TOBA-BLOG

TOBA2人のイラストと物語な毎日
現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「続・夢幻章伝」67

2021年08月31日 | 物語「続・夢幻章伝」
「はー、すっきりした」

清々しい顔でお手洗いから出てくるアヅチ。
きちんとハンカチ(兄のモモヤが持たせている)で
手も拭くぞ。

「うーむ」

同じく今度は女子トイレから出てくるマツバ。

「マツバどうしたのキコキコ?」
「腹でも壊したのか?」

「ちがうわよ」

「何か、お手洗いに行っている間に
 こう大切な物を逃してしまったような、
 そんな気もするのよねぇ」
「あ、お前もか?」
「おいらも何かタイミング悪かった的な気がキコキコ」

ううーん?

「だが、しかし!!」

マツバは宣言する。

「例え一等の景品がすごかろうが、
 それを確実に引けるとは限らないのがガチャ!!」
「ああ、退くも勇気ってな」
「そうキコキコ!!
 お財布的にも勘弁して欲しいキコキコ!!」

「あと、何かを逃した代償で、きっといいことあるわよ」

禍福はあざなえる縄のごとし。

さあ!!と
3人は会場を後にする。

「それはそうと、お昼ご飯どうする」

まだ、お昼には早いが
早めの決断は大事である。
昼時のフードコート人多いし。

「そうだね、キコキコ!!!
 おいら、カオマンガイ食べたいキコキコ!!」
「カオマンガイかぁ~」

タイ料理のお店探さなきゃなぁ、とアヅチ。

「私はラフテー食べたい」
「ラフテーかぁ~」

沖縄料理、それもまた良し、とアヅチ。

「そういうアヅチは何が食べたいのよ?」
「遠慮せず言ってよキコキコ」

「う~ん、俺は、そうだな」

ちょいと照れながらアヅチが答える。

「何が食べたいかと言われたら、
 俺は、俺は!!!!!!」

そして、それから数時間後。

「うわぁ!!!やっと見つけたぞアヅチ!!マツバ!!」

ランチを楽しむアヅマツの元に
やっと辿り着く南一族の人。

「って」

テーブルに並ぶのは豆ご飯。豆の煮物。ぼた餅。等々
豆シリーズの南一族料理。

「お前ら、旅行先で
 わざわざ南一族料理を食べなくても」

村で食べたら新鮮なのに。

「いいのよ、私達は豆を求めているんだから」
「そうだ。
 なんだか随分村を離れているような気がするから
 ちょっと懐かしくなってだな!!」
「望郷の心、キコキコ」

「それは多分。良くある水辺現象で、
 長い時を過ごしたようで実は数日みたいなパターン」

水辺世界ではよく発生する現象です。

「それで、私達に何か用事な訳!?」

マツバの言葉に、そうだった、と
南一族の人は答える。

「実はお前達に
 水辺一武道会の参加メンバーになって貰おうかと」

「武道会キコキコ!!!」
「ははーん、
 遂にやって来たようだな、俺の活躍の場が」
「トーナメント戦なの。時間かからないそれ?」

と言いつつもマツバもまんざらでもない。

「いや、メンバーになって貰おう、と
 ………思っていたんだが」

「だが?」

南一族の人の歯切れは悪い。

「お前達どこ居るのか分からなくて、
 探している間に、大会は終わった」

「………終わった、のか」

「ちなみに三位決定戦には進んだぞ。
 魔法使っちゃダメなのは厳しいよな~、ウチとしては」

まぁ、南一族の魔法、
ちょっとはちゃめちゃな所あるから。

「終わったなら、私達もう特に用無しって事?」
「ぬか喜びだったキコキコ」
「それじゃあ、探さなくても良かったのでは」

いや、それがさぁ、と
南一族の人は紙を取り出す。

「とりあえず、お前達の名前を補欠で登録したもんだから、
 チームの一員。大会に参加って扱いになってだな」

それは、

「これ、発行されたから、渡しておくな」

スタンプラリー、スタンプ一個分チケット。

「うわあああああ」
「禍福はあざなえる」
「縄のごとしーーーーーー!!!」


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「続・夢幻章伝」66

2021年08月27日 | 物語「続・夢幻章伝」
「おーーーい!」

走ってくる南一族。

「おーおおぉおい! アヅチ! マツバ!!?」

しかし、そこに彼らはいない。

「おっかしいな。ここにいたと思ったんだけど」

南一族は首を傾げながら、その場をあとにする。
その、ガチャ会場を。

「おめでとうございます!!」

誰かがガチャった結果。

「21番! タピオカウーロンミルクティー!!」

時を戻そう。

「何よ、さっきからタピオカしか当たらないわ!!」
「もったいないから飲むけどな!」
「嫌いじゃないけどさ!」
「女子だなぁ~」
「オイラもずいぶんとお腹たぷたぷだキコキコ」

