TOBA-BLOG

TOBA2人のイラストと物語な毎日
現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「続・夢幻章伝」96

2022年01月28日 | 物語「続・夢幻章伝」
お腹いっぱいで、外に出る4人。

「へび呼はみんなが混乱するから留守番した方がいいんじゃない?」
「それは今更、キコ!!」

確かに。

「確かに、なんだけど」

へび呼を見る限り

「オスなのかメスなのか」

口調と雰囲気的には、ボーイに近い。

しかし

へび呼は、リボンをしている。

「・・・メス?」

「オスとかメスとか、生物学的な単語で云わないでほしいキコ!」

へび呼は立ち上がる。

「最近、そのパターン多いわね」
「おいら、オスとかメスで区別されたくないキコ!」
「でも、大浴場行くなら最低限のルールと云うものがあってだな」
「パーリィ帽に云われたくないキコ!」
「ふわぁああああ!?」
「おいらはせめて、ボーイかガールで論じてほしいキコ」

「そう云うのを語り合うのが、裸の付き合いだろう?」

タツキがうまいことまとめた!

「付き合いが良ければ、何でもいいってよ」
「いいこと云うキコ!」
「あんた男風呂に行きなさいよ」
「そもそも、前回東に来た時、お前何してたんだ?」

ほわんほわんほわん


「おいら達がっアアアアゥ、どんな気持ちでっ
 同僚を助けたいとゥウウウウ、思っているかっ」
ぐっと溜め。
「あなた方には、分からないでしょうねっ!!!」


ほわんほわんほわん終了

「ああ、号泣会見とやらなんとやらのやつか」
「それで部屋にこもってたんなら、自業自得ってやつね」
「思い出すなキコ!恥ずかしいキコ!!ネタが古いキコ!!!」

へび呼はアヅチの肩の上でキコキコするしかない。

「なら、今回はリベンジだな」

公衆浴場の前に到着し、タツキは、くるりと向きを変える。

「えっ」
「おいおい」
「どうしたのキコ」

取り出したるは、前掛け。

それを、腰よりやや低い位置で、タツキはグッと前掛けを閉めグッと親指を立てる。

「まさか!」
「いえ、そうだったわ!」
「何キコ! 何キコ!?」

皆さん、思い出されただろうか。
そうタツキは

「へいらっしゃい!!」

ぱーーんと、手をたたき、歌舞伎ポーズ。

「ここで銭湯の受付してくんな!!」

東一族公衆浴場受付にてバイト中です。

「てか、その感じ、銭湯であっているのか!?」
「よっ、江戸っ子キコ!(?)」
「はい、年パス」

「年パスの方は、タオル浴衣も込な!」

「ふっ。至れり尽くせり、感謝するわ」

「じゃあ、俺たちはフレンド枠で、」
「それ以外の他一族料金表はこちらだ!!」

ばぁああああんん!

タツキはそろばんを取り出し
マツバは、さっそうと浴場内に入り
アヅチはお財布を探し、
へび呼はキコキコする。

「おいらの分もねキコ!」
「お前は排水溝から侵入しろ!」
「ひどいキコ!」

わたわた

「おーい、タツキぃ!」

と、そこにやってくる、ひとりの東一族。

「なんだ、トキか!?」
「ちょっと獣を触ったら汚れちまって! 風呂入っていくわ!」
「ああ、そりゃ仕方ない」

トキはタオルをスパーンと広げる。

「なかなか見たことない獣だったなぁ」
「ふぅん?」
「あっちの鳥かごに入れてるから、あとで見に来いよ」
「バイト終わってからな」

タツキは、アヅチを見る。

「こっちはトキ。んで、こちらの兄さんは南一族のアヅチさんだな」
「へえ」

トキは再度、タオルをスパーンとする。

「じゃあ、一緒に行くか、風呂!!」



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「続・夢幻章伝」95

2022年01月25日 | 物語「続・夢幻章伝」
とりあえず花火って!!

