TOBA-BLOG

TOBA2人のイラストと物語な毎日
現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「続・夢幻章伝」120

2022年06月28日 | 物語「続・夢幻章伝」

それは、祭りのあと。

皆で盛り上がり、ひとつになった心。
あのわっしょいを忘れない。
淋しさと共に残った達成感。
どちらかと云うと穏やかにも近い、晴れやかな気持ち。

「勝ったのは俺たち」
「ええ、云うなかれ」
「ただ、へび呼ロイドはいない」
「決壊したのね」

想像は付くわ、と、マツバは立ち上がる。

「うん。それ以上はご想像におまかせしますってやつ」
「はあ、思い出したくもないわ」

うーんと、フワは考えないようにする。

「ちなみになんだが」

アヅチは云う。

「その場合、決壊したのはへびなのか、風船なのか」

「聞くな」

マツバはアヅチを一蹴する。

そして

「行きましょう」

アヅチも頷く。

「そうだな」

砂一族の村へ――!!

「さあ、あなたたち!」

マツバは砂一族を招集する。
これからは砂一族とともに砂漠の横断。

「進むわよ!!」

「「「はいっ!」」」(砂一族数名)

もうわっしょいはいらない。
かくして、南一族と砂一族は砂漠を進みだす。

「暑いわね」
「やばいよ、猛暑日」
「雨の季節があったのかなかったのか」
「水分補給しよう」

「もう一息だから頑張ってよね~」
フワの言葉に、ヨシも頷く。
「うちの村についたらおいしいごちそうを準備しますわよね、お姉さま」
「もちろん♪」

「ふん。やるじゃない、あなたたち」
「たぶん、何か入ってるけどな」

やがて、その姿は遠のくのであった。

砂漠。

強い日差し。

まだ残っている人影。

もうすこし、時間がたって

「はっ!!」

リクイン、トキ、タツキは目を覚ます。

「何時!?」
「ここどこ!?」
「てか、あの南一族たちは!?」

「おはよー」

アマキは手を振り

「もうお昼は越えてるよ。砂漠。南一族は砂一族の村へと向かった。」

全部答える。

「いったい何があったんだっけ?」

首をかしげるリクインを見て
アマキはもはや何も云うまい、と誓うのであった。

「帰ろうか」

「・・・・・・」
「・・・・・・」

「そうするか」

こうして、東一族は東一族の村へと戻るのであった。




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「続・夢幻章伝」119

2022年06月21日 | 物語「続・夢幻章伝」
ドンドンドンドン

マツバ達の元に
太鼓の音と共に現れたのは、

「は!!!わかまつさまよぉ!!!」

アヅチと砂一族に担ぎ上げられ
お御輿状態のリクイン。

どういう状況?
わかまつさまって誰?と
他メンバーが立ち尽くす中、

バチーン!!

同じく担ぎ上げられているマツバと目が合う。

「御輿と御輿が出会ったら
 やることは一つ、だな」
「あら、分かっているじゃない!!!」

いよいよ祭り本番だ、と意気込むアヅチ。
なんでお前一緒に御輿?担いでるの?と他砂一族の視線が痛いリクインを担ぐ砂一族青年。
嫌な予感がするタツキとトキ。
もうお家帰りたいアマキとフワ。
もしや本当の宗主のむっすこ氏はワカマツ氏?となるヨシ。

「行くぞ、南一族の女ぁあああ」
「なによ、男ぉおおおおお」

ごちゃごちゃしている。
本当にごちゃごちゃしている。

だが、それも、なにもかも
祭りは全てを吹き飛ばしてくれるのだ。

「「喧嘩御輿だ!!!!!」」

うぉおおおおおおおお。

「わっかまつさまよ!!!!!!!」
「えだもさかえて!!!!!!!」

ドンドンドンドンドン!!!!

御輿と言っていますが、
御輿じゃ無いので
実態としては見た目は騎馬戦に近いです。

ボッカーン!!!!!!!!!!!!