云いながらも、ガチャはやめられない。
へび呼ロイドはちゃりんとお金を出す。

「おっと、これは!!」

出た番号に驚く係の人。

「☆の5番です!!!」

「星!!」
「星ですって!?」
「星とな!!」

「レアですよー!!」

「でかしたわ、へび呼ロイド!!」
「何だよ、星って!!」
「うわーい! 星だキコキコ!!」

「☆の5番はこちら!!」

じゃじゃーーーん

「チアシード入り、キウイジュース!!」

「チア、」
「シード!!!」

なんか、つぶつぶしたアレです。

「なんか代わり映えしないキコキコぉおお!!」
「いえ、タピオカではありません!!」
「見たらわかるキコキコぉおおおー!!」
「チアシード!!!」

ふたりはタピオカ
へび呼ロイドはチアシードを飲む。

「そろそろ、ふたつめのスタンプゲットに進みましょう」
「わかってらぁ!!」

次こそちゃんとした試合に出たくて、江戸っ子アヅチ。

「オイラのスタンプごにょごにょ」
「さぁ、私は何の競技?に出ようかしら!!」
「俺はだな、本当にかっこいい競技に出る!」
「かっこいいって何よ」
「まさに、水辺一武闘会」
「ドジョウすくい大会もあるわ」
「ドジョウ!!」
「踊りの方ね」

「じゃあとりあえず、なんだけど」

マツバは立ち上がる。

「ゴミ捨てがてら、化粧室行ってくるわ!!」

トイレ。

「俺も」
「オイラも」

たくさんタピオカ飲んで、3人は水っ腹だった!!

そう云うわけで、
アヅチマツバ、へび呼ロイドはこの場にいなかったのであった。

ガチャ会場では、ガチャが続いている。

主に当たるのはタピオカミルクティーなので、
もう、タピオカ屋さんでいいじゃん。

「さあ、こちらの方、2番が出ました!!」

「ぇええ、2番!?」
「結構上位じゃん!」

「2番の景品はこちら! ドゥルルルルルル、」

じゃん!!

「水辺スタンプラリー、スタンプいっこゲット!!」

「スタンプ!!」
「スタンプ!?」

そんな景品もあるんだ、タピオカ屋さん!!

「スタンプかぁ」
「いらないなぁ」

だって、ウォークラリー出てないし、と
カップルは、スタンプ引換券をポイっとする。

スタンプ引換券は風に吹かれ、どこかに飛んでいったのであった。




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「続・夢幻章伝」65

2021年08月24日 | 物語「続・夢幻章伝」
「キャッサバ!!!!」

その時、水辺一武道会にて
海一族の司祭様が突然叫ぶ。

「え?司祭様どうしたん?」
「急に何?お告げ??」
「先視の力???」

海一族のごく限られた者。
司祭、と呼ばれる彼らが使う独自の予知術“先視”
東一族の占術とも、谷一族の遠視とも違う特殊な力。

ほんの僅かに変わる瞳の色。
とても中二心がくすぐられるパターン。

すう、と深く息を吐き
皆の注目を浴びながら司祭様は呟く。

「急にこの言葉が頭に浮かんできて」

動揺する若者達。
しかし古株の海一族メンバーは言う。

「司祭様はどこかでだれかがタピオカを飲むとき、
自然とそれを受信してしまうんだ」

悲しきかな、能力の無駄使い。

「俺達を動揺させようって言うのか、
 そうはいかねえぜ」

南一族の村長が進み出る。

そう、

んんりんんぴんんんんんん、の
一番の花形競技、水辺一武道会。
会場ではこれから海一族VS南一族の
因縁の対決が始まろうとしている所。

いや、キャッサバから抽出されるデンプン粉を
使用したタピオカは、と説明を始める海一族司祭様を差し置き
海一族と南一族の間にはバチバチと火花が飛び交う。

「忘れないぜ、前回の大運動会のリベンジだ」
「こちらこそ、大綱引き大会ではお世話になったな」
「お世話にと言えば、
 毎年お贈り頂いている魚介詰め合わせは今年も絶品で」
「いいえ、こちらこそ、
 豆はやはり南一族の物に限ります」
「いやいや、何をおっしゃいますか」
「そんなご謙遜を」

はっはっは。
いやはやいやはや。

姉妹友好都市なのかもしれない。

そんな時、
南一族の1人が急に躓く。

「う、足が!!!!」

「えええ?」
「大丈夫か、お前!!??」

それは、んんんんりんぴんんんん、の冒頭で
マツバとぶつかって飛ばされた南一族の人。

「お前、あの時の衝撃で」
「まさかマツバに気を負わせまいと
 ケガの事を黙っていたのか?」

「………いや、これは俺のせいだ、気にするな」

「お前!!!!」

「いや、本当に。
 年取ると、物との距離感が良く読み取れずに
 入り口とか角で肩をぶつける様な奴だから」

意味が分からない人は、若い証拠だから!!!

