「ねえ、これであっているのよね?(小声)」
「ここの人が云ったんだから間違いないだろ(小声)」
「ふたりとも、静かにするキコ(小声)」
変顔 なう。
こほんと咳払いをする東一族の宗主様。
まとっているオーラが違いすぎる。
でも、変顔をするべきだ、と
そう云う結論に至った。
「どうでひょう!!」
「これで笑えまふか!?」
動かない空気。
宗主様の顔は若干上半分が青ざめている。
「まあまあまあ、お客様!!」
慌てて出て来る付き人は、お茶を持っている。
「宗主様はとりあえずお茶でもどうぞ!と!!」
「えっ!!」
「何も云ってないけど!!」
「さすが、普段から身近にいる人は何でも以心伝心キコ!」
3人は縁側に腰掛け、お茶をすする。
広い庭。
手入れされた庭。
かっぽーーーーん
どこからか、ししおどしの音。
聞こえるのはそう、自然の音のみ。
大都会の喧噪を離れ、ゆったりと流れる時間。
おいしい空気。茶菓子。
「何しに来たんだっけ?」
「そうね」
「お茶を飲みに来たキコ?」
もうどれくらい時間が流れたんだろうってぐらい、まったりしちゃう。
そういや宗主様はいないし、
本当に何しに来たんだけ?
「ほら、お客様にお茶を追加して!」
先ほどの付き人が手をパンパンする。
「あら、至れり尽くせり」
「高級旅館か、ここは」
「おしぼりもほしいキコ~」
「はぁい。ただいまです、キコ~」
キコ?
「お客様お待たせいたしましたキコ。新しいお茶に茶菓子、おしぼりをお持ちしましたキコ」
やけに大きなお盆を持ってきたのは、白くて丸い物体。
「ふわぁあああぁああ!? コロイドキコぉおおお!!」
「えっちょっ!?」
「コロイドお前か!?」
「あっ、アヅチにマツバ! へび呼もぉ!! キコ」
ふりっふりのエプロンをたなびかせ、そこにコロイドが立って(?)いる。
「コロイドぉ!!!!!」
「いや、お前何やってるんだ!?」
「ええ、なんか、その格好は」
「へへっ、似合うキコ?」
下に手を付け、ぺこりとコロイド。
お茶ですぅ~と、これまた美しい手でさささと並べる。
「コロイド・・・」
「・・・・・・」
「・・・キコ」
「おいら、いったい何をしていたんだろうなぁ」
「いや、むしろ今何をしているんだ?」
みんな「???」でコロイドの次の言葉を待つ。
荒れた日々があった気がする。
そう、自分はヒトではなく、所詮は何か生き物に近い、と。
けれども、
春が来た。
かたくなだった心が解け、春が来た。
「東一族の宗主様が獣のオイラを解放したキコ」
「「「・・・・・・」」」
「うれしくって、鼻水も出ちゃうキコ」
ずずっと鼻水をすすり、涙目のコロイド。
うん。
まあ、元に戻ってよかったよ、コロイド。
あと、それは花粉症じゃないのか説。
NEXT
「ここの人が云ったんだから間違いないだろ(小声)」
「ふたりとも、静かにするキコ(小声)」
変顔 なう。
こほんと咳払いをする東一族の宗主様。
まとっているオーラが違いすぎる。
でも、変顔をするべきだ、と
そう云う結論に至った。
「どうでひょう!!」
「これで笑えまふか!?」
動かない空気。
宗主様の顔は若干上半分が青ざめている。
「まあまあまあ、お客様!!」
慌てて出て来る付き人は、お茶を持っている。
「宗主様はとりあえずお茶でもどうぞ!と!!」
「えっ!!」
「何も云ってないけど!!」
「さすが、普段から身近にいる人は何でも以心伝心キコ!」
3人は縁側に腰掛け、お茶をすする。
広い庭。
手入れされた庭。
かっぽーーーーん
どこからか、ししおどしの音。
聞こえるのはそう、自然の音のみ。
大都会の喧噪を離れ、ゆったりと流れる時間。
おいしい空気。茶菓子。
「何しに来たんだっけ?」
「そうね」
「お茶を飲みに来たキコ?」
もうどれくらい時間が流れたんだろうってぐらい、まったりしちゃう。
そういや宗主様はいないし、
本当に何しに来たんだけ?
「ほら、お客様にお茶を追加して!」
先ほどの付き人が手をパンパンする。
「あら、至れり尽くせり」
「高級旅館か、ここは」
「おしぼりもほしいキコ~」
「はぁい。ただいまです、キコ~」
キコ?
「お客様お待たせいたしましたキコ。新しいお茶に茶菓子、おしぼりをお持ちしましたキコ」
やけに大きなお盆を持ってきたのは、白くて丸い物体。
「ふわぁあああぁああ!? コロイドキコぉおおお!!」
「えっちょっ!?」
「コロイドお前か!?」
「あっ、アヅチにマツバ! へび呼もぉ!! キコ」
ふりっふりのエプロンをたなびかせ、そこにコロイドが立って(?)いる。
「コロイドぉ!!!!!」
「いや、お前何やってるんだ!?」
「ええ、なんか、その格好は」
「へへっ、似合うキコ?」
下に手を付け、ぺこりとコロイド。
お茶ですぅ~と、これまた美しい手でさささと並べる。
「コロイド・・・」
「・・・・・・」
「・・・キコ」
「おいら、いったい何をしていたんだろうなぁ」
「いや、むしろ今何をしているんだ?」
みんな「???」でコロイドの次の言葉を待つ。
荒れた日々があった気がする。
そう、自分はヒトではなく、所詮は何か生き物に近い、と。
けれども、
春が来た。
かたくなだった心が解け、春が来た。
「東一族の宗主様が獣のオイラを解放したキコ」
「「「・・・・・・」」」
「うれしくって、鼻水も出ちゃうキコ」
ずずっと鼻水をすすり、涙目のコロイド。
うん。
まあ、元に戻ってよかったよ、コロイド。
あと、それは花粉症じゃないのか説。
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