TOBA-BLOG

TOBA2人のイラストと物語な毎日
現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「約束の夜」138

2019年03月29日 | 物語「約束の夜」


力はパワぁあああああああああ!!(エコー)

「そして、私はトキシン(生物毒)!!」
「よしよし、面白いやつらだ」

うんうん、と、砂のお兄さんが笑う。

とりあえずは、東一族の村はずれにやって来る。
人目に付くのは、あまりよくない、と。

「砂一族だから、東の村では隠れてるってこと?」
「そうそう」

砂のお兄さんが頷く。

何度も明記してるが
とにかく、東一族と砂一族の争いは、今なお続いている。

砂一族が、そうやすやすと、東の村にいていいわけがない。

「諜報員?」
「そんなもの」

砂のお兄さんが云う。

「東一族は黒髪が主だから、白色系は目立つしな」
「俺たちも」
「白色系だけど・・・」

ふたりが思っていた以上に、東の村では目立っていました。

「そうやって、他一族の出入りもあるから、俺も潜り込めなくはない」

よく見ると
フード&マントからちらりと見える髪飾りは
砂一族のものをしているが、格好は南一族なのだ。

「すごいわ、砂先生!!」

がしっと恒例、ヨシノ近距離。

「よく考えているのね!」
「近いっ!」
「ヨシノ!!」

一応危険だから! と、ツイナはヨシノを放す。

「ヨシノ、危険!」
「いいえ、ツイナ!!」

ものっすごい、磁石のM極S極のように、ヨシノは離れない。

「行きましょう、砂先生!」
「近い!!」
「私、砂先生にくっついていくわ!!」
「違うよヨシノ! 付いて行く、んだ、よ!」
「くっつくな!!」

なかなか、先は遠い。

3人は砂漠へと踏み出す。

「下調べは万全だろうが」

砂のお兄さんが云う。

「砂一族の村が近付くにつれて、砂漠には地点が増えるからな」
「地点?」
「踏むと爆発するやつ」
「「あぁあああぁあ」」

ガイドブックに書いてあったね。

ツイナとヨシノはきょろきょろと、砂漠を見る。

当然、その地点とやらが判るはずもなく。

「爆発しませんように~」
「こうやってくっついていると、2人とも犠牲だな」
まだ、くっついている。
「どうやって、その地点を避けるの?」
「いちかばちか!」
「まさかの!?」
「なら、俺の先視で!」

