育てたいとは思っていますが・・・

『おとなって じぶんで ばっかり ハンドルを にぎってる』『きっとみんなよろこぶよ!』

2007-05-19 11:35:23 | 息子と読んだ本のこと・絵本

『おとなって じぶんで ばっかり ハンドルを にぎってる』ウィリアム・スタイグ作 木坂涼訳

久しぶりの絵本。息子が、嫌だなという顔をしたのだけれど、構わず、ページをめくってしまいました。でも、大丈夫。一ページ目から、釘付けになっていました。
だって、一ページ目には、こう書かれていたんですもの。

となって、どもを あわせに せたがるんだ。

うわあ~。これ、私のいつもの台詞だよね。
「あなたの将来のためなんだよ!」
息子にとっては、耳にタコができるほど聞かされた台詞。あらためて、文字にして見てみると、なんだか、滑稽に見えてくる。ありゃりゃ。
ページをめくるごとに、母は、ドキドキしてきました。

となって、ぶんも かしは どもだったって ならずいう

はい。いつも言っています。
「お母さんの子どもの頃はね。」「お母さんだってね。」口癖です。
こんな文章が延々と続くのです。息子は、さぞかし、面白いだろうと思っていたのだけれど、意外に冷静。ゲラゲラ笑い転げるだろうという予想を裏切って、真剣に聞いています。そして、思い当たるページで、「ああ、ああ。」と深くうなずく。
・・・・・・。息子君、お母さん、笑われるより心が痛むんだけど。

そんな息子が、深くうなずいたのは、

となって、たら 重を かるし、 ガミを ぞいて っかり。

となって、ぐ かれちゃう。

となって、ちこちが たいみたい。

「お父さん(お母さん)疲れてるんだよ。」
「お父さん(お母さん)、今日は、腰がいたいんだよ。」
つい最近、聞いた会話だなあ~、これ。いや、毎週末、聞いてるかも!?
母の胸が痛くなったところで、絵本終了。
この本・・・。小学校で読み聞かせとかしたら、「あるあるあるある・・・・」の大合唱になっちゃうかも!

ちなみに、息子は、文章にほどこされた「字の色の違い」に、何故か注目。
?なんだろ。

え~?ただの飾りだと思うけど。そう言われると、何かあるのかも。。。
最後まで読みましたが、色の違いは、やっぱり、ただの装飾だったようです。推理小説(といっても、ミルキー杉山とか、ネートくんだけど)の読みすぎですな、息子くん。
推理小説といえば、息子くん、今日、図書券を頂いたのですが、てっきり、漫画を買うのかと思いきや・・・
「コナン・ドイル。読んでみようかな。。。」
え~!! 影響受けやすいなあ~。
(アニメ・名探偵コナンの先週の放送で、コナンくんが、「コナン・ドイル」は、小1の時に、全部読んじゃったし・・・と、言う場面があったのです。たぶん、これに影響されていると思われます。)
実は、母も、ホームズは読んだことがないのです。いやあ、楽しみ!!
どの出版社の訳が読みやすいんだろう?早速、リサーチ開始しなくちゃ。

『きっと みんな よろこぶよ!』ピーター・スピアー 松川真弓訳

ことり文庫さんのHPで見つけて、読んでみたかった本。
そろそろ家の壁を塗り替えたいと思っていた両親のために、子どもたちが、最高のプレゼントをしてくれます(笑)。
私も小学生の頃、母が留守の間に、「お母さんの喜ぶことをしてあげよう」と思い立ち、皿洗いをしたりしたものです。なのに、お皿割って、かえって迷惑だったり
もちろん、この絵本の子どもたちの大胆なプレゼントには、全くもって敵わないんだけどね。

「こりゃあ、すげえな。」
息子の感想は、たった一言でした
うん、本当に。
「こりゃあ、すげえな。(真似しないでね)」


『ふしぎなロシア人形バーバ』

2007-05-17 11:30:17 | 息子と読んだ本のこと・児童書
ふしぎなロシア人形バーバ (単行本)
ルース・エインズワース(著), ジョーン・ヒクソン(イラスト), 多賀 京子(翻訳)

〈しあわせの国〉は、お店で売れなかったおもちゃや、家の中で、どこかに行ってしまったおもちゃが、行く国です。これは、その国にある「バラやしき」のおはなし。
ある日のこと、バラやしきの住人たちの元に、二人の新しい住人がやってきます。一人は、べラという女の子。そしてもう一人は、バーバというロシア人形。
バーバは、とても優しく、働き者で、ピアノが上手。そして・・・驚くほど、たくさん食べるのです。これには、大変な秘密が・・・。
ロシア人形といえば、ほら、あれです。うふふ。

