「とりあえず、一度宿に戻るか」
「そうね、夕食までゆっくりして
その後はお宿のお風呂も楽しまなきゃ」
売店のお土産を両手に2人は浴場を出る。
完全に観光モードである。
「あんた、買ったわね~」
「あぁ、夜に宿で食べるお菓子に
飲み物も買っておけば宿の高い飲み物飲まなくていいし」
片手には入浴前に買ったお土産、
片手には入浴後に買ったお菓子。
ざわざわ。ざわざわ。
「そういうお前も思い切ったな-、それ」
「まぁね、こういうのは勢いよ」
マツバが持つ袋には、
売店にあった、
かなりいいお値段の刺繍入りの織物が。
「買わないと後からもずっと気になるし。
それなら私は買って後悔するわ!!」
支払いはへび呼ロイドのカードからですが。
ざわざわ。ざわざわ。
「じゃあ、2人ともまた来てくれよ」
タツキは番台なので入り口で2人を見送る。
ざわざわ、ざわざわ。
と、その時。
「2人とも-!!!!」
「お」
「へび呼ロイドじゃない」
数話ぶりの登場で
お忘れの方もいらっしゃるかと思いますが、
アヅチとマツバの旅立ちのきっかけ。
同僚を助けて欲しいと依頼してきた今回の旅の
お財布&案内&ツッコミ役です。
「よかった!!
この2人にツッコミを入れるの大変だったんだ」
アマキが胸をなで下ろす横で
俺も風呂場で頑張ったぜ、と
タツキは親指をぐっと立てる。
「やっと機嫌直したのか。
今度へび呼ロイドも一緒に風呂に行こうぜ」
「そうよ、コーヒー美味しかったわ」
一呼吸置いて、マツバはカードを差し出す。
「あとこれ、ありがとう」
「おいらのカードぅおおおおお!!!」
ざわざわ。ざわざわ。
「っちょ。何に使ったの。
マツバ!!その異様に高そうな織物どうしたの!!」
「さすがへびさん(へび呼ロイドの事らしい)
ツッコミもキレッキレだな」
アマキは感心のため息を漏らす。
「って違うんだよ!!
それも大事だけど、今は!!!」
ざわざわ。ざわざわ。
そこでへび呼ロイド以外の4人は
へび呼ロイドを追ってやって来た、
物音の正体に気がつく。
「同僚達が-!!!」
角から現れたのは、へび呼ロイドの同僚達。
白い、ふわふわとした、小さな丸いいくつもの塊が
こちらに向かってやって来る。
ぎしゃぎしゃー(鳴き声)!!!
「ふっ!!」
アヅチがキメ顔でへび呼ロイドの前に立つ。
「やっと、俺の出番の様だな!!!」
海一族の村ではフライングをかまして
活躍の場が無かった得意の針術なのか、
それとも、マツバと同じく南一族独特の魔法か。
「あ、アヅチぃ~」
「たまには活躍しないとな
下がっていろよ、へび呼ロイド」
「いや、そうじゃなくて」
「え?なんだよ?」
はぁ?とアヅチが振り返ると
「あ、またか、はいはい」
「兄さん姉さん、そしてへびさん
ちょっと下がっててね」
ずいっと、アマキとタツキが2人の前に立つ。
「えええ?」
ちなみにマツバは
コーヒー牛乳飲みながら
事の展開を見守っているよ。
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