時間かかるやつ。

「砂一族って怖いのね~」
「世の中にはいろんな一族がいるんだなぁ」

「安全に砂漠を渡れたとしても、砂一族の中でも気を付けるように」

「「何を!?」」

「食べ物とか」
「やっぱりトキシン!!」

ヨシノの目が輝く。

「男とかも」
「男!!」
「腕を掴まれたら、払う!」
「わぁお」

自らくっついてくる女性の場合、どうなのか。

砂漠を進む。
砂嵐。

「砂一族の村は、」
「まだー!?」

目が痛い。春の嵐。
花粉・黄砂・PM2.5・・・云々。

ほとんど目が開けられません。

「ところで君たちはなぜ砂の村へ?」
「私たち?」

ぴたりとくっついたまま、ヨシノが云う。

「私たちは、ねえ、ツイナ」
「囚われの、知り合い?」
「生き別れの兄弟姉妹?」
「よもや、観光?」

「本当は?」

ぴしりと、砂のお兄さんが云う。

「本当の理由は?」

「それは、・・・」
「それは、・・・」



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「約束の夜」137

2019年03月26日 | 物語「約束の夜」

「わぁ、戒院。どなた??」

なんか、偶然にも程があり
戒院の想い人、晴子が通りかかる。

「ちょっ!!ちょちょちょ!!」

慌ててヨシノの手をふりほどこうとするも、
がっしり捕まれているので
なんか、2人で手を振る状態に。

「???」

とりあえず、晴子も手を振り返す。

「あら、こんにちは。東一族のお嬢さん」
「山一族の方ですか?」

こんにちは、と挨拶をして
晴子は戒院に向き直る。

「素敵な方ね」

あの、でも、と
晴子はこっそりと伝える。

「こんなみんながいる所で、
 その、こんなに、迫っちゃ、ダメよ」

ふふふ、戒院らしいけど、と
やんわりたしなめる晴子。
東一族は、恋愛はフルオープンではなく、
奥ゆかしくが王道なので。

「ちが、ちが、ちが、違っ!!」

「だから、俺は前々から言っているんだ」

そして、さらに偶然が重なり
その現場に晴子の兄、大樹が現れる。

「あぁいう輩は止めておけと
 俺は常々言っている。
 同じ顔なら、成院にしておきなさい」
「も、もう、何言ってるの兄様。
 私、そんな、戒院のことそんな」

それに、と晴子は言う。

「それに、成院にはちゃんと好きな人が」
「杏子様だろ。
 あれはアイドルが好き、と同じ感覚だから、
 叶うわけ無いから、きっぱりと諦めなさいだから」

一連の会話の流れに
心のダメージをうける戒院。

「俺ならずとも、
 成院まで被害が及んでいるパターン」

「お困りのようだね、お兄さん。
 俺達の力になるつもりは無い??」

更に重ねて手を握るツイナ。

「???
 3人はどう言う関係なの??」

私よく分からないわ、と
首を捻り、それじゃあと帰って行く晴子。

「違う!!
 晴子違うんだ!!!!」

「さあさあお兄さん」
「砂一族の村がダメなら
 砂漠の真ん中に、
 置いてきてくれるだけでいいのよ!!」

えーーー。

「むしろ、どうして
 それなら許可すると思ったのか!!?」

一応戒院も東一族の端くれ。
みすみす、危ない目に
合わせるわけにはいかない。

そして、女の子に乱暴出来ないので
強引に手も振りほどけない。

「ええっと、まず、
 囚われの知り合いが砂に居る、とか?」
「いいえ!!」
「ダメだよヨシノ!!それじゃ企画通らないよ」
「そうね!!
 ええ、そう!!
 生き別れの、兄弟姉妹の誰かが、
 砂に居て、私達会いに行きたいの!!」

「嘘つくにしても、俺に話す前に
 そこら辺、設定詰めてきて〜」

そんな事なら無理だなと
戒院は息を深く吸う。

「夜勤明けに、ちょっとキツイけど」

3人の足元が淡く光る。

「んん??」
「あらあ?」

「悪いな、他を当たってくれ」

ひゅん、と次の瞬間、
戒院の姿が消える。

「え、ええ??」
「逃げられ、た!!?」

東一族式、転送術。

(こんなホイホイと
 使うものじゃありません)

遠くから見ていた戒院の兄が
何やっとんだあいつはと
呆れ半分だけど、

それは置いといて。

「どうしましょう、困ったわぁ」
「おかしいな。
 あの兄さんに絡んでいれば
 どうにかなりそうだったんだけど」

俺の先視も鈍ったかな、と
頭をかくツイナ。

今まで、なんだなんだと取り巻いていた
東一族のみなさんも
パラパラと帰って行く。

「このまま帰っちゃ、
 満樹達に報告のしようが無いな」
「あきらめちゃダメよツイナ!!」

「満樹?」

「なぁ、君たち」

声をかけられて振り向くと
路地裏から手招きする人影。

「俺達?」
「そう、ちょっとこちらに」

うーん、と一瞬ためらいつつも
近づくツイナとヨシノ。

その人影はこう、耳打ちする。

「砂一族の村まで
 案内してあげようか?」

「え?お兄さんが?」

しぃ、と人差し指を立てて
彼はフードを少し浮かせる。

そこから見える髪の色。
独特の髪飾り。

「砂一族?」
「砂師匠!!?」

「なんで、
 東一族の村に?」

と、言いかけて、
ヨシノは気付く。

砂一族は、女子供をさらっていく。

「私達、女子供よ!!!」

「君さぁ、声が大きい」

「私、女よ!!どう??女よ!!」

勧誘なのか??