「つまり、普通にここで躓いただけだと」
「どうする、これ」
「マツバとアヅチを助っ人として呼ぶか?」
「このままでは大会に出られない」

ざわざわと動揺する南一族ズ。

「いや、うん、………一応補欠も居るし」
「居たら居たで安心だけど」
「居なくてもギリギリ足りているから一応いける、かな」
「呼びに行く、どうする?」

ええ、どうしよう~、と
皆は村長を見つめる。

「村長!!!」

南一族の村長は、うむ、と頷く。

「こういうのは縁起物だから
とりあえず呼んで来るんだ!!!!!!!」

その頃アヅチ達は
2回目のくじ引きで再びタピオカミルクティーを
引いていた。

「これってタピオカしか無いんじゃねぇの!!??」


「キャッサバ!!!!」

海一族の司祭様よ。


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「続・夢幻章伝」64

2021年08月20日 | 物語「続・夢幻章伝」
北一族篇4日目

「まさに昨日はパーティナイッ!! だったキコキコ」
「失礼ね」
「お盆だって」

アヅチとマツバは昨夜の片付けをしている。

各地いろんなお盆セットがあるが、また来年!

「これでもだいぶ省略したのよ」

提灯(丸に橘、五瓜に剣方喰)を片付けながら、マツバが云う。

「省略キコキコ!」

「そうだな、今、人が集まるのもよくないし」
「そこ!!」

「ナスとかニンジンキュウリを細かく切って(3ミリ角)お墓に供えるとか」
「何それ!!」

世の中には本当にいろんな、お盆の形。

「そして、久しぶりに集まった親戚」
「お小遣いくれる、おじちゃん」

それ、昨日のへび呼ロイド。

「夏休みも後半よ!!」
「だな!!」
「あと、やってないのは、」
「それ、昨日も話したキコキコ!!」
「カブトムシ捕りとか!?」
「流しそーめん!!」
「辛いものも食べてないわ!」
「それは夏じゃなくてもキコキコ!!」

そして、

「いろいろありすぎて、今回の趣旨忘れるわ」

4日目の北一族の村へと繰り出す。

「まあ、そうね。ラストスパートと云えば」
「やっぱあれだな」
「夏休みのラストを飾る」
「夏の風物詩」
 
「「24じか、「キコキコキコキコぉおおおおおー!!!」」」

たばばばば。

「あっぶねー、キコキコ」

「何よ、うるさいわね」
「毎年、夏休みの終わりにあるだろ、24じ、「キコキコぉおおおおおー」」
「募金とか」
「桜吹雪とか」
「オイラ疲れたキコキコ」

3人は、喫茶コーナーでマリトッツォをほおばる。

「トレンドだな」
「生クリームたまらんキコキコ」
「毎朝食べてもいいわ」

それでさ

「スタンプ残りひとつずつ、どうする?」
「何か参加出来るものあるかな」
「あれ? オイラのスタンプってもしや、」

「皆さん、長かった祭りも後半に入ろうとしています」

北一族んんんんりんぴっくくくくぅのアナウンス。
この北一族篇では、競技?に参加しないとスタンプがゲット出来ない(確認)。

「このんんんんりんぴっくくくくぅも、さまざまな人に支えられ成り立っています」

大会を支える人々。
そして、資金。

資金、

資金大切。

「3回云ったわ」

「と、云うことで、本日よりお楽しみガチャを準備しました!!」

「お楽しみ!!」
「ガチャ!!」
「くじ引きキコキコ!!」

「皆さん募金のつもりで! でも大いに楽しんでいただき、そして、資金も確保!」

「なんてこと!! いったい何が当たると云うの!!」

云いながら、マツバの手のひらは上に向いている(お小遣いちょうだい)。

会場に流れる桜吹雪(曲)。

「選曲はこれでいいのか」
「いいのよ、なんでも!」

マツバは腕まくりをして、くじを引く。

「さあ、こい!!」

じゃん!

「10番抹茶タピオカミルクティー!!」

「ちょうどよかった! 喉が渇いていたのよ」

「じゃあ、俺も」

じゃん!

「11番イチゴタピオカミルクティー!!」

「何っ!!」

「オイラも~キコキコ」

じゃん!

