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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「続・夢幻章伝」33

2021年03月30日 | 物語「続・夢幻章伝」
そこは少し小高い丘。
今日は天気も良くて、青空が広がっていて
空気も澄んでいる。

「まあ座れよ。
 景色を眺めながら、こういう朝食も良いだろ」

ユウマはテイクアウトした朝粥を
皆に勧める。

「屋根しか見えないけれど
 あそこに建物が見えるだろう。
 フタミ家の鳥が飼育されているんだ」

ユウマが遠くを指差す。

「山一族ではフタミだけが鳥を使うことが出来る」

神聖なものなんだ、と。

「へぇ、なるほど」
「ふうん」
「どの一族にもそれぞれに神聖な物ってあるよね、キコキコ」

(昨日、唐揚げ勧めちゃったけど)

アヅチ達は深く考えないようにした。

「そして、あっちが村の中心。
 俺達がさっきまで居た所」
「ユウマの家もあのあたりよねぇ」
「族長の護衛も兼ねているからな。
 すぐに駆けつけられる距離って訳だ」

ミヤ、という身体能力に優れた家系。
ユウマは自分のそれに誇りを持っている。

「ふうん、ミヤ家、ね。
 なにかしら繋がりを感じないことも無いわ」

「急にどうしたんだ、マツバ」
「なんとなく、遠い親戚って気がするだけよ」
「そうだな、どこかで繋がっているかも知れない」
「マツバの曾お爺ちゃんが実は山一族、とか、ね!!キコキコ」
「案外そうかも、昔は協定の証として
 異一族の花嫁とかあったらしいわよぉ」
「まあ、元を辿れば
 人類皆兄弟ってやつだな」

あははは、はははは。

和やかな空気。
たおやかな団らん。

「で、あそこがハラ家の祭事場で」

腰掛けて朝粥を食べるアヅチ達に
あそこは、ここは、と
村の名所を教えるユウマ。

さすが、案内役(仮)。

でもアヅチ達の心はいまいち躍らない。
なんかそういう気分になれない。

なぜなら。

「で、目の前に広がるのが」

最後の締めと言わんばかりに
ユウマは眼前に広がる光景をさす。

「荒れ果てた畑だ!!!!」

何者かに荒らされたという
無残に食い荒らされた畑。

「ええ」
「うん」
「そうだね、キコキコ」

もうすぐ収獲の時だったというのに。
こんな事があってよいのだろうか、いや、無い(反語)

「荒れ果てた畑だ(2回目)!!!!」

いやいや。

「なんで私達、この光景を見ながら
 朝食をとっているわけ!?」
「協力するとは言ったけど」

一応観光客なので最初は観光名所とか連れて行って欲しい。
美味しいお店とか。

「まぁ、見ろ。
 この荒れ果てた畑を(3回目)!!!」

じ、とユウマはアヅチやマツバを見つめる。

「なんか、感じる物とか、ある!?」
「え?」

じわ、じわ、と距離を詰めるユウマ。

「こころあたり、とか」
「何のだよ!?」
「俺は、信じたいんだよな、お前達の事」

じわ、じわ。

そして、ヤイノもへび呼ロイドを見つめる。

「へび部分に成分があると見せかけて
 じつは風船(?)の方が詰まっているとかあるのよね~」
「何がキコキコ!!!!!!!?」

きっと多分。毒の事だよね。

じわ、じわ。

「ああああ、アヅチ、マツバぁああ、キコキコ」
「もしかして、俺達疑われているのか!?」
「失礼しちゃうわ!!!」

「いや、あの、2人とも。
 よく考えたら、この食い荒らされた畑って、キコキコ」

荒らされる畑や水場。
困る人々。
そう言えばそんな事、前回の旅でもあったよね。

「「へび呼ロイドの同僚!!!!!」」

「すっっかり忘れていたわ。
 “続・夢幻章伝”では登場しないんじゃないかと思ってた」
「今作、違うテイストで行く物だとばかり」

まずい。

今ここで同僚達が出没などしよう物なら、
完全にアヅチ達が容疑者となってしまう。

なぜなら、同僚達は
なんだかアヅチに懐いているので。

「どどどど、どうしようキコキコ」
「簡単よ、アヅチを置いて逃げたら良いのよ」
「マツバ、おまえええええ」



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