「ええーっと俺としては
 一人の男として見て欲しいけど、
 ん??ヨシノ??なんて??
 あぁ、うん。えーっと、はい!!
 子供だよ!!バブーー!!」

尊厳とは。

「君はそれで良いのか!?」

「そんな事より、お兄さん、さっき
 案内してくれるって言ったよね」
「ああ」

「「ややややったーーー!!」」

テンション上がる2人。

「なぁ、声のボリューム」

声かけたけど若干後悔している砂のお兄さん。

「君たちが大騒ぎしてくれたおかげで
 俺がこの村で動きやすくなった。
 そのお礼、かな?」

人が集まる前に、さあ、と
着いてこいと誘導する青年。

「うーん、大丈夫かな、これ」
「どういう事?」

ツイナはヨシノにこっそりと呟く。

「お兄さんにホイホイ着いていって大丈夫かなって意味。
 裏一族かもしれないじゃないか」
「それは、そうだけど」

と、2人は言う物の、
砂に攫われるのOKで、
裏は警戒する基準、何!?

「ん、警戒してる?
 俺の言葉、信用するしないは
 お任せするよ」

ふうん、とマントの下で
薄く笑う青年。

「どうする、ヨシノ?」
「どうって、そりゃあ、
 砂へ行くために手段は選んでられないわ。
 いざというとき、力はパワー?でしょ!!」


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「約束の夜」136

2019年03月22日 | 物語「約束の夜」


「・・・・・・で」

戒院はじろじろと、海一族と山一族を見る。

「俺にどうしろこと?」

ちょうど病院を出てきた戒院は、彼らに声をかけられた。

「だから」

ヨシノはグイっと前に出る。

「砂一族の捕まり方を教えてちょうだい!!」
「ずいぶんなこと云うな!」

そして、いつもの。
距離が近いよ、ヨシノ。

「教えてほしいの!」
「びっくりするほど、距離が近い!」
「距離なんか関係ないわ!」
「えーっと、砂の捕まえ方?」
「つ、か、ま、り、方!」
「意味が判らん!」

戒院は歩き出そうとする。

せっかくの務め終わり。
早く帰り、たい!!

「ちょちょちょ、東のお兄さん!」

ツイナがその前に出る。

「あなたは、俺の先視で選ばれました!」
「先視?」
「つい最近、砂にさらわれた女の子を助けたよね!?」
「え~」
「だから、話を聞きたいんです!」
「先視なのに、過去の話??」

戒院は、海一族を見る。

そんなことも確かにあったけれど。
なんだか、この海一族。
ごく最近見た気がするなぁ。

いつだったか、川遊びのときか?

「どうやったら、砂一族に捕まりますか!?」
「ええぃ、めんどくさい!!」
「「あっ!!」」

戒院は走り出す。

「ちょっと!」
「待って!」

ツイナとヨシノも走り出す。
戒院を追いかける。

「残念だったな! ここは、ホームだ!」

戒院は、すっと、道を曲がる。

「どこ!?」

すぐに、その姿は遠くなる。
さすが東一族のホーム。

「はぁあああ、・・・どうする、ツイナ?」

ヨシノは肩で息をする。

「こうなったら」

ツイナは、手をかざす。
出るのか、魔法!
てか、他一族でそんなことして、大丈夫なのか!?

「こっちだ!」
「えぇえ? 今、何をしたの、ツイナ?」
「ふふ」

ツイナとヨシノは走る。

「居場所を感知する魔法」
「まあ!」
「すごかろう!」
「地味なのね!」
「もちろん、いざと云うときは魔法よりも力! 力はパワー!」
「ツイナったら!」

あはは、うふふ、と走りながら笑う、ふたり。

えっ
これって何なの?

