「ふう」
マツバはベンチに腰を下ろす。
先ほどの北一族の男、タクトをなんとかまいたのだ。
「あー、疲れた・・・」
誰にも聞こえないほどの声で、マツバは呟く。
思えば
北一族は、面倒くさいやつが多いのか!
(注:マツバ的に)
「あー、疲れた!!」
(2回目)
アヅチ兄から逃れるために、北一族の男の手を借りたものの、
マツバは、白色系の男が苦手だ。
「なんで?」
「見た目がね」
「トラウマ?」
「そうそう。昔、白色系の髪のやつらにいじめ、」
って!!
マツバは、がばっと、隣を見る。
マツバの隣に
「どうも、姉さん」
「あんた!」
「久しぶりー」
よっ、と、手を上げる、東一族の
「タツキ!!」
これまた、なつかしキャラの登場だ。
「あんた、ここで、何をしているのよっ!」
「何って、」
タツキは、北一族特製豆乳
ではなく、温かいお茶を飲みながら、答える。
「北一族の祭りを見に来たんだよ」
「祭り!?」
マツバは、うーんと、回想する。
・・・タクトも、祭りだかなんとか云っていたような。
「はっ、そう云えば、アマキは!?」
「アマキ? ・・・さあ。どこだろ?」
「本名が何かとか訊かなきゃ!」
「えっ、本名!? 姉さん何の話!?」
「砂一族のフワとシマと約束したのよ!!」
「砂一族!!?」
そう云えば、そんなこともあったね。
「姉さん、何の話かわからないんだけど、祭りに来たんじゃないの?」
タツキが首を傾げる。
「もうすぐしたら、祭りのイベントがはじまるよ」
「・・・!!」
「豆乳早飲み大会とか。豆乳料理大会とか。武闘対決大会とか」
「何それ!」
マツバが云う。
「おもしろそう!」
「俺、武闘対決大会に登録しようかと」
「いいわね!!」
「北一族のお祭りはとにかく派手だからねー」
「おいおいおい、お前!」
「ん?」
「おいおいおい、お前だよ!!」
「はっ!!」
やな予感!
マツバは、その声に振り返る。
「うちの彼女に何をしているんだよー!!」
「(ぎゃー!!)」
タクト再登場。
「え~。姉さん、この人誰ー??」
「お前こそ、誰だー!!」
「俺は東一族だけど」
「見たらわかるわー!!」
「(うっ、わ。もう、面倒くさっ!!)」
「あんた。姉さんが嫌いな、白色系の、」
「なんだって!!!!」
がしっ
気付けば、マツバの手を握っている。
「俺のどこがダメなんだ、マツバ!」
「いや、ちょっ、」
スキを突かれたようで、マツバはタジタジする。
「俺、一目見た時から君の事が気になっていたんだ!」
そのセリフは
「北一族にはない黒髪も素敵だし、顔立ちも遺伝子的に惹かれるものがあるし」
さっきも聞いたー!!
「ああ、もう!」
マツバは、遠慮なくタクトを振り払う。
「とにかく、手を放して!!」
「はっはー。茶番だな」
タツキが笑う。
「お前に、マツバは渡さん!」
「いやいや」
「お前に、マツバは!!(繰り返し)」
「北の兄さんの恋愛事情は知らないけど」
タツキが云う。
「そのセリフ、ほかの人に云うべきだと思うよ」
「・・・つまり!!?」
「あそこの」
タツキが指差す先に、アヅチご一行様。
「南一族!」
タクトは何かがつながった。
「つまり、東ではなく、南一族のあの男と!!」
「くっ・・・(本当に面倒くさいわ、こいつ!)」
その南一族の男は、顔に、鳥をぐりぐりと押し付けられている。
そして、最後に、タツキの一言。
「ちなみに、俺、年下好みだし!」
どーーーーーん!!
どうでも、よい。
NEXT