彼女は、山一族のハラ家の出身だった。
ハラ家は、山一族の占師家系と云われ、
一族のありとあらゆる事柄を、占いで決定する力を持っている。
その家系内はイ・ロ・ハで区別され
それぞれ、厳格なる立場が決められている。
彼女は「ハ」。
つまり、一番下。
例え能力があろうとも、「イ」より上に立つことは出来ない。
逆らうことも出来ない。
やらされるのは、雑用のようなことばかり。
だから
「はーあ、つまんない」
ユキノ=ハ=ハラは、水汲み用の桶を転がす。
川の横に坐る。
ついでに、寝そべる。
気持ちの良い風。
川の流れる音。
鳥の鳴き声。
天気もばっちり。
「寝れるわ・・・」
「寝るのか」
「ええ・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「誰っ!!?」
はぁっ!! と、彼女は起き上がる。
水汲みに来ていたのは、自分だけだ。
てことは
「ばれた! さぼっているのばれた!!」
お許しを~、と、彼女は手を合わせる。
「はぁあああ、申し訳ありませぬ~」
「それ、本当に反省してる?」
彼は首を傾げる。
彼女は顔を上げる。
「するなら、ちゃんと反省しな」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・え、誰??」
2回目。
「俺?」
「あなた」
「俺は」
「もしや、山一族じゃない?」
「そう」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「何さ、謝って損した!」
彼女はごろんと寝転ぶ。
さぼり続行。
「いいの、それ?」
「いいの」
あっち行ってよ、と、彼女は手をひらひらさせる。
「山一族の村に用なら、この道まっすぐだから」
「あ、そう」
「私がさぼってるの内緒で」
「・・・・・・」
「じゃ、おやすみ!」
他一族の彼は、その場に立ち尽くす。
やがて、ひゅーひゅーと、寝息が聞こえる。
「なんて、無防備・・・」
気持ちの良い風。
川の流れる音。
鳥の鳴き声。
天気もばっちり。
そして
日も
次第に傾きだす。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「あっ、やばい!」
彼女は口元を拭いながら、がばっと起き上がる。
「私の大事な植物ちゃんに肥料やりしなきゃ!!」
「水汲みじゃないんかい!!」
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ハラ家は、山一族の占師家系と云われ、
一族のありとあらゆる事柄を、占いで決定する力を持っている。
その家系内はイ・ロ・ハで区別され
それぞれ、厳格なる立場が決められている。
彼女は「ハ」。
つまり、一番下。
例え能力があろうとも、「イ」より上に立つことは出来ない。
逆らうことも出来ない。
やらされるのは、雑用のようなことばかり。
だから
「はーあ、つまんない」
ユキノ=ハ=ハラは、水汲み用の桶を転がす。
川の横に坐る。
ついでに、寝そべる。
気持ちの良い風。
川の流れる音。
鳥の鳴き声。
天気もばっちり。
「寝れるわ・・・」
「寝るのか」
「ええ・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「誰っ!!?」
はぁっ!! と、彼女は起き上がる。
水汲みに来ていたのは、自分だけだ。
てことは
「ばれた! さぼっているのばれた!!」
お許しを~、と、彼女は手を合わせる。
「はぁあああ、申し訳ありませぬ~」
「それ、本当に反省してる?」
彼は首を傾げる。
彼女は顔を上げる。
「するなら、ちゃんと反省しな」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・え、誰??」
2回目。
「俺?」
「あなた」
「俺は」
「もしや、山一族じゃない?」
「そう」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「何さ、謝って損した!」
彼女はごろんと寝転ぶ。
さぼり続行。
「いいの、それ?」
「いいの」
あっち行ってよ、と、彼女は手をひらひらさせる。
「山一族の村に用なら、この道まっすぐだから」
「あ、そう」
「私がさぼってるの内緒で」
「・・・・・・」
「じゃ、おやすみ!」
他一族の彼は、その場に立ち尽くす。
やがて、ひゅーひゅーと、寝息が聞こえる。
「なんて、無防備・・・」
気持ちの良い風。
川の流れる音。
鳥の鳴き声。
天気もばっちり。
そして
日も
次第に傾きだす。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「あっ、やばい!」
彼女は口元を拭いながら、がばっと起き上がる。
「私の大事な植物ちゃんに肥料やりしなきゃ!!」
「水汲みじゃないんかい!!」
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