バーバが、「わたしって、よく食べるんです。」と言うところで、母は、バーバの秘密がわかってしまいました。けれど、息子は、何も不思議には思っていない様子。
それよりも、べラの我がままぶりの方が気になるようで、「こいつムカツク!」などと言いながら、それでも、その台詞を暗唱しては、大笑い。子どもって、こういうのが楽しくて仕方がないんですねー。
ようやく、べラたちが、夜中にこっそり台所に入り込み、そこでバーバの秘密を見てしまうシーンで、バーバの秘密に気づいた様でした。

「あ!あ!あ!」と声をあげて飛び上がった息子。「あれだよね?ね?」
ところが、物語では、なかなか秘密が明かされません。息子は、伏線が張られる度に、「ほら、ね。そうだよね?ね?」と。
目がキラキラ輝いているのよね。本当に、読み甲斐があります

さて、秘密が明かされてからは、子どもたちの冒険、悪戯どころ満載の物語。息子好みの一冊でした。
本当は、人形の国の話ということで、男の子にはどうだろう?と思ったのですが、その生き生きとした物語は、男の子向きとか女の子向きとか、そういうことを越えていました。

それにしても、ロシアの人形・マトリョーシカ。欲しくなっちゃいました。
でも、夜中、部屋をのぞいてみたら、みんなで、合唱していたりして!冷蔵庫のものが、どんどん減ってしまったらどうしよう!!
そんなことを考えたら、ますます、欲しくなってしまいました

 思った以上に長いお話で、おまけに、学校の宿題で(さすがに、5年生ともなると、難しい宿題が出されます。作文とか、手紙とか、気になる新聞の切り抜きをして感想とか)読めない日も多く、読了するまでに、かなり時間がかかってしまいました。
けれど、一度も飽きることがなかった一冊でした!宿題が終わらずに、本が読めない日は、半べそかいて、いじけて布団に潜り込んでいた程 はいはい。宿題は、学校から帰ったら、すぐにやってしまいましょう

『見えない誰かと』

2007-05-16 13:40:32 | わたしの読書
『見えない誰かと』 瀬尾まいこ

『図書館の神様』という題を目にしたことがあり、いつか読んでみたいと思っていた。
でも、なんだか手にとる機会がなくて、なぜか、先にこの本がきました。初めて読む瀬尾作品。これは、彼女の中学校教師としての日常を描いたエッセイ?
・・・エッセイと言うには、あまりに美しすぎる気がするのは、私だけでしょうか。

さすが、国語の先生。文章が、とても美しく読みやすかったのですが、、、。
内容も美しすぎて、ちょっと、毒のあるエッセイが好きな私には、NG。
こんな素敵な先生がいた、こんな素敵な学校があった、こんな楽しい生徒がいたという話が満載で、彼女の豊かな生活が、手にとるようにわかるエッセイでは、あるのですが。。。これを読んで、面白いか?と言われたら・・・
やっぱり、椎名誠のようにハチャメチャか、佐野洋子のように超・毒々しいか、村上春樹のツッコミどころ満載のエッセイが好みです。

彼女の人柄が伝わってくるエッセイなので、小説を読んで、彼女を知りたいという所から入っていたら、また違った感想があったかも。作品の背景が感じられて、楽しかったかもしれない。
でも、読んでしまったものは、仕方ない。
今度は、是非、小説の方を読んでみたいと思います。

2ヶ月

2007-05-12 14:46:55 | 赤ちゃん日記~娘さん日記
今日で、娘は、2ヶ月になりました。
2735gで生まれた小さな小さな赤ん坊は、今朝、5000gを越えていました
大きくなったねー。さすが、オッパイ大好きちゃんです。

何日か前から、「お~。お~?」と、私の知らない誰かと、何やらおしゃべりを始めました。
右ばかり向いて寝ていて、顔半分が平らになってしまっていた程だったのに、1週間前から、自分で、右、左に顔の向きを変えて寝るようになりました。
オッパイを飲むときに使うクッションに乗せると、「オッパイだ!」とばかりに、目をまんまるに見開いて、ニッコリ笑顔で、「お~!」と言います。よく、わかってるね~。
好きな絵本は、相変わらず『こいぬのくんくん』です。

でも・・・
まだまだ、ご機嫌に起きていられるのは、ほんの少しの時間で、ほとんどは、眠いのに寝れなくて、どうしたらいいのかわからず、グズグズ ビービー
そんな娘に付き合うのは、正直、いつも笑顔でという訳には、いかないけれど(特に、3時間も4時間もビービーが続くとね)、でも、やっぱり楽しいことの方が多いかな
きっと、これからも、楽しいことが一杯だね。
ありがとう!ありがとう!ありがとう!