「ダンシンザオールナイトかよ!!キコ!!」

は!!!とへび呼は
布団から跳ね起き、あたりをキョロキョロと見渡す。

「…………夢??キコ?」

なぁんだ、とひたいの汗を拭く。

「昨日の鍋の後、
 花火からの、ダンスナイト、
 沸き立つフロア、君とバンプ、
 そんな騒ぎに惹かれて顔を出す村の重役達。
 今宵は水辺も夢幻も全て忘れて
 ただ、ひたすらに呑み明かせ!!踊り明かせ!!
 ヤーホイヤー!!アァ↑アァ↓ア↑!!イーヨーマンテェエ!!」

夢で良かった、と安堵のため息。

「さぁ、みんな起きるキコ」

左右に目を向けると
まだ深い夢の中のアヅチとマツバ
それに今回はタツキも同じ空間で川の字で寝ている。

「今日も予定が盛りだくさ…………」

そんなアヅチは
昨夜の盛り上がりのまま眠ってしまったかのように、
紙で出来た三角錐の帽子をつけたまま。
帽子のてっぺんにはポンポンの飾り。
要するにパーティー帽子です。

「どこまでが夢キコ!!?
 それとも今この時こそが夢キコ!!?」

胡蝶の夢なり。

「さあ、朝御飯を召し上がれ!!」

何はともあれ
食卓に着く面々。

「おはようございます!!」
「朝食もお世話になります」
「母ちゃんおはよう!!」
「はい、みんなおはよう!! 
 お茶は各自お好きな様に」

炊き立てご飯に
出汁の効いたお味噌汁。
浅漬け、卵焼き、野菜炒め。
湯豆腐、ひじき、ほうれん草の胡麻和え。
茄子のおひたし。

「あと食べたい人は納豆に生卵も」

タツキの母、台所からどんどん運んでくる


「相変わらず品数が多い」
「朝からこんなに作るの大変」
「感謝!!キコ!!」

ありがたくご馳走になる3人、
そして席に着くタツキ一家。

「今日はとりあえず、風呂からだな」
「朝風呂?キコ!!」
「あんた達、
 このチケットは私の分だけなんだけど」

マツバは東一族公衆浴場年間パスを取り出す。

「マジかよ」
「あら、でも安心して」

そして、もう一枚のチケットも取り出す。

「このネイルサロンのチケットは
 お友達も15%オフだから!!」
「チキショー、俺の爪もキレイになりますか!?」

「あの〜ところで」

タツキ父が手を挙げる。

「君らいつまでいるの!!?」

「「「コロイドが見つかるまでです!!」」」

「やっぱりー!!」

その頃、東一族の村、馬車降車場。
ひとりの東一族が降り立つ。

「うぉおおおおお、同僚ぅおおおおお」

ビチビチビチビチ、と鮮魚の様に暴れるコロイド
そして、その尻尾?を持って
虚無の表情で立ち尽くす青年。

「どうしよ、これ」

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「続・夢幻章伝」94

2022年01月21日 | 物語「続・夢幻章伝」
やいのやいの、と、明日の計画を立てている4人をよそに、
タツキの父は帰宅後の荷物片付け、身支度、手洗いうがい

「あら? ここ汚れているじゃない」

タツキ母は、タツキ父の裾を指さす。

「ああ、とにかく転ぶしかなかったんだ」

ほわんほわんほわん・・・

タツキの父の頭に浮かぶのは

「出汁がきいた料理はうまい!」

その瞬間、タツキ父は家の前で転んだ。
そして汚れた。
それだけである。

「大切なものは、目に見えない、のか」
「そういうことじゃないと思うわよ」

出汁が1番おいしくなってる?鍋料理をすすりながら
タツキ父は、これいつまで続くんだろう、と考える。

「とにかく明日は、コロイドの消息キコ!」

へび呼は立ち上がる。

「ついに足まで生えたのね!」
「おめでとう!!」
「蛇足と云う!!」

「えぇい! ちゃんと話を聞くキコ!」

みんな冷静に聞いてほしい。
コロイドがいないことがどれだけ大変なことか。

「知ってるわよ」
「まあ、金銭的にだな、特に」
「そしてオイラは歩行困難キコ」
「足が生えたじゃないか」

「黙るキコ!!」

本気モードへび呼。

「同僚はおろか、コロイドまで悪に染まることがどれだけ大変なことかキコ!」

「そんなに大変なことが!?」
