「おにい、」
「ちゃん!!?」
何だって!? と、慌てる満樹をよそ目に、
きゃっきゃと楽しむふたり。
「きょうだいがたくさんで」
「うれしいね~」
「えっ? 本当にか!?」
「あなたたちも!?」
「あたしは、お姉ちゃんでもOKよ」
京子は呟く。
「アザーズがこんなにいたなんて・・・」
「まさか本当に、8一族に手のひらにアザがある者が?」
「父、すごすぎ」
「みんな気を付けて!」
「てか、助けて!」
牢屋の中から by ツイナ&ヨシノ
「助けて?」
耀が首を傾げる。
「みんな、客人みたいなものだ」
「客人って!」
満樹が云う。
「なら、ふたりを牢から出せ!」
「もちろん」
耀は頷く。
「俺たちは、兄妹だ」
「そう」
チドリも頷く。
「だが、いきさつが判らず、父親を知らない」
「同じ父親であることを信じられない」
なあ? と、チドリが云う。
「みんなでテーブルを囲んで、お茶でもするか?」
くくっ、と耀が笑う。
「お兄ちゃんっ!」
「そうよ! お茶なら私が淹れるわよ!」
「みんなでハーブクッキー焼いたりとか?」
「いや、ヨシノ。ハーブじゃないだろ?」
・・・かちゃん
音がして、牢の扉が開く。
ぎぎぎ、と動く扉を、ツイナとヨシノは見つめる。
「さあ、出てこい」
「・・・余裕だな」
満樹が云う。
「一応、こちらは5人だ」
「だが、ここは裏の砦だ」
裏一族の守り。
見えない何かが、この場所を覆っている。
何かの、魔法。
「裏一族である、こちらの云う通りにしてもらう」
耀は云う。
「お前たちに伝えておくことがあるからな」
「伝えておくこと??」
耀は頷く。
ツイナとヨシノもそろう。
皆の立ち位置が、ちょうど、円を描くように。
「谷一族のマサシ」
「何よ」
「おそらく、ここでは一番、年上だ」
「おねぇちゃん、て、呼んでよくってよ!」
「北一族のチドリ」
「はいよ」
「兄妹の中で、一番、魔法を使える」
「だな」
「東一族の満樹」
「・・・・・・」
「いまだに、兄妹だと信じていない」
「・・・・・・」
「山一族のヨシノ」
「私?」
「山一族としてなじめず、今に至る」
「違うわよ! 私は薬がね!!(以下略)」
「西一族の京子」
「お兄ちゃん・・・」
「お前は俺の代わりだ」
「えっ!!?」
「南一族のオトミ」
「はーい」
「初登場」
「だよねぇ」
「海一族のツイナ」
「俺!!」
「二番目に魔法を使える」
「微妙なとこ!! 二番じゃダメなんですか!!」
「砂一族のノギ」
「末っ子!」
「そもそも、砂一族はほとんど父親が判らない」
「です!!」
「と、云うことで」
耀が云う。
「まだ、話していないことは何かな?」
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