「行くか?」
耀が、満樹を見る。
「心配なんだろう?」
満樹は立ち上がる。
頷く。
裏一族は手ごわい。
どんな手を使ってでも、目的は達成させる。
今、裏一族が欲しているだろう、手のひらにアザがある者。
耀が云う通り、マサシもアザがある者だとしたら。
裏一族は、それを把握しているだろう。
おそらく、マサシも狙っているはずだ。
「耀は・・・」
「俺は行かないよ。ここなら安全だし」
にやりと笑う。
「満樹ならひとりで大丈夫なんだろう?」
「・・・・・・」
扉に手をかけ、再度満樹は振り返る。
マサシが心配だ。
勝手にあの場所から動いたことも、後ろめたい。
が
もし、これで、耀がいなくなってしまったら?
いや、・・・。
「消えないよ」
満樹の心を読んだかのように、耀が云う。
「さっきも話しただろう」
「・・・・・・」
「俺たちは、一緒に行かなければならない、と」
「本当だな?」
「もちろん」
「ここに、」
「そのマサシとやらを連れてくるのを待ってるよ」
満樹は、店の外へと出る。
少しためらいながらも、先ほどの場所へと向かう。
「マサシ!」
「満樹!」
マサシがそこにいる。
「どこに行ってたんだい?」
マサシの手には飲みものが。
「まさか、耀が・・・?」
「ああ、実は、」
満樹は肩で息をする。
何事もなかったようだ。
「驚いたよ。いなかったからさぁ」
「悪い」
満樹は、地面を見る。
ここに残した魔法は、失敗だったのだろうか。
「伝言を残しておいたんだが」
「伝言?」
「ここに魔法で、マサシが来たら発動するようになっていた・・・」
はず。
「魔法?」
マサシは首を傾げる。
「何も気付かなかったよ?」
「そう、か・・・」
云いながらも、満樹は再度、その魔法を見る。
・・・・・・発動した跡が、ある。
「どうしたんだい?」
「いや、何も?」
マサシは飲みものを飲む。
「で。その耀、は、どこに?」
「向こうの店だ」
「へえ。よかったじゃない」
「・・・ああ」
「そこへ行こうか?」
「そうだな」
・・・思い違いか。
満樹はあたりを見る。
何だろう。
先ほどと違って、人気がない。
静かだ。
なぜか、マサシのいないところで、発動していた魔法。
この雰囲気。
「満樹・・・?」
「気を付けろ」
満樹は云う。
「いるぞ」
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