『ロールパン・チームの作戦』

2007-05-08 11:25:54 | わたしの読書

『ロールパン・チームの作戦』
カニグズバーグ(著),  松永 ふみ子 (翻訳)

そらこさんのブログで紹介されているのを見て、どうしても読みたくなった一冊。
紹介されていた本は『ベーグル・チームの作戦』(アマゾンの画像でも)。でも、私の借りてきたものは、『ロールパン・チームの作戦』。きっと、ベーグルが、日本では、ほとんど知られていなかった時代の訳なのだろう。昔から読まれてきた、名作なのでしょうね。ちょっと古い?いえいえ、物語は、ちっとも色あせていないのです。
それどころか・・・最高に面白かった!

カニズバーグの原文が良いのか、訳が素晴らしいのか、まずは、その文章の虜になってしまいました。
パリッとした清潔なワイシャツのような・・・そんな文章。一行読んだだけで、相性がピッタリだと確信しました。そして、グイグイと引っ張られるようにして、あっという間に、読了。もう少し、読んでいたいような、そんな気にさせられる文章でした。

さて、物語は、どこにでもいる、ちょっと生意気な12歳の男の子から見た、家族、友だち、女の子、社会。主人公の少年が所属する野球チームの、ある年のリーグ戦を軸にして、それが、見事に描かれています。
面白かったのは、主人公が、常に大人たちを観察しているところ。ああ、私も、そうだった。寝たふりして、親の会話を盗み聞きしたり、あれこれ分析したり。

けれど、親となった私が、一番おもしろいと感じたのは、やはり、物語に描かれた親子の関係。
何より、素敵だったのが、主人公のお母さんでした。最初は、感情的だし、言いたいことはストレートに言うし、なんて母親なんだろうと思ったのですが、これが、本当に素敵なお母さんなのです。
一番気に入ったシーンは、プレイボーイという(裸の女の子が出てくる本ですね)雑誌を巡る騒動が持ち上がったときの、彼女の毅然とした態度でした。親に隠し事をするなんてと、とがめるおばさんに、きっぱりと言い放つのです。
「・・・どんな子でも何か母親にかくすものが必要なのよ。・・・・・あの子がベッドのマットレスとスプリングの間にじぶんだけのコーナーを持ちたいなら それもいいと思うわ。」と。

胸が、チクリと痛くなりました。
幼い、幼いと思っていた我が息子だけれど、最近、「親には見られたくない」という感情が芽生えたらしいのです。それは、まだ、たかが宿題で書かされた詩だったりするのだけれど。でも、以前は、そんなことなかった。
「見せて。」「見せたくない。」「いいじゃない~」「いやだ。」
つい最近、そんなやりとりをしたばかりだったのです。これから、もっと増えていくのであろう、息子の秘密。すべてを知っていて当然だった頃は、もう、終わりなのかもしれません。

まだまだ、善悪の基準が曖昧な息子。「知らなくていい」の線を、どこで引くのか、これは、親の裁量なのだろうなあ。そう思えば思うほど、この主人公と母親のような関係が築けたら、どんなに素敵だろうと、思わずにはいられない。また、無関心のようでいて、要所要所で、的確なアドバイスしてくれる父親も、とても素敵だった。
親として、憧れの一冊。そして、自分の12歳の頃を思い出す一冊でした。

息子が読んだら、どう感じるだろう?これも、それを強く思った一冊でした。まだまだ、冒険ものや、事件が巻き起こる物語が大好きな息子。6年生になったら、勧めてみようかしら。
朝日新聞の「天声人語」を読むのが好きなのですが、以前、カニズバーグの『クローディアの秘密』が、そこで紹介されていました。ずっと読みたいと思いつつ、そのままになっていた一冊。カニズバーグの本。次は、これを読もう!!


