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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「約束の夜」162

2019年07月26日 | 物語「約束の夜」


「行くか?」

耀が、満樹を見る。

「心配なんだろう?」

満樹は立ち上がる。
頷く。

裏一族は手ごわい。
どんな手を使ってでも、目的は達成させる。

今、裏一族が欲しているだろう、手のひらにアザがある者。
耀が云う通り、マサシもアザがある者だとしたら。
裏一族は、それを把握しているだろう。
おそらく、マサシも狙っているはずだ。

「耀は・・・」
「俺は行かないよ。ここなら安全だし」

にやりと笑う。

「満樹ならひとりで大丈夫なんだろう?」

「・・・・・・」

扉に手をかけ、再度満樹は振り返る。

マサシが心配だ。
勝手にあの場所から動いたことも、後ろめたい。



もし、これで、耀がいなくなってしまったら?
いや、・・・。

「消えないよ」

満樹の心を読んだかのように、耀が云う。

「さっきも話しただろう」
「・・・・・・」
「俺たちは、一緒に行かなければならない、と」

「本当だな?」
「もちろん」
「ここに、」
「そのマサシとやらを連れてくるのを待ってるよ」

満樹は、店の外へと出る。
少しためらいながらも、先ほどの場所へと向かう。

「マサシ!」

「満樹!」

マサシがそこにいる。

「どこに行ってたんだい?」
マサシの手には飲みものが。
「まさか、耀が・・・?」
「ああ、実は、」

満樹は肩で息をする。
何事もなかったようだ。

「驚いたよ。いなかったからさぁ」
「悪い」

満樹は、地面を見る。
ここに残した魔法は、失敗だったのだろうか。

「伝言を残しておいたんだが」
「伝言?」
「ここに魔法で、マサシが来たら発動するようになっていた・・・」

はず。

「魔法?」

マサシは首を傾げる。

「何も気付かなかったよ?」
「そう、か・・・」

云いながらも、満樹は再度、その魔法を見る。

・・・・・・発動した跡が、ある。

「どうしたんだい?」
「いや、何も?」

マサシは飲みものを飲む。

「で。その耀、は、どこに?」
「向こうの店だ」
「へえ。よかったじゃない」
「・・・ああ」
「そこへ行こうか?」
「そうだな」

・・・思い違いか。

満樹はあたりを見る。

何だろう。

先ほどと違って、人気がない。
静かだ。
なぜか、マサシのいないところで、発動していた魔法。
この雰囲気。

「満樹・・・?」

「気を付けろ」

満樹は云う。

「いるぞ」




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