巻き起こる砂嵐。

「何がどうなっているんだ」
「いったいどっちが勝ったというんだ、
 いや、果てしなくどうでもいいが」
「俺たちは何を見せられているのだろう」
「帰って、風呂入って、寝たい」

吹き抜ける風と共に、
視界が晴れやかになっていく。
その嵐の中心に立っていたのは

「何か物足りないけれど、
 こんな所かしら」
「仕方無いさ、本場じゃないんだ
 これだけやれたって所で及第点、かな」

そこに立つのは

歴代の猛者感を醸している
アヅチ&マツバ。

なんでかリクイン他、タツキ、トキくんはのびている。

「本場の“祭気”にあてられたんだ仕方無い」
「大丈夫、じきに気がつくわ。
 目を覚ましたら紅白なますでも食べさせておあげなさい」

なんだ、この
“あいつは四天王の中でも最弱”とか言いながら
後から現れる敵感は。

その時、長年の因縁。
一族の対立。
複雑な人間関係。
その、全てを超越し、
東一族と砂一族の思いが一つとなる。

「「「もう、よくわかんないよ、南一族、怖っ!!!!」」」

ちなみに紅白なますとは、と説明をはじめるアヅチだったが
あれ、と周囲を見回す。

「そういえば、へび呼ロイドは?」
「あら本当ね!?
 アマちゃん、あいつと一緒じゃないの?」

ああ、とアマキは頷く。

「へびさんなら、
 先に砂一族の村に向かってるよ」
「安心して、ちゃんと護衛は付けてるから」

うんうん、とフワ。

「ここまで来てアマちゃんと一緒じゃないのかよ」
「なんでまた」

「「………」」

それは、と見つめ合うアマキとフワ。

「………色々と決壊し」
「フワ、ダメ」

うん、とアマキが微笑む。


「詳しい所は
 へびさんの名誉のために秘密ってことで」


どうしたへび呼ロイド!!!


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「続・夢幻章伝」118

2022年06月14日 | 物語「続・夢幻章伝」
「やあ」

「・・・・・・」
「・・・・・・」

「兄さん!! なんで砂一族と一緒にいるの!?」

タツキはアマキに飛び掛かる(?)

「そこで会ったから」
「砂一族と、そんなちょいと感!!」

マツバ・タツキ・トキ・ヨシ+ほか砂一族数名

アマキとフワ合流。

「こっちもずいぶんと忙しそうだね」
「本当、ごっちゃごちゃ♪」

フワはちらりとヨシを見る。

「ヨシぃ、どういう状況なの、これw」
「フワお姉さまったら♪ あちらのお嬢様がずばり宗主のむっすこ、もとい、お嬢様なんですぅ」
「と、云いますと?」

「髪色違いのあの有名なむっすこ殿が影武者で、こちらのお嬢様がホンモノ」
「採用」

「採用!!?」

マツバの一言に、フワは衝撃の振り返り。

え、わかんない
だって、あのひと、前作で南一族とゆかいな仲間たち的な感じで登場してたよね

「東一族だった???」

「ええ、つまりは今日から、本物の東一族宗主の娘」

本当ダメだって、マツバ。

「ねえ、フワお姉さま! 私(わたくし)たち本日、宗主の血筋の方を誘拐するために出たんですもんねぇ」

えっ、

それなら、こっち!?
え、どっち??

フワはやっぱり状況が呑み込めない。

「さあ、トキ! お嬢様をこちらへ!」
「いやよ。私はそう簡単に、砂一族の村へ行かない」

って云うセリフも、みこし?の上でどどーーんって云うマツバ。

「行くんだよね、姉さん! 砂一族の村に!?」

トキはたじろぎ

「そう云うならここで交戦?」

タツキは武器を構え

「もう帰ってもいい?」

帰りたい、アマキ。

「あ、うん。私も帰りたい」

フワは巻き込まれるの面倒くさいやつ。

「人類はみな兄弟です」

意味深な言葉でヨシが云う。

「まず、私とトキが人類みな兄弟なのです」
「云うなってぇええ!!!」
「と、見せかけた、フワお姉さまも人類みな兄弟なのです」
「砂一族は混血が多いけどさ!東と兄弟ってのだけはやめて!!」
「アマキくんは云うても、人類みな兄弟なのです」
「親のことは云ったらダメ」
「そして、俺は大丈夫だろう、と思ったそこのあなた(タツキ)も人類みな兄弟なのです」
「さかのぼるな!!」

本当にすごいんだよ、家系図が(by TOBA)

「とりあえずは、豪華な御車を準備してくれたら、考えてあげようじゃない」

行くんだよね、だから!
砂一族の村に!
スタンプラリーに!!