と、沿道で見守る東一族ズ。

「ほら、ここだ! 東のお兄さんっ!!」
「げげげっ!?」

なんだか、うまいこと先回り。
細道を抜け
出たところは、

ちょうど、戒院の目の前。

「は~よかった。捕まえたわ!」

その手をしっかりと、ヨシノが握っている。



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「約束の夜」135

2019年03月19日 | 物語「約束の夜」

「キャッサバ!!」

「どうしたの、ツイナ。
 急に大きな声を出して」

ヨシノに問われ、あれ、と
ツイナは首を傾げる。

「どうしたんだろ。
 突然、このワードが浮かんできて」
「インスピレーションは大事よ」
「うん。
 ………この飲み物に入っている、
 ぷちぷちもちもちのイクラみたいな物体」
「ええ、イクラではない」

「なぜだか分からないけど、
 俺達海一族がフグを食べるときのように
 なんか、本来であれば食べるのが難しい物を
 あれやらこれやら手を加えて
 食卓に上がっている感が、する」

ツイナ、何か電波を受信した模様。

横を見ると瞳を輝かせるヨシノ。

「ツイナ。
 もしかしてあなた、フグが捌ける?」
「うん」
(※ツイナは特別な資格を有しております。
 フグの調理は専門の資格を持った人が行いましょう)
「すごいわ、ステキよ!!」
「え~、そうかな?」

照れ照れ。

「やっぱ、司祭だけじゃ食っていけないし、
 手に職?就職に有利な資格取得?っていうか」
「そうよね。
 私も思っているのよ。
 やっぱり植物(毒)が一番好きだけど、
 知見を広げて動物(毒)も学んで行こうかなって」
「今度、海一族の村においでよ。
 フグ刺し、ごちそうするよ」
「ごめんなさい。生魚はちょっと」
「ええ~!!」

魚を生で食べるのは、
この世界では
ほとんど海一族だけ。

「でも、その、取り除いた部分、には
 すごく、とても、興味があるわ!!」
「手トロ度々寄進(変換一発目)!!」
「そのためにも、まずはやっぱり
 砂一族よね。
 基礎の学び直し。
 彼らは一体どのような抽出と調合等々を!!」

「……手のひらのアザの仲間達は?」

「保管管理、(毒の)入手ルートも気になるわ。
 自家栽培?それとも他一族からのお取り寄せ?」

「アザ―ズは?」

はっ、とヨシノが首を振る。

「あら、いけない。
 ついつい自分の事ばかり。
 ツイナ、私のこと見損なった?」
「いや、そんな」

だから、距離感が、近いって。

「全然オッケーだよ!!」

さぁて、と
観光ガイドを開く2人。
ここに来て!!まさかの!!ガイドブック!!

「あ、ヨシノこれ見てよ。
 まさに、俺達の事じゃない?」

ツイナが指差したのは
砂一族紹介ページの
Q&Aのコーナー。

『砂一族の村を訪れたいあなた』

すすす、と
指で文面をなぞる。

『村へ向かう砂漠は大変危険です。
 砂漠という自然環境はもちろん、
 外部対策として、要所要所に爆薬が隠してあります。
 そう、知らずに踏んでしまうと………。
 ご想像の通りです』

「「わあぉ」」

『それでも向かうというあなた。
 素人の砂漠横断は無謀です。
 蛇の道は蛇。
 砂一族に道案内のガイドをお願いしましょう』

「道案内、の」
「ガイド……」

それが、この砂一族と敵対している
東一族の村で見つかるわけもなく。

「もしかして、
 このガイド、北一族の村では
 見つける事が出来たのでは」

北一族の市場には
彼らの出入りも多い。
少なくともここよりもアテはある。

「………」
「………」
「私ったら!!!」

なんて手ぬるかったのかしら。と
落ち込むヨシノ。

「こんなに砂一族の事、尊敬しているのに。
 こんなに色々調べていたのに」

マイノートを握りしめ、
よよよ、となる。

「しっかり。
 元気出してヨシノ!!」
「戻る!?戻る、北一族の村!?」
「大丈夫だよ、
 俺の先視で、一歩進んで未来を先視。
 そしてまた一歩と歩んでいこう!!」

果てしない、未来!!