「コロイドってそんなにキーパーソンだったの!?」

「そうキコ。みんな聞くキコ」

ごくり。

「実は、なんだけどキコ……」
「うんうん?」
「コロイドの中には……、」
「中には!?」
「キーパーソンキーが埋め込まれているキコぉ!!」

「「キーパーソンキー!!?」」

それは、なんぞや

「それで開けられない扉はないという•••キコ」

「そんなに!」
「かなりのキーパーソンじゃないか」

ふたりは、あわあわする。

「それを悪の何かに奪われてご覧!! 大変キコ!!」

「何でも開けられるって、つまりは泥棒だけどな」

タツキは花火を取り出す。

「えっ、何それ?」
「花火」
「花火!!?」

タツキは照れくさそうに頭をかく。

「ほら、親戚が集まったら、子ども同士で花火とかやるじゃん?」

「まさかの!」
「今、それ!? それキコ!?」
「夏じゃないし」

「いや、お墓でとかな」

「お盆だよ!」
「一部の地域の慣わしだよ!!」

「でも、やるだろ、兄さんたち」

「やる、な!!」
「くっ、線香花火最後まて(略)の意地を見せてあげるわ!」
「ぇえええ!? キコ!」

「まあ、明日こそ、村を回って情報収集でも使用じゃないか」

うんうん、と、タツキは頷く。

「じゃ、何もかも忘れて、花火やろうじゃないか!」

「「「おー!!!」」キコ」

いいのか、それで。



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「続・夢幻章伝」93

2022年01月18日 | 物語「続・夢幻章伝」
「「「「ごちそうさまでした!!!!」」」」

おなかいっぱいになったアヅチ達は
きちんと手を合わせてごちそうさまをする。

「美味しかった、お鍋」
「鍋の後のうどん、雑炊、全てに満足」
「冬はやっぱり鍋に限るキコ」

寒いときは温かい物に限るよね。

「満足頂けたかしら?」

食後のお茶を運ぶタツキ母。

「あわあわ、お構いなく~キコ」
「そうよ、片付けとかやらなきゃね」
「一宿一飯お世話になる身としては」

「兄さん姉さん、いいから座っててよ。
 あ、そう言えば」

忘れる所だった、とタツキが台紙を取り出す。

「これ今日のスタンプラリースタンプ」

「そう言えば、今日の買い物で結構スタンプ溜まったな」
「私たちお使い頼まれてるだけなのに
 それでスタンプ押しちゃっていいのかしら?」
「いいんじゃない?
 俺も母さんもスタンプラリーはしてないし」
「ありがたいキコ」

そして、溜まったスタンプラリースタンプの台紙を確認する。

「あれ?」
「これって」
「よもやよもや」

「「「ほぼほぼ埋まってしまった!!?」」キコ」

「やべぇ、
 東一族編めっちゃ楽勝なのでは!!?」

そうね、とマツバは秘蔵のチケットを掲げる。

「そうしたら前回(夢幻章伝)貰った、
 東一族公衆浴場の年間無料チケット(28話)と
 ネイルサロンの20%オフのチケット(32話)を使えば
 完成って所かしら?」

「そんなんあったな、そう言えば!!」

アヅチの爪が
七色に輝くのか!!?

「まさかのこれで、東一族編・完!!!」
「そして次の村へ。
 俺達の冒険は終わらない!!」
「いや、コロイド忘れてるキコ!!
 目的、コロイド!!!コロイドキコ!!!!」

へび呼が慌ててキコキコ首を振る。

「確かにコロイド問題を解決しないと
 俺達どうしようもないな」
「そうよ、アマちゃんとかにも会えてないのに」
「あと。飛び出せ小僧も居なかった?前回?キコ」
「あれはいいのよ!!」

前回の東一族編の思い出が絶妙なアヅチは
今度こそゆっくり観光出来ますように、と
思いを馳せる。

「ん?そういえば飛び出せ小僧(東一族版)って
 誰かに似てると思ったら」
「あん?」

「マツバ、お前の親父さんに似ているんだ!!」

ぴしり、と場の空気が凍り付く。

「そして、さらに思い出したぞ。
 お前の親父さんが作る料理は出汁が利いている。
 あれは、東一族のやり方を真似ている。
 いや、寄せているというべきか」
「………つまり、何が言いたいわけ?」