「12番ミルクフォームタピオカミルクティー!!」

タピオカ24時間祭り。





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「続・夢幻章伝」63

2021年08月17日 | 物語「続・夢幻章伝」
はぁ、とアヅチがため息をつく。
それは北一族の村・二日目も終了しようとしている
お宿のベッドでゴロゴロしつつ。
 
「なんか、俺達
 もっと夏休みっぽい事したいよな」
 
「ぶへぇええええええええキコキコ!!!!!!!!!?」
 
ええ!?とへび呼ロイドはウーロン茶を噴き出す。
 
スタンプラリーで各村を回りつつ、
その村の観光名所を巡ったり、名物を食べたり、
イベントに参加したりして、
時にはちょっとスリリングな戦い?もあったりしつつを
同じ村の幼馴染とこなしていく。
 
それってまさに、
王道の夏休みじゃない!!!????
 
「それにプラスして
 一度、行き違いから気まずい口喧嘩しちゃったり、
 ちょっと甘酸っぱいシーンとかあればベストぉおおお!!」
 
「へび呼ロイドはどうしたんだ?」
「酔いが回っているのかしら?」(ノンアルで)
 
でも、確かに、と
マツバはアヅチの冒頭の言葉に頷く。
 
「ちょっとは息抜きも必要よね」
 
「なんですってぇええええええキコキコ!!!!!!」
 
もはや吹き飛ぶへび呼ロイド。
部屋の中をボールのように弾ける。
 
「あと!!なに!!!
 何があれば夏の映画みたいになる!???
 花火かな!!!!いや、あったわ花火!!!!!」
 
セルフツッコミも忙しいぜ。
 
「と、言うわけで
 明日は自由時間ってことで」
「そうね、買い物とか行きたいわ」
「へび呼ロイドも疲れているみたいだしな」
 
は!!!と
へび呼ロイドは気が付く。
 
つまりこれは
二人っきりになりたいという事なのでは。
 
「確かに今まで、おいらが一緒だったり
 各村のゲストメンバーが居るかのどれかだったキコキコ」
 
んんんんりんんんぴんんんん、も
終わったようで、この話の中ではまだ中盤。
北一族の村編は長くなるけど、一日ぐらいは良いじゃないか。
 
行ってきな、とへび呼ロイドは
財布からお金を取り出す。

「2人で茶ぁでもしばいて来なキコキコ!!」

「いや、結構です」
「面倒くさい親戚のおじさんみたいだな」

そして、翌朝
出かけていく2人。

「ふふふ。なんだろうな。
 嬉しいようで、ほんの少しの寂しさもあり、キコキコ」

長く(?)共に旅を続け、
へび呼ロイドは2人の友でありながら
父親であり母親であり、
あとアヅチの兄モモヤが乗り移ったような。

「まぁ、後を付けるんだけどねキコキコ」

けど野次馬根性の方が
勝ったのであった。

露天を回る2人。
何かを探して、あれでもない、これでもない。

「お買い物デートってわけねキコキコ」

あっちじゃない?と
アヅチを引っ張るマツバ。
おいおい、待てって、と
困ったような嬉しそうなアヅチ。

「……………」

そして、お目当ての物を見つけて
微笑み合う2人。

(へび呼ロイドの客観です)

「ふふ。おじゃま虫も
 ここまでにしておくか、キコキコ」

ひとり、お宿に戻るへび呼ロイド。

「今夜はひとりで飲み明かすキコキコ」

「ただいまー!!」
「帰ったわよ!!!」

バーンと開かれるドア。

「え、早っ!!早ぁあ!!キコキコ」

1時間も、買い物しただろうか?

「おいらもっと
 今夜はパーリィナイッ!!ぐらいあるかと」

「ええ?」
「早くないわよ、これからが長いんだから」

じゃーん、とナスを取り出すマツバ。
続いて割り箸を半分に割りナスに突き刺す。

「夜はこれからキコキコ!!?」

落ち着けへび呼ロイド。
 
 どーん、と脇に抱えた模型サイズの
小型の木製の舟を掲げるアヅチ。

提灯、菊の花、七夕飾りの様に
飾り付けていく。

「マツバん家、家紋何?」
「うち??あんたの家ので良いわよ」
「うちか〜、それじゃあ丸に橘で」

「これは、これはキコキコぉおおお!!」

夜。

川に舟を流すアヅチ。
片手にナスを持ち、手持ちの花火を持つマツバ。

「本当はお墓で花火なんだけど」
「仕方ないよな。
 北一族の見知らぬ人の墓でする訳にもいかないし」
「あと、飲みぐせ悪い親戚が1人ぐらい
 グダグタになって転けてケガする
 ぐらいまでがひとセットね」
「ちょっと物足りないけど、」

ああ。
ええ。

顔を見合わせるアヅチ、マツバ。

「「夏って感じ〜」」


「盆のおくりだわ、これ、キコキコ!!!!!」


「昨今ゴミ問題とかあるので
 精霊船は紐付けて流して、後ほど回収します!!!」

だ、そうです。 


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