「……この(東一族の)村に、
 砂一族が忍び込んでいたりしないかしら」
「そんな都合良く」

東一族は砂一族と敵対している。
なぜなら。

はた、と
ヨシノはマイノートを開く。

先程の、砂一族について
彼女が調べた事が一覧で並ぶ。

その1つ。

『他一族から、女子どもをさらってきたりする』

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「約束の夜」134

2019年03月15日 | 物語「約束の夜」

「あれ?」

ツイナは振り返る。

「何か聞こえた?」
「いいえ、何も」

その隣のヨシノは、首を傾げる。

「おかしいな?」
「ふふ」

ヨシノは、もともと近い距離を、さらにツイナに詰める。

「今まで大勢だったから、淋しくなっちゃったわねぇ」
「おぉお」

その距離に、ドキマギするツイナ。
いや、でも!

「たった2週間! またすぐに北に戻るからね!」

ツイナとヨシノ。

ふたりは、砂一族の村へと向かっていた。
砂一族の村へ向かうには、
最短距離は、東一族の村経由か、谷一族の村経由。
満樹がそう教えてくれた。

と、云うことで、

ふたりは、東一族の村へ向かっている途中。

谷経由でもいいなら、谷まで満樹と一緒に行けばよかったじゃん。

「でも、あの場はかっこよく、すぱっと解散だったしね!」
「そうよねー♪」

云いながら、ヨシノはマイノートを取り出す。

「うふふ。楽しみだわ。あれとこれと、・・・ふふ」
「ヨシノ・・・」
「見たこともない調合なのかしら~」
「・・・・・・」
「私。体にいい薬、たくさん覚えるからね、ツイナ!!」
「うん!!!」
「待っていて、砂先生!!」

誰!!?

ツイナとヨシノは東一族の村へと入り、必要なものを買いそろえる。

一段落すると、ふたりは、市場に並ぶ椅子に腰かける。
飲みものを頼む。

「ねえ。ツイナは、砂一族の村ははじめて?」
「もちろん!」
「そうよねぇ」

ヨシノが云う。

「ちなみに、私もなんだけど」
「砂一族のこと知ってる?」
「ええ。調べてあるわ」

情報収集は万端。
いつの日か、聖地に行くために!!

「好戦的な一族で、薬と毒が得意」
「それは、有名だよね」
「砂一族の薬は、効きに関しては、すごく信頼があるわ」
「おけしょー水とか、高価で取引される」
「北一族の村では、砂一族の品を取り扱っているのよ」
「へえ! 見ればよかった」
「おみやげに大好評」
「ふーん」
「砂に行けば、安く手に入るかしら?」
「交渉しよう、ヨシノ!!」
「ええ!」

以下。
ヨシノの説明。

砂一族は、名まえの通り、砂漠に住む一族。
水や植物が乏しく、それを、他一族から仕入れている。
もしくは、奪っている。

家族観が他一族とは違い、非常に希薄。
一族全体が家族のようなもので、
全体で仕事、家事、育児を分担している模様。
血縁者と分かるのは、実母、同母きょうだいのみだとか、なんとか。
そのため
必然的に血が濃くなり、一族の数は少ない。
なので
他一族から、女子どもをさらってきたりする。

「・・・・・・」
「・・・・・・」
「大丈夫かな!?」
「大丈夫よ!!」

ヨシノはツイナの手を握る。

「ヨシノー!!」
「砂一族はけして、悪い一族ではないわ!」
「え~え~(照)」
「だって、本当に悪いことをやっていたら、他一族に滅ぼされちゃうわ!」
「あ~うん~。だよね~」

海一族と山一族は、砂一族からは遠い一族。
隣接している東一族の苦労なんか、知ったこっちゃない。

「さあ、少しお腹に入れましょ!」
「そうだね!」

ツイナとヨシノは、飲みものを飲む。

「これ、ぷちぷちもちもちして、おいしいわ」
「うん。なんだろうね?」
「何かしら?」
「イクラ?」
「イクラ??」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「ツイナ、これ、イクラではないと思うんだけど・・・」



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