静かにマツバを見つめ
そしてアヅチが告げる。

「俺は突き止めてしまったかもしれない。
 東一族の隠された謎ってやつを」
「…………」
「導き出される答え、それは」

今、一つの謎が解き明かされる。

「出汁が効いた料理は美味しい!!!!」

今日のお鍋もしかり。

ふ、とマツバは微笑む。

「ついにあんたも辿り着いたようねその世界に」
「ああ、ちょっと時間がかかってしまったが」

「盛り上がっているようね。
 それじゃあ、第一歩を踏み出したあなたにこれを」

タツキ母が粉末の出汁を持ってくる。

「最初から煮干しとか、乾し椎茸とか
 ハードルを上げなくても良いの。
 だた、美味しくご飯を食べて欲しい
 そんな気持ちが大切なのよ」
「………タツキのお母さん!!!」

「いよっ!!うまみ成分!!!」
「おいら味噌汁とか大好きキコ!!」
「それじゃあ、明日の朝食はもう決まったわね!!」

うわぁあああああ。

盛り上がる観客。

仕事の関係で遅くなり
まさに今帰って来たタツキ父が
謎の展開に呆然と立ち尽くす。

重要ポイントがスルーされなかったか、今の!??
とか
ちょっとこの展開意味が分からない
とか
色々あるけれど、タツキの父は
ツッコミを生業としていないので、ただ、声を絞り出すしかない。

「俺の………夕ご飯、ある?」

そして、東一族の夜は更けていく。


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「続・夢幻章伝」92

2022年01月14日 | 物語「続・夢幻章伝」
「あんたの父親、本当に伝説だわぁ」
「生ける伝説キコ」
「おぉおおおおおおおお!」

恥ずかしいったら、ありゃしない。

「俺も見たかったな、宗主様の爆笑!」
「やめておけ」

ふう、と、一連の流れを説明し終えた、タツキ父。
そろそろ仕事(務め)に行かないと間に合わないよ。
それでもこぶしを握り締め、続けるタツキ。

「くっ、この俺でも宗主様の目の前ではためらうが、」

そうなんだ。

「俺もやってみたい!!」

(スタンプラリーではなく、宗主様を笑わせる方ね)

「ええ。大丈夫だと思うわ!」

マツバも大きな声で云う。

「あんたもアヅチの父親と同じにおいがするもの!」

騒がしい枠、ってやつ。

「はいはい」

タツキ母は、手をたたく。

「じゃ。そろそろ、買い出しに行ってもらいましょうかね」
「キノコ鍋!」
「付け合わせのタレ欲しい!」
「豆腐も希望!」
「俺は白菜1玉ね、母さん!!」

タツキ母は、さらさらとメモ紙。

「まあ、人数多いから食材は覚悟してるわよ」

でも大丈夫。
タツキ父はしっかり働いているから。

「はい。多いから荷物は手分けして運んで頂戴ね」

「「「「はーい!」」」キコ!」

「ついでに、スタンプラリースタンプ(ややこしい)も集めてみたら?」

「それは!」
「確かに!!」
「あわよくば、キコ!!!」
「じゃ、行くぞ! 俺についてこい!!」

こうして、4人は出かけたのでありました。

「・・・・・・」
「・・・・・・」
「大丈夫なのか?」
「ええ、おもてなしなら任せて!」

タツキの母は、東一族の中でも肝っ玉母ちゃんだ!(関係あるのか?)

「年頃の子には、とにかく食べさせておけばよいのよ!」

ひと息ついたら、食事の準備とお布団の準備もしなきゃね、のタツキ母。

「うん。それでだな」
「あら、何?」
「思ったんだが」
「何を? 務め行かないの?」
「行くけど」
「はいはい」

「あの、南一族の子、どこかで見たことないか?」
「南一族の、子?」
「そう」
「ええ? 知り合い?」

「いや。そうじゃなくてだな」

タツキ父は腕を組み考える。
漂う、シリアスの空気。

「何かがはじまる予感がする」

どこかで見たことある、をキーワードに。
物語はいつも突然に。

「動きだすストーリー」
「もしかして、あの人に似てるって?」
頷く、タツキ父。
「あの、女の子の方でしょ」
「そうだ」
「そう云われると、そうかも・・・」
「これで、謎が解けるのか」
「あの、白い髪の子とか?」
「真実はいつも、たぶんひとつ」
「う”ーん」

「もしかしたら、終わるのかもしれない」

今まで狂っていた歯車。
元に戻る時間。

すべてが集約されようとしている。

「わかったわ」

何かを払いのけ、タツキ母は立ち上がる。

キリっと、云う。

「お米炊いてきてもいいかしら?」
「ああ、頼む」

まずは、今夜を乗り越えるところから。





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