名探偵ネート

2007-05-04 15:36:48 | 息子と読んだ本のこと・児童書
『きえた草のなぞ』『だいじな はこを とりかえせ』
 マージョリー・W. シャーマット作 マーク・シマント 絵 /  神宮 輝夫 訳
『ねむい ねむい じけん』
 マージョリー・W. シャーマット ロザリン・ワインマン作 マーク・シマント絵/ 神宮 輝夫・澤田澄江 訳

「めいたんていネート」シリーズも、とうとう、最後の3冊となりました。
思い返せば、ブログにて、マーガレットさんに「ぼくはめいたんてい」シリーズを教えてもらってから、その面白さにすっかりはまり、あっという間に、全部読んでしまったのでした。
で、「もうネートに会えない」と嘆いていた親子に、続編の「めいたんていネート」シリーズを教えて下さったのは、こうめさん。ああ。お二人に、感謝しつつの読了です。

新シリーズになってから、ちょっとだけ、お話のボリュームが増えた気がします。
以前のシリーズは、一晩に2冊読めましたが、こちらは、1冊に20分は、かかります。でも、内容が複雑になった訳ではありません。
今まで通り、期待していた難しい事件は舞い込まず、結局、友だちの巻き起こす、クダラナイ事件を解決する羽目になるネートくんです。うふふ。
個性的なネートの友だちも、最後まで健在。
ロザモンドが大好きな息子は、その魅力が、たっぷりつまった3冊に、ニヤニヤし通しでした。

ネートくん、長い間、楽しませてくれて、本当にありがとう!
「ぼくは、めいたんていネートです。」
この始まりの決め台詞は、きっと、一生忘れないなあ~。なんて、思う母なのでした。

ここのところ、「作文」の宿題が連続で出され(一度は、出来が悪すぎて戻されてきました)、本を読む時間的余裕がありませんでした。何しろ、夕方からかかって、終わるのは、22時すぎ。ふう~。時間、かかりすぎですよ、息子くん。
それにしても・・・。息子の作文を読んだのは、実は、これが初めて。5年生ですが、はじめてなのです(今まで、一度も持って帰ってきません)。私の頃は、行事ごとに作文を書かされたものでしたけれど、今の学校は、時間がないんでしょうね。
積み重ねがないとはいえ、それにしても、ひどすぎます。一年生の作文と言っても、誰も驚きません。
かなりショックでした。。。作文力。どうしたら、つくのでしょうか?
悲しくなって、灰谷 健次郎先生の子どもたちの書いた詩を集めた『たいようのおなら』を読んでしまいました。先生~!うちの息子の先生になって下さい~

『裏庭』

2007-05-04 15:30:30 | わたしの読書
『裏庭』 梨木 香歩

最近の梨木作品から入った私には、ちょっとビックリの一冊でした。
この方は、こんなファンタジーも書く、作家さんだったんですね。
正直に言えば、最近の作品の方が「好き」なんですが、なんやかや言って、最後まで読んでしまった所、嫌いじゃないのだと思います。

でも、何となく、文章の完成度がイマイチという気が。
梨木さんの作品は、美しく、まとまりすぎている位のイメージだったので・・・
なんとなく・・・いつもと違う!という感じを受けました。これは、個人的な、文章との相性の問題なのだと思いますが。
それに、外国のファンタジーを思い浮かべさせる裏庭シーンも、やはり、なんとなく、壮大さにかける気がしたのは、エンデを読んだばかりだからでしょうか。裏庭のキーワードとなる竜の設定も、よく判らないまま終わってしまいました。

それでも、読了。面白かったことは、面白かったのです。
特に、登場人物の設定や描写は、とても魅力的でした。そこは、相変わらずの梨木作品。彼女の描く女性(女の子)は、強くて、個性的。
何がいいって・・・・・。最後に、必ず、強くなって立ち直るのが好きです。
弱い女の子代表だった私。読み終わると、昔の「自信がなくて、コンプレックスの塊だった自分」が救われたような気がするのです。少女の頃に、この作家さんに出会った女の子は、幸せでしょうね。

「庭」というテーマだったことから、バーネットの『秘密の花園』という本を思い出しました。
中学1年生の時に読んで、あまりの面白さに、本の世界にのめり込んだ思い出が。
どんな物語だったんだろう?あんなに好きだったのに、内容を忘れてしまうなんて。
再読してみたくなりました。いつか、岩波少年少女文庫を読破したい!という野望を持っていたのですが、これは良い機会かも。むふふ。