「考えて、・・・あげようじゃない!!」

「はわわ。めっちゃためたね、姉さん!」

「交戦ご希望なら、やってあげますわ」
「余計なことやめて、ヨシ!」
「でも、お姉さま、御車を準備するなんて、とても不可能だわ」
「このままわっしょいで行けばいいじゃない」
「ええ。ご飯がなければ、お菓子を食べればいいじゃない」
「何云ってるのよぉ!」
「みんなで行けばいいじゃない」
「絶対ヤダ」

わっかまつぅう!
ドンドンドン!!
わっかまつぅううう!!
ドンドンドン!!

「そういや、へび呼ロイドもいないね」

わっかまつぅう!
ドンドンドン!!
わっかまつぅううう!!
ドンドンドン!!



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「続・夢幻章伝」117

2022年06月07日 | 物語「続・夢幻章伝」
 
お嬢様!!!

マツバお嬢様!!!!
 
「………そう、ですか」
 
緊迫する場面。
沈黙する面々。
 
「私(わたくし)理解ってしまいました。
 ………そういうこと、なのですね」
 
砂一族ガールが頷く。
 
「“理解”と書いて“わかる”と読むやつ」
「どうした、どうした」
 
「複雑な事情ゆえ、
 普段は男装して息子として過ごしているが
 本当はお嬢様、そういうことですね」
 
ばあああああああん。
 
「要するに、リボンの騎士的なあれです!!」
 
通じるかな~リボンの騎士。
 
「もしかして、そうかもしれない」
 
そういうのも有りだわね、と
マツバは指パッチンする。
 
「姉さんもその気にならないで!!!
 おいおい砂一族。
 宗主の息子は別に居るし、
 よく見ろ、この人南一族だろうが」

そう来ます!!?と困惑する砂一族。

「なるほど、しばしお待ちを。
 考えます」

「考えるて」

ポクポクポク、チーン。
砂一族ガールの頭上に
豆電球がぴかーんと光る。
 
「こういうのはどうでしょう?
 表向きの息子は実は影武者で、
 本当の跡取りは違う所で育てる的な!!」
 
「悪くないわ!!採用!!」

「承りましたわ。
 東一族宗主のむっすこ様、もといお嬢様。
 それでは誘拐させて頂きます!!」

「いやいやいや!!!」
「姉さんも採用!!じゃないし!!」

西一族のおとっつあんが泣いてるぜ。

「それに私の名前『ヨシ』を直感的に感じ取り、
 冗談はよしなさいよ、と、よし子、を
 かけた所など、よほどの天性が無ければ出来ぬ事」

ギャグを説明し直すのはやめるんだ!!

「待て待てぇーい!!」
「あら?」

飛び出し、ガッと
砂一族ガールを取り押さえるトキ。

「トキ、お前いきなり接近戦とか」
「タツキ兄さんは離れてて」

距離取ってお願い。
むしろ近寄らないで。

トキは砂一族ガールに耳打ちする。
そのための大胆な接近。

「ヨシ、お前相変わらずだなぁ」
「トキこそ
 今日はいつもと違って積極的ですのね?」

ヨシ、と呼ばれた砂一族ガールも
周りの砂一族を制する。

誰もが割って入れない雰囲気。

「あの人、本当にただの南一族だから」
「そうなんですの?
 めくるめく展開の予定が、残念」
「ご期待に添えず悪かったな。
 とりあえず、お前達の村に行くみたいだから、頼みたいんだけど」

「でも、トキ」

なぜかしら?とヨシは首を捻る。

「なんで今日はそんなにコソコソと
 お話しされるのかしら?」

さっきからめっちゃ小声です。

「お前と親戚だってバレたらまずいんだよ色々(ヒソヒソ)」

東一族と砂一族。
ややこしい事この上なし。

「私との関係を無かった事にするんですの!!?(大声)」

「声、デカッ!!?」

「つい先日の事(親戚一同慰安旅行)ではないですか」
「掘り返すなよその話(親戚一同慰安旅行)を!!」
「(親戚一同と)一夜を共に明かした仲だと言うのに!!?」
「それは別にお前だけじゃないから
 (親戚メンバー他にも居たし)」
「私が1番(UNOで強いな)って言って下さったのに!!」
「一回しか(UNOに付き合って)やらないって
 俺は最初に言ったからな」
 
「「「……………」」」

“親戚“という言葉を出さずに
頑張って会話するトキ。
一応そこの所を汲み取って返事するヨシ。

だが、

「あいつ、やるなぁ」

俺、恋人とか居ないんだけど、と
ホロリとするタツキ。

同時に別の誤解も生まれているのであった。


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