「大丈夫か!!」
「ええ」
京子は息を吐く。
兄である耀に会いたいなら、美和子と共に、行くべき?
「いったいどう云うことなんだろうな!!」
「・・・・・・」
つまり
美和子は、すでに、耀の居場所を知っていると云う・・・こと?
「こんなところで考えていても仕方ない!!」
「そう、よね・・・」
「今日は豆料理を腹いっぱい食ってだな!!」
「いや、ちょっと一旦、口閉じましょうか」
先ほどから声がでかい飛鳥の肩を、満樹は叩く。
「しかしだな、東の兄ちゃん!!」
「落ち着けー、落ち着けー」
呪文のように、満樹は、飛鳥の背中をなでる。
「京子、」
呼ばれて、京子は顔を上げる。
「西の連れは、さっき何と云っていた?」
「えっと、」
「これから向かう場所だ」
「・・・海?」
美和子は、海一族の村へと向かうと云っていた。
つまり
そこへ行けば、何かしらの手がかりがあるはず。
「海一族の村に」
「はいっ。俺も行く!!」
きおつけ、で、飛鳥は手をぴんと伸ばす。
「はいっ。俺も!!」
「2回も云う・・・」
「本当に来るの!?」
京子と満樹は、顔を見合わせる。
「なぜなら、俺は魔法を使えるからな!!」
飛鳥が胸を張る。
「満樹と京子が困ったときに、魔法使いの俺に任せておけ!!」
名まえで呼び出すとは、一緒に行く気満々。
「いや、」
「でも、」
「遠慮はいらない!!」
飛鳥が云う。
「俺は冒険にあこがれている!!」
満樹は首を振る。
「別に冒険じゃない!」
「冒険だろう!!」
「私はお兄ちゃんを探したいだけなの!」
「生き別れた兄・・・。実はラスボスであり、父であり、友であり・・・そして、俺!!」
「ラスボス!?」
「いや、それは絶対ない!」
「俺を拒むことはない!」
大丈夫大丈夫! と、京子と満樹は首を振る。
「ほら、だって、お子さんがいるだろう!?」
「むむっ」
「それに、何か、あなたじゃないと思うの!」
「何か俺じゃないって、どう云うことだ!!」
「よく判らないけれど、あなたはここでお別れなのよ!」
「そう。あなたはたぶん、一緒に来る人じゃない!」
「どう云うことだ、東と西!!!!!」
「ちょっと、お父さん!!」
どーーーーーん。
その声は、飛鳥の娘、マジダ!
「おお、我が娘!」
「もうお父さんってば!」
「何だ、娘よ!!」
「お母さんが、今日の甘味は何がいいの?だって!!」
「甘味!!」
「早く決めなきゃ、お父さんの分なしだって云ってた!!」
「何っ!!」
瞬間、飛鳥は走り出す。
「ま、たぶん、いつものあんこ包みだと思うけどね!」
そう
父の背中への、娘の捨て台詞を
ただただ、京子と満樹は